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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第794回

ほぼ日編集部様

5月8日のニュースから

今日から急きょ神戸へ取材に行くことになりまして、
新幹線までの限られた時間を使って
必死に書いていますので、
多少ご不満もあるかと思います。

政治家の発言が新聞には出ていて、
私はその言葉そのものを
結構ちゃんと見るようにしています。
勿論、新聞の記事に出てくる政治家の言葉は
一回記者のフィルターを通りますので、
100%その通りかというと、
必ずしもそうではないと思います。

新聞記者は基本的に「趣旨主義」でメモを取っています。
最近はICレコーダーなどという
便利なものが出来て記者が
念のため録音して後で再生しているケースも
あるやに聞いてますが、
記事の原稿にするときには
人物の発言をそのまんま書くというより、
趣旨を書けばいいという考え方があります。

私は現役の記者の頃から言葉に拘り、
特に人物の吐く言葉の
「語尾」には特に注目して来ました。
で、私の話は別にして今日は
この記事のある政治家の言葉に注目してみました。

毎日新聞の5面にこの記事。

「城山さんを中傷の発言 
 個人情報保護法案 自民チーム会合」

 
記事によれば、7日、
自民党の個人情報保護法の必要性をアピールする
PR チーム(座長・亀井久興元国土庁長官)が
会合を開いたそうだが、
その会合で小泉首相に法案への
反対・異議を唱えた作家・城山三郎さんに対し、
ある議員から次のような
中傷ともいうべき発言があったそうだ。
「城山さんみたいな理性派が反対論を言うと
 国民は信用してしまう。
 おそらくぼけているから、
 (反対論を)言ったんだと思う」

この記事でまず気にくわないのは
なぜこの政治家の発言は匿名で書かなければならんのか!
ということですばい。
その場にいなかった、つまり伝聞だから、
匿名にしたというのかもしれないが、
過去には会議の中身を伝聞で人名を上げて書いてきた
新聞がここでなぜ怯むのか。
私には分らんですばい。
城山さんだって「ぼけてる」
とまでこきおろされたんだから、
誰がそんなことを言ったか知りたいでしょうね。
もっとも城山さんならこんなアホなことを
平気で言う人物は
相手にしないかもしれませんが・・・・

で、朝日新聞はどう書いてるのかなあ・・・
と興味を持ってみてみました。
朝日の見出しには城山さん中傷
ということはうたっていない。見出しはベタ記事で

「個人情報保護法案 積極的広報へ
 自民がチーム」

 
この法案へのメディア側からの
反対の声が強くなってきたのに対し、
自民党も積極的にPRをやろうぜ、
という自民党の動きが記事の大半で、
最後に城山さんの下りが出てくる。
その部分を引用しておこう。

「同法案を批判している作家の城山三郎氏が
 『法律が成立したら【言論の死】の碑を建てる。
 そこに法案に賛成した議員全員の名前を記す』
 と発言したことをめぐって
 『城山氏はそれこそが
 言論統制だということが分っていない。
 ぼけているんじゃないか。抗議すべきだ』
 と口を極めて非難する意見も出た」

こちらも「ぼけ発言」を誰が言ったのか。
名前は書いていない。発言の内容も毎日と微妙に違う。
ここら辺りが先に私が書いた
記者の趣旨主義の結果なんですね。
「ぼけているんではないか」という下りは
どちらの新聞も引用しているが、
毎日は
「城山さんのような理性派が言うと
 国民が信用してしまう」
という一種の嘆きがでているが、
朝日は「それこそが言論統制だ」
という城山氏へのかなり厳しい
非難発言のように見える。
どっちが本当なんだろうか。
ま、どっちにしても城山さんのことを
「ぼけ老人」
扱いする国会議員は誰なのか??
新聞は明らかにする必要がある。

これから出発・・・・・
明日は深夜に帰宅になりそうなのでまた早朝出稿かも。

2002-05-09-THU

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