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第796回
ほぼ日編集部様
5月10日のニュースから
今日の朝刊各紙は9日に行なわれた
田中真紀子さんに対する自民党の
政治倫理審査会・林義郎会長らによる
事情聴取の結果を報じている。
テーマは、言わずとしれたあの秘書給与流用疑惑だ。
朝日新聞4面3段
毎日新聞5面4段
スポニチ社会面には大きな見出しが踊る大トップ記事。
3紙3様で面白い。
実はこれを書いている今日11日の「ザ・スクープ」で
真紀子疑惑を一時間かけてたっぷりと検証するので、
この際彼女が政治倫理審査会(政倫審)
でどういう弁明をしたのか、
新聞の伝え方から詳しくチェックしてみたい。
結論から言ってしまうと新聞によって
肝心なところがみな違うのだ。
この日の事情聴取に出席した林義郎会長と
亀井久興事務局長の二人、
それに事情聴取を終わって外に出たところで
メディアに囲まれて自分の言い分を喋っていた真紀子さん。
基本的にはこの3人が情報源なはずだ。
恐らく3人からどのメディアも
同じ席で話を聞いているはずなのに、
書いてあることは微妙に違っているのが興味深い。
なぜそんなことになるのか??
さて少し具体的に見ていこう。
朝日新聞。見出しは
「田中前外相 疑惑を全面否定
自民政倫審非公式聴取 『秘書給与、本人に』」
記事によると田中氏は「関係資料を提示した上で」
1.公設秘書と田中氏のファミリー企業社員の兼業は
本人達が望んだ
2.秘書としての給与は全額本人達に渡っている。
と、説明。
「言われるようなことは一切ない」
と疑惑を全面否定したという。
ここで他紙との比較で気になるのは
「関係資料を提示した上で」
という下り。
この日の事情聴取で本当にちゃんとした
資料提出があったかどうかは大事なポイントなんですね。
これまではいつも資料らしきものは
本人が手にしてひらひらと見せるような見せないような
態度に終始し、資料提示などはなかったからだ。
今回それが行なわれたとすれば
かなり事態は改善されたと見るべきでしょう。
もう一つのポイントは
給与が秘書にどのような流れでどれだけ渡っていたか、
つまり流用があったかどうかという点だ。
記事によれば、真紀子さんはこういうふうに語ったそうだ。
「本人たちがそのまま会社の担当者に渡した。
会社の会計とは別に扱っている。
会社の給与基準をそれぞれベースとして、
それに諸手当を付加した形で、本人たちに支払っていた。
国からの給与はトータルとして本人に渡っている。
会社による肩代わりとか私的流用は一切ない」
こういう弁明を受け、亀井事務局長は
「田中氏の説明を聞いた限りでは、
報道されているような疑惑は全くないと判断し、
山崎幹事長にもそう伝えた。
調査には限界があり、あとは執行部が判断する」
と疑惑はシロであるとの感触を述べた。
さてここでの問題点は亀井氏があっさり信用できるほど
簡単ではない。
以前文書で真紀子さんが弁明したときは
「給与は本人達がそのまま会社に渡していた。
将来会社に戻ってくるのに備えるために
そういう措置をとった」
という趣旨だったと思う。
それがここでは微妙にまた違ってきた。
「本人達がそのまま」
というところまでは以前と同じだが、
「会社の担当者に渡した」
ここで急に
「会社の担当者」
という言葉が登場してきた。
実はこれがくせ者なのだ。
その後にこう続く。
「会社の会計とは別に扱っている」
うん?
先の「会社の担当者」というのは実はこの
「会社の会計とは別に扱っている」
を今回初めて出してくるためのキーワードなんだね。
その別会計の担当者というのが
どういう立場の人物なのかは一切触れられていないし、
政倫審の二人も聞いた形跡もない。
しかし、実はここが大事なところなんだ。
それから、実に微妙な言い回しで
真紀子さんは秘書の給与流用がなかったと言い張っているが、
厳密にチェックするとやはり疑問が残る。
彼女はこう言っている。
「会社の給与基準をベースとして、
それに諸手当を付加した形で、本人たちに支払っていた。
国からの給与はトータルとして本人に渡っている」
ここは実は解釈が幾通りかできるのだ。
素直にとれば、秘書に国から出るカネが
例えば月に30万円だと仮にして考えてみよう。
上記の説明では会社の給与基準が月額20万円だとすると、
それに諸手当など10万円を加え、
合計では30万円になる。
だから「トータル」では
「国からの給与は本人に渡っている」という解釈だ。
恐らく真紀子さんの言わんとすることは、
そういうことなんだろう。
しかし、これは明らかにおかしい訳で、
国からの金30万円のうち20万円は
会社の担当者なるものに入ったことになってしまう。
このカネはどこへ消えたのか?
どこかに貯まっていれば横領の疑いが出てくる。
それに20万円は会社が給与基準ベースで出しているわけで、
これは会社の秘書給与の肩代わりで政治資金の寄付行為に当たる。
それは政治資金規正法にのっとり
報告がされなければならないが、
これは一切ないことが分っているのでアウトである。
毎日新聞。
「田中前外相 流用疑惑 改めて否定 党政倫審聴取
林会長『疑惑なし』」
毎日新聞では、朝日が書いていた
「会社の担当者」が
「秘書給与は開封せずに秘書の出向元の会社に持って行った」
となっている。
ここでも同じ取材をしているはずなのに
こうも違うのはなぜか?
それから毎日は資料提示についてはこう書く。
「田中氏側は弁護士2人が同席し、
秘書給与振込証書などの資料を提示した」
となっている。
ここでは資料については
朝日新聞も毎日新聞も
「提示した」
となっているところがミソだと思うが、
読者の錯覚を誘うようなこの書き方の真の意味を
きっちり指摘しているのは朝日、毎日の両紙ではなく、
実はスポニチなんだね。
スポニチによれば、
「給与明細などの資料を持参したが、
『本人の了解を得ていない』として、
林氏らに詳細を示すことはなかった」
ということだそうだ。
なんだ、提示というのはまたちらりと見せるだけで
ちゃんと提出することはなかったんだということが
これで判明する。
彼女のいつものやり口だ。
この辺は記事の後段でこう書いてある。
「執行部の一人によると、
真紀子さんからの説明は口頭で行われたが、
資料が提出されることはなかった。
給与明細などを持参していたというが、
同席した弁護士が
『本人の了解を取らずに第三者に見せるの・・・』
とすぐに伏せてしまったという。
資料をほとんど見せてもらえなかった
林氏と亀井久興・政倫審事務局長だが、
『説明を聞いて、疑惑に当たることはないと判断した。
新潟の地域の特性があるようだ』(亀井氏)
とシロを強調」
私が子細に見ただけで幾つかの疑問があるのに、
自民党は真紀子さんの言い分を聞いて、
それも資料もちゃんと見せてももらえていないのに
「シロ」との判断とは・・・
情けなかばい!!
「資料をちゃんと見せられるように
本人の了解をキッチリ取ってから
もう一度出直して来なさい」
とどうして言えないのか?
これから放送本番なのでその中でまた・・・
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