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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第736回

ほぼ日編集部様

3月10日のニュースから

毎日新聞も朝日新聞も
1面でこのニュースを取り上げている。
扱いはそうは大きくないが、これは私にはとっても
重要なニュースだと思うんですがねえ。
毎日から。

「米政権 核使用計画策定へ 米紙報道
 中露など7カ国想定」
(3段見出し)

朝日は1面4段。

「米国 7カ国に[核使用計画] 米紙報道
[政権、策定指示]」
「中ロ・イラク、北朝鮮など」


このニュースはそもそも
アメリカ・ロサンゼルス・タイムズ紙が報じたものらしい。
それを日本の新聞社や通信社が
キャリーしてきたもののようだ。
毎日の記事は共同通信の原稿を使っている。
記事によれば、
「ブッシュ政権が国防総省に対し、
イラク、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など
少なくとも7カ国を対象に、
非常時の核兵器の使用計画策定と、
攻撃目標をピンポイントできる
より小型の核兵器開発を命じていた」

ロサンゼルス・タイムズ紙は国防総省の内部文書を基に
伝えたものだという。
これもいわば内部告発の一種ですかね。
それによると、
ブッシュ政権が核兵器使用の対象にあげているのは
イラク、北朝鮮の他に
中国、ロシア、イラン、リビア、シリア。

この内部文書によれば核の使用が想定されるケースとして
1.通常兵器では撃破できない敵
2.核や生物・化学兵器による攻撃への報復
3.予想を超える軍事上の展開
をあげている。
それは具体的にいうと、機密文書によれば
「アラブとイスラエルの衝突」
「中国と台湾の戦争」
「北朝鮮による韓国への武力行使」
などで核兵器を使用するかもしれない、ということらしい。
なんだかねえ、おいおいだよ。
冷戦が終わって私ら地球上の人間は
ようやく核戦争の恐怖からは逃れたと思っていたのに、
ブッシュ政権登場とともに、アメリカ主義とでも言うのか、
俺達がやることには
世界中のものはガタガタ言うんじゃない!
俺たちゃ核兵器なんて使うのに
なんのためらいも見せないんだよ。てな調子じゃないか。

先日もこの欄でニクソン大統領が
ベトナム戦争で核兵器を使いたいと主張している
録音テープが公表されたというニュースを紹介しましたが、
アメリカの指導者は最初に原爆を日本人に使った
トルーマン大統領を初めどの指導者も
核兵器で犠牲になる民間人のことなど
これから先も考えていないという事実。
これを改めて感じさせられましたねえ。

中国と台湾戦争
北朝鮮と韓国
この二つの現場は極めて日本に近い。
もしそういうことになったら
日本への影響は避けられないだろう。
だからって反対というんじゃなくて、
アメリカがこれまで宣言してきた
「核兵器の先制使用はしない」
という原則をかなぐり捨てた、そのことに改めて
焦点を当てて私たちは考えてみる必要がありそうですばい。

はい、次はこれです。
私がこの欄で何度か言及した「内部告発」の問題を
今日の新聞があちこちで取り上げている。
まず、毎日新聞は2面に3段見出しで

「宗男氏追い詰める[内部告発]
[秘 無期限]の文書  野党が国会で活用」


この記事には先の国会で
共産党・佐々木憲昭氏が明らかにした
国後島・ムネオハウスの入札に関する内部文書が
どういうふうに佐々木氏の手元に届いたのかが
書かれている。
この辺のことは数日前に朝日のコラム
「ポリティカにっぽん」だったかな、
早野透さんのコラムで紹介されていた。

毎日の記事によれば、内部文書が速達親展で郵送されたのは
2月20日。
「当時の鈴木宗男官房副長官が外務省に対し
[ムネオハウス]を無競争入札にするよう
働きかけたことを示す文書を送付します」
こういう手紙が添えられていたそうだが、
佐々木議員の秘書は午前8時過ぎに議員会館の文書庫から
この手紙を持ってきたそうだ。
開封した佐々木氏は内容が
共産党の独自調査と符合していることや
「秘 無期限」というハンコに見覚えがあったことから
本物という判断をして即日、衆院予算委員会で
その文書を公開した。

因に同じ文書は民主党の河村たかし氏にも郵送されたが、
秘書が文書庫から手紙を運んできたのが午前11時過ぎ。
おまけにこの日河村氏には質問の予定がなく、
同じように内部告発文書を入手しながら、
完全に佐々木氏にその果実は行ってしまった。
8時と11時じゃやはり3時間の差がある。
早起き、勤勉という秘書の差が出たのか、
それともその日質問の予定があった佐々木氏は
早朝から議員会館に出勤、
秘書とともに仕事を始めていたのが幸いしたのか。
知らない人からの手紙といってもバカにできない例ですね。

そして次には防衛施設庁の内部文書。
これは記事によれば、共産党の佐々木氏と
民主党の石井紘基氏、
社民党の辻元清美氏、この3人に宛てて
内部文書が郵送されたんだそうだ。
添えられた手紙には
「鈴木議員の言いなりになっているのは
 外務省だけではない」
と書いてあったそうだ。
さらに文書の一部に小さく
「札幌防衛施設局書式」
とあったという。

佐々木氏は辻元氏と相談、質問順が先の佐々木氏が
この文書を暴露したという。
外務省にも防衛施設庁にも内部告発者がいたことになる。
これって組織への忠誠心が異常なほど強い日本では
珍しいことではないだろうか。

スポニチの26面、岩見隆夫さんのコラムでも
今日はこの現象を取り上げている。
「止まらない内部からの告発
 陰の外相はもう一人いる!?」
ここでも外務省と防衛施設庁からの内部告発事情が
語られている。
さらに、朝日新聞のコラム
「ポリティカにっぽん」の引用として、
筆者の早野透氏の元に、ある外務省中堅職員から
次のような手紙が届いたということが紹介されている。
「対外経済援助、人事に不当に介入したのは
 鈴木氏だけではありません。膿を出し切らなければ。
 鈴木氏以上に役人をいじめる陰湿なやり方で
 恐怖感を与えてきたのはZ氏です。
 このような状況が続けば
 内部文書の流出・告発は避けられません」

当然ここで誰もが興味を持つのは
「ええっ、このZ氏って誰のこと?」でしょうね。
見出しになってる「陰の外相」というほど
外務省で猛威を奮っている人がいるんだということですね。
この告発の手紙には実名が書いてあったんでしょうか。
私も知りたかですが、おそらくこうした傾向は
今後も続くんでしょう。

で、朝日新聞の4面ですけど、
「ON AIR 党首」
という囲み記事ではこういう発言が取り上げられている。
「内部告発者守る立法も」
このコラムによると、社民党の福島瑞穂・幹事長は
「これからの日本は、客観的にみて筋の通らないことは
許さないという社会になるべきだ」という考えで、今、
「内部告発者保護」(ホイッスル・ブロー)法案を
検討しているという。
ホイッスル・ブローとは「危ないぞ」と
警告の笛を吹くという意味だそうだ。

福島さんはこう言っている。
「情報公開だけでは不十分。
 内部告発者が不利益を被らないように保護する法律が、
 米国や英国などにある。今党内で問題提起している。
 今国会提出をめざしたい」

その通りだ。
密告ではない。
内部告発。
この言葉を日本に定着させたい。

ではまた明日・・・・・・・

2002-03-11-MON

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