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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第740回

ほぼ日編集部様

3月14日のニュースから

パレスチナとイスラエルの戦闘は
日ごとに激しくなっていく。
毎日10人、20人という単位で双方に死者が出ている。
日本人はほとんど何も感じないだろうが、
これって本当に異常な状況なんですよ。
13日の毎日の夕刊2面に

「『愛国歌』流れ 弔問の列 絶えず」
「怒り渦巻くガザ北部パレスチナ難民キャンプ」
「『わずか20分間 17人殺された』」


パレスチナ側の死者の方が多いが、
当然ながらその報復として
パレスチナ人の自爆テロ行為で
イスラエル側にも多大の被害が出ている。
エルサレムの町の中、それも買い物客でごった返す繁華街で
銃の乱射や自爆テロ事件が毎日のように発生。
私がイスラエル人なら
とても買い物どころじゃないなあと思う。
イスラエルのシャロン首相が強硬な路線をとり続け、
パレスチナ側に戦車100台で攻撃などという
とんでもない政策をとっている。
これじゃ紛争は今後エスカレートするばかりじゃないか、
国連は何してるんだ、と悪態ついていたら、
アナン事務総長に聞こえたらしい。

13日の夕刊に朝日、毎日ともに
アナンさんの演説を取り上げている。
ただ、ちょっと不満なのは
これはもっと大ニュースだと思える割には扱いが小さい。
毎日新聞は2面に2段見出しで

「『不法占拠』と非難 イスラエルに国連事務総長」

朝日新聞は毎日よりもっと扱いが小さく2面のベタ記事。

「『不法な占拠』とイスラエル非難 国連事務総長」


内容はどっちも同じ。
アナン事務総長は12日、国連の安全保障理事会で演説し、
イスラエルによるヨルダン川西岸とガザ地区の軍事占領を
「不法占拠」という表現で非難したという。
アナン事務総長がパレスチナ自治区で現在進行している
イスラエル軍による大規模な軍事攻撃を
こうした激しい表現で非難したのは初めてだそうだ。
演説の中でアナン事務総長は
「この10年間で最悪の事態だ」
と指摘し、イスラエル軍が戦車や戦闘機を使って
民間人の居住地域への攻撃をしたり、
暗殺、大規模な被害を与える兵器の使用の
即時中止を求めた。
またパレスチナ側には
テロ攻撃を止めるように要請したという。

さすがに国連も放ってはおけないと
思ったんでしょうかねえ。
これだけを見ても少し情勢の変化が
見られるという気はしますね。
そんな感じで観察していると、14日今日の毎日の朝刊に
7面、国際面のトップ記事で

「国連安保理決議 パレスチナ国家を肯定 」
「米提出案採択  和平再開求める」


へえー・・・ほんまかいな、そうかいな、てとこですよ。
記事によれば国連の安保理事会は12日夜、
将来のパレスチナ国家樹立を肯定し、
パレスチナとイスラエルに交渉再開を呼びかける決議案を
賛成14、反対0で採択したという。
ほんまかいな、そうかいな・・・
というのはこの決議案を出したのが
ブッシュ政権のアメリカというところですね。

これまで徹底的にイスラエル寄りに終始してきたアメリカが
自らパレスチナの国家樹立まで見越した決議案を出したのが
極めて異例なわけで、
こりゃまたどうしたことかいなあ・・・・・
これで事態は新たな局面に入るんだろうか?
アラブ諸国の中でリーダーの役割を持っている
サウジアラビアのアブドラ皇太子が先に提案した
「イスラエルが占領地から撤退するのと引き換えに、
 アラブ各国がイスラエルを承認する」
とする和平案も歓迎するとこの決議案は述べているそうだ。

現在アラブ諸国の中で
イスラエルを国家として承認しているのは
エジプトとヨルダンだけだから、
もしこの決議案が実行に移されたら
これは中東に大きな変化をもたらすだろう。
アラブ諸国がイスラエルを承認、
アメリカやイスラエル、ヨーロッパの国々も
パレスチナを国家として承認ということになると、
この二つの国は国境を接する国家として
共存できる可能性が出てくる。

現実的に考えて私はこういう枠組みに
将来はならざるを得ないと思うのですが、
さあ、そう易々と問屋が卸しましかねえ・・・
という疑問は拭えない。
昨日までそんな素振りも見せなかったアメリカが
急に態度を変えるなんて
にわかには信じられないというのが正直なところでしょう。
国連の安保理決議では、アラブの中で強硬派のシリアは
「内容が弱い」として棄権をしており、
必ずしもアラブがこの線で
まとまっているわけではなさそうだ。

アメリカの態度急変がどうしてもクサイ。
何かある。
毎日新聞はエルサレム発で
小倉孝保記者の解説記事を載せているが、
その見出しはこうだ。

「イラク攻撃視野に 米のアラブ懐柔策」

どうやらブッシュ政権の次なる標的はイラクのようだ。
何が何でもイラク攻撃をやりたいらしい。
それはブッシュ政権の本質が
軍産複合体に支えられたものである以上、
当然の成り行きだと思える。
世界のどこかでいつも戦争状態を作り出していることで
アメリカの屋台骨を支える
軍需産業と政府・軍の複合体は繁栄する訳だ。
その戦略目標を遂行するために
当面アラブ諸国の支持を取り付けておきたい。
それが本音でしょうねえ。
というわけで今日も長いのを書いてしまった。

今週の「ザ・スクープ」は愛知県で起きた
指紋で窃盗の犯人にされてしまった男性の悲劇、
そして裁判の結果は?????
「ザ・スクープ」得意の指紋シリーズ第2弾です。
来週はいよいよあの「ロッド空港事件」の生き残り、
岡本公三インタビューです。
本格的なインタビューは世界でも初めてでしょう。
私が風邪を引きながらベイルートまで行って来ました。
また明日・・・・・・・

2002-03-15-FRI

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