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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第742回

ほぼ日編集部様

3月16日のニュースから

今、真紀子さん騒動や鈴木宗男さん疑惑で
国民全体が一種のヒステリー状態にさせられているが、
その陰で実はもっと大事なことが進行していることを
国民のどのくらいが知っているだろうか。
それはメディアの規制に関する法律が
3つもでき上がりつつあるんです。
メディアのことは国民の生活には直接関係ない
という人もいるけれど、
メディアはもちろん中身は色々ありだが、
大ざっぱな言い方をすれば、
それは国民の目と耳に関することである。
目や耳に障害が出て困るのは分かっているはずだが、
これまでのところあまり関心を持たれてこなかった。
所謂「人権3法」というものだ。
「個人情報保護法案」
「青少年有害社会環境対策基本法案」
「人権擁護法案」
正式には上記のように呼ばれている。
しかも今国会に出され成立する可能性がある法案だ。
今日の朝日新聞の夕刊にこのうち
「人権擁護法案」について
ちょっと興味深い記事が出ていたので紹介しておこう。
第2社会面のトップ記事でかなり大きく出ている。

「取材とストーカー同列?」
「人権擁護法案  ストーカー規制法  
 規定内容 うり二つ」
「法務省『意図ない』」


この人権擁護法案というのは差別や公権力による虐待など
人権侵害を防ぎ、救済をすることを謳っているのだが、
法案のかなり重要な項目として
「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関、
 または報道機関の報道もしくはその取材の業務に
 従事する者がする以下の人権侵害行為」
として具体的に侵害行為を列挙している。
その具体的な行為の表現が一昨年に成立施行された
「ストーカー規制法」とほとんど同じだというのが
朝日の記事の趣旨だ。
記事にはその両方の規定内容が並べて書かれてあるが、
読むとなるほどこりゃあ、うり二つだわい、と
うなってしまった。
そのまま載せておきますよ。
まず「ストーカー規制法」
「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、
 住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所
 (以下『住居等』という)の付近において見張りをし、
 または住居等に押し掛けること」

次に今回8日に閣議決定された「人権擁護法案」の一部。
「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、
 住居勤務先、学校その他その通常所在する場所の
 付近において見張りをし、
 またはこれらの場所に押し掛けること」

一ヶ所だけを除き全く同じだ。
ストーカー規制法では「場所」を
「住居等」としているところを
「人権擁護法案」では単に
「場所」としているところだけが違っている。

これは法務省が人権擁護法案を作るときに
安易に「ストーカー規制法」の文章を丸写しした
と言われても仕方がないなあ。
記事にはさまざまな立場の人がこの丸写し法案について
コメントを寄せている。
報道に携わる立場からは
「ストーカーと一緒にされることは心外だ、異様だ」
 という反応だ。
一方森山真弓法務大臣は
「取材を拒んでいる人への過剰取材と、
 ストーカー行為と、目的は違っても
行為が同じであれば、
法律で同じような言葉になることはあり得る」
と言っている。
まあねえ、言わんとすることは分かるんだけど
これは言い逃れだなあ。
だってそっくり同じというのは
役人の怠慢以外の何ものでもないし、
形態が一緒だからと言ってストーカーという犯罪と
報道の取材行為を同列に考えている発想がおかしい。
確かに犯罪被害者からすると過剰な取材は
「犯罪的」といってもいいくらいに思えるだろう。
しかし、「犯罪」と「犯罪的」を
一緒にしてはいかんよねえ。
これは、しかし、今後色々議論を呼ぶところだろう。

てなとこで今日はお休みなさい。
また明日・・・・・・

2002-03-17-SUN

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