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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第763回

ほぼ日編集部様

4月7日のニュースから

小沢一郎氏の発言が新聞記者にちょこっと
気になったようだ。
扱いが中途半端なところが、
この小沢氏の言葉をどう受け止めたらいいんだろう、
というような迷いにも見える。
朝日新聞は3面の右下隅にベタ記事扱いで

「自由党・小沢氏 『核武装は簡単』 中国側に
 軍備増強牽制」


記事によれば、小沢さんは6日の福岡での講演で、
最近小沢氏に会いに来た「中国共産党情報部の人」に
次のようなことを言ったとその内容を明かしたそうだ。
小沢氏の言葉。
「あまりいい気になると、日本人はヒステリーを起こす。
 (日本が)核兵器を作るのは簡単だ。
 その気になったら原発のプルトニウムで
 何千発分の核弾頭が出来る。
 大陸間弾道弾になるようなロケットを持っている」

朝日の記事は小沢氏がこういうことを
中国共産党情報部関係者に言って
「中国を強く牽制した」
としている。
ただ、記事には小沢氏が同じ講演の中で
「願わくは中国と日本が共生できる社会が望ましい」
とも語ったと書いてあり、小沢氏の真意はどこにあるのか
分らないというふうにも読める。
つまり小沢さんは講演の中で自分の真意は
中国を脅すところにあったんではなかったんだよ、と
かなり神経を使いながら話したんだろう。
そこで記者としても
「牽制」か
「要望」か
どっちを記事の中心に据えるか若干迷ったようだ。
結局は「牽制」の方を取ったらしい。
見出しには
「軍備増強牽制」
となっている。

記事によると、講演では核兵器話の前に
「中国は超大国になろうと軍事力増強にいそしんでいる」
という下りがあったんだそうだ。
だからこういう見出しになったんだろう。
記事の通りなら小沢さんは、
自分は中国共産党の情報部関係者が会いに来るような
立場にあることをさり気なく聴衆に言いながら、
自分は中国にあんまりいい気にならないように、
こういうふうに言いましたよ、
まあそういうことが言いたかったんでしょうね。
記事の最後は
「中国政府などの反発が予想される」
で終わっている。

いま、日本人の政治家で中国の要人にこんなことを
平気で言える人はあまりおらんでしょうから、
その意味では貴重な人かもしれませんね。
しかし、私たち国民の大半はきっと核については
こういう考え方はしていないと思いますので、
牽制するにしてももう少し違う言い方が
あったんじゃないでしょうかね。
一番興味深いのは、「(中国があまりいい気になると)
日本人はヒステリーを起こす」という
小沢さんの日本人観だ。
小沢さんは第二次大戦での太平洋戦争のことを
言ってるんでしょうね。
日本は1930年代後半に「ABCD包囲網」
(アメリカ、英国、中国、オランダの頭文字)を
張り巡らされた結果、集団ヒステリーのように
太平洋戦争へ突入していったというのが
小沢さんらの頭の中にあるんでしょうか。
今度は真珠湾ではなくて、数千発の核弾頭ですか。
本当に小沢さんがそう思っているとすれば怖い話だ。
小沢さんが怖いのか、そういう日本人が怖いのか。
ここは判断の分れるところだ。

毎日新聞も2面のベタ記事。

「日本の核武装可能性に言及  自由・小沢党首」

発言の内容は朝日とは少し違う。
「(中国が)あんまりいい気になると
 日本人はヒステリーを起こす。
 日本の原発にはプルトニウムが余っているから、
 核弾頭を3000から4000発持てる」

日本人は(中国人があまりいい気になって
じゃんじゃん軍備増強していると)
やがてヒステリーを起こして、核弾頭を作りますよ、と
牽制というか警告を発したのは確かなようだ。
両紙を読むかぎりはそうらしいと思える。
ただ、朝日では「数千発分の核弾頭」としているところ、
毎日では「3000から4000発」の
核弾頭となっているところが違う。
それから毎日には核弾頭の運搬手段としての
ロケットの話は出ていない。
朝日には
「大陸間弾道弾になるようなロケットを持っている」
とちゃんと書いてある。
小沢さんの話はどうだったんだろうか。

核兵器のことを話すときには
核弾頭とミサイル(ロケット)はセットだから、
恐らく小沢さんはロケットにも言及したに違いない。
毎日はその部分は大したことはないということで
カットしたんでしょうが、多少でも軍事知識があれば
ロケットの話は落とさないんですがねえ・・・・

スポニチには社会面のベタ記事で、

「小沢氏過激に 中国をけん制」
「日本も一朝で核弾頭持てるんだ」


とある。

記事を読むと問題の下りは
「あんまりいい気になると日本人はヒステリーを起こす。
 中国は核弾頭があると言っているけど、
 日本がその気になったら一朝にして
 何千発の核弾頭が保有できる。
 原発にプルトニウムは
 3000、4000発分もあるのではないか。
 そういうことになったら(中国に)軍事力でも負けない。
 そうなったらどうするんだ」

朝日、毎日ともちょっとづつ違っているが、
これは共同通信の配信記事でしょう。
これが小沢さんの発言に一番近いんではないだろうか。
新聞記者は習性として発言の要旨さえ間違えなければ、
多少は簡略化したり、端折ったりしてもいい、と
思っている。
人の発言を出来るだけ忠実に、
厳密にいえば一字一句違わないようにメモを取るという
習慣はないんだねえ。
人間の本質的な部分は
言葉の語尾に出たりすることがあるんだけど、
新聞記者はあまりそういうことには配慮しません。
発言のおおよその中身、
つまり要旨が合っていればいいということです。

その結果、今日3紙を見比べて出てきたように、
一人の人物の発言が新聞によって
こんなにも違っているということになるわけです。
それにしても日本はそんなに簡単に
核兵器を作れるんでしょうかねえ???
専門家の方、また教えて下さい。

はい、ということで今日はお休みなさい。
また明日・・・・・

2002-04-08-MON

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