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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第769回

ほぼ日編集部様

4月13日のニュースから

今日のスポニチの社会面に
先日試写を見た映画「KT」のことが出ていた。
見出しは
「映画『KT』証人も太鼓判 
 阪本監督『夢のよう』」
「ソウル市内で試写会 政治家ら来場
 『すべて描かれて・・・』 
 W杯目前に日韓で同時公開」
「モデル金大統領病床から”伝言”」


この映画は1973年に起きた
所謂「金大中事件」を忠実に再現した映画だ。
シネカノン社制作で、監督は阪本順治さん(43)。
日韓合作の映画で俳優も両国の、
例えば日本では原田芳雄さん、
韓国ではキム・ガプスさんら。
5月3日に日韓同時公開だそうだ。

この事件には私は特別な思いがあるので
先日の試写会も大変興味深いものでした。
当時私は大阪府警を担当していて、
事件発生直後から関西で取材に走り回っていたからです。
私の記憶では金大中氏を拉致して
韓国まで運んだ船の名前は
確か「竜金号」といいましたが、
その船会社が大阪市内にありました。

その船会社を突き止め船の図面を入手し、
金大中さんはこの辺に閉じこめられていたのかなどと、
同僚と話したのを記憶しています。
また拉致して韓国に向かう韓国人KCIAのメンバーが
大阪港の近くのホテル
(確かラブホテルだったと思うけど・・)に
数日間泊まっていたのも突き止め
取材に行ったのも覚えています。
それから、当時私たち取材している者にとって、
金大中氏が東京から車で運ばれて来て
一時監禁された家を突き止めるのが最大の課題でした。

情報では
「安の家」
ということでした。
私たちはてっきっり「安さん」という
韓国人の家だろうと思い込み
必死で探し回ったものでしたが、映画の最初の方で
「安家」
と書いて
「隠れ家」という意味だと分るシーンが出てきて
長年の疑問が氷解したのでした。
ハングルで
「アンガー」(安家)
というのは安さんの家ではなく、
単に「安全な家」つまり、
隠れ家だという意味なんですね。
そういう意味でも自分の若いころを思い出しながら
実に懐かしく見ました。
映画としてもよく出来ています。

拉致を実行するチームの主人公は実名では
「金東雲」という韓国大使館の一等書記官ですが、
映画では「金車雲」という名前で登場します。
こういう拉致犯行グループの
一人ひとりの心情までも描き、
単なる善玉・悪玉みたいな映画ではないんですね。
それぞれが生きた人間として描かれていて、
これはハリウッド映画などを凌ぐ
一級のエンターティンメント映画でした。

ストーリーそのものが
大変ドラマティックであるからでもありますが、
監督を初め制作者の、
ものの見方が実に素晴らしいと思いましたね。
それにしても東京のホテルから拉致されて、
船の中で殺されかけた人物が、
後に大統領になるなんて、
これこそ事実は小説より奇なり、
とはよくぞ言ったものだよなあ・・・・
映画を見ながら呟いたものでした。
私は後にテレビに移ってからまだ大統領になる前の
金大中さんにソウルで
インタビューをしたことがあります。
事件のことも聞きました。
金氏の非常にうまい日本語が印象的ですが、
大統領になると
決して日本語は口にはされないんですね。
そのあたりに日韓の微妙な歴史が
影を差しているんだなあと、
金大統領をテレビなどの映像で見るたびに思います。
因に「KT」とは
「Kill the target」
の意味だそうです。
機会があれば是非ごらん下さい。

ということで今日はもう終わりです。
君の韓国語については、
かつてソウルからメールを送ってきてくれた
李仁貴さんが次のように言ってます。
参考までに転載しておきます。
皆さんも興味があると思いますので・・・・・

_________________________

ごぶさたしております。
以前、ソウル在住時にお世話になりました
李仁貴です。

日本に来てからも楽しく拝見しております。

さて、草なぎ君の韓国語のお話ですが、
日本語を母語として韓国語を学んだ身として
メールを送らせて頂きます。

はっきり言って、あの番組を見る限り、
草なぎ君の韓国語は上手です。

韓国語は英語と違い、
日本語と語順がほぼ同じで、
日本語と同じ漢字を使った熟語が多く、
似たような言い回しがあるので、
日本語を母語とする人には
学びやすい外国語だと思います。

だから、同じ時間を費やして
英語と韓国語を勉強した場合、
韓国語の方が早く習得できるはずです。

でも、あれだけ草なぎ君があれだけ話せるのは、
かなり猛特訓したのではないかと思います。

ただ、気になるのは、
草なぎ君の話す韓国語が、
純粋な自分の言葉ではないような印象があります。

日本語を母語とする人が韓国語を学ぶ場合、
言語が似てるからこそ
「直訳」をやってしまう傾向がありますが、
草なぎ君の言葉には、
日本にあって韓国にない言い回しを
韓国の人に対して表現する場合に
わざと「直訳」する以外には自然な韓国語の表現です。
だから、すごく上手に聴こえるのかもしれません。

多分、これはあくまでもわたしの推測ですが、
草なぎ君が言わんとすることを、
予め韓国語のネイティブスピーカーが
韓国語らしい韓国語、
それも韓国の若者が話すような言い回しにして
それを草なぎ君が覚える、という
やり方を取っているのではないかと思います。

もちろん、あれだけの語彙力があって
しっかりと話せるのは、
基本的な文法や単語を理解しているからだと思います。

以上、わたしの考えです。
他の意見もいろいろあるんだろうなぁ…。
気になります。
一時期、「チョナンカン」はよく見ていたのですが、
最近はあまり見ていなかったので。

それにしても、本当にメディアで
韓国がさらにたくさんとりあげられるようになりましたね。
私個人的には、
この動きがいつまで続くのかが気になります。
いや、いつまで続くというよりかは、
当たり前のものになって欲しいです。

それでは、鳥越さん、お体お大事に。。

2002-04-14-SUN

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