TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第734回

ほぼ日編集部様

3月8日のニュースから

昨日書いた「内部告発」の続きをもう少し書いておきたい。
この言葉はどうしても「裏切り」の響きを免れないため、
汚い行為のように受け止める人がいるだろうからです。
もう一つの響きは「勇気」ですね。
これを合わせると
「勇気をもって組織を裏切る」ことになる。
確かにそういう側面もあるから
ネガティブな響きを持ってしまっても
仕方がないかもしれない。
ばってん、です。
筑後弁でいうと、こういう場合「ばってんですたい」
ということになる。

ばってんですたい、これから私達は
組織の中にいて不正や正義にもとる行為や危険な行為、
正すべきことを目にしたり、耳で聞いたり、
自らが経験した場合、
これを悩みつつも「内部告発」して
オープンな場でその歪みを修正して行く、
そんな勇気を持ちたかですたいね。
敢て「内部告発のすすめ」を説く訳ですばい。
最近はニュースになる事件(広い意味でですが・・・)の
かなりの部分がこうした内部告発で
事態が動いているのに気がつきませんか?
今日の毎日新聞の朝刊2面に
「発信箱」というコラムがあるのは
ここで何度か取り上げたので御存じでしょうが、
今日はここで北米総局長の中井良則記者が
先日取り上げた、国防総省(ペンタゴン)の
「戦略影響局」の構想が何故潰れてしまったのかについて
面白いことを書いている。
「戦略影響局」というのは9・11事件の後、
ペンタゴン内部で密かに作られた部局で、
何をやるかというと、メディアに偽の情報をわざと流して
敵を混乱させようというものだ。
情報戦略だけを突き詰めて行けば
そういうこともありなんでしょうが、
アメリカの国防総省が密かに
そういう偽情報担当の部局を作っていたとなると、
正義と民主・自由の国、アメリカとしては
ちょっと具合が悪いんじゃないの、ってことになるのは
目に見えている。
記事によれば、ホワイトハウス、
つまりブッシュ大統領も知らなかった
(ことにしたのかどうかは知らないが・・・)らしく、
アジアから帰国して反対の意向を示した。
それでこの「戦略影響局」は御破算。
解体となってしまった。
じゃあ、こんな秘密の部局がペンタゴン内部に
出来ていたのが(大統領さえ知らなかったのに)
どうやって表に出てしまったのか?
興味深いのはここのポイントですね。
2月19日、この事実をすっぱ抜いたのは
「ニューヨーク・タイムズ紙」だ。
翌日ラムズフェルド国防長官は
「ペンタゴンはうそはつかない。
 戦術的に敵をだますことはあるが」
とかわしたが、メディアが一斉に批判。
ついにブッシュ大統領が廃止を宣言して
一巻の終わりということになった。
そこでまた、じゃあだけど、
ニューヨーク・タイムズ紙はどげんしてこげな内部も内部、
秘中の秘の情報をゲットしたんでしょうか?
中井記者の記事によれば、
「タイムズ紙に秘密部局の特だねを教えた
 公務員X氏の決断がカギだった。
 初報で『いかがわしいウソつき組織』の
 マイナスイメージが定着し、
 百戦錬磨のペンタゴンも敗退した」
要するにペンタゴン内部の職員からの内部告発が
決め手になったんだと思います。
アメリカ人は嫌なとこもいっぱいあるし、
結構付和雷同しやすい国民ですが、
こういう信念に基づいて行動をする人が
必ずどこかに、いやどこにも、いるというところが
日本と少し違うところですたいね。
ばってん、日本もやっぱり変わってきたつばいね、
と思ったのは先日の鈴木宗男さんに関わる
外務省の内部告発、そして今度は防衛施設庁の内部文書が
共産党に流れて国会で明らかにされたこと。
今日の毎日新聞の夕刊の社会面で
「宗男氏介入示す文書  防衛施設庁認める」
という記事が出ていた。
この文書は防衛施設庁総務部業務課など
3ケ所に保管されていたことが確認されたという。
3ケ所ですよ、3ケ所。
これだけ限られたところからも最近は内部の文書が外部に、
しかも以前なら絶対あり得ない
共産党議員の手に渡るなんて。
深読みして鈴木議員追い落としのため
あえて役所が流したことも考えられますが、
まあ、それはないでしょう。
機密の漏えいは軍事組織では一番嫌うことですからね。
ましかし、アメリカも軍事組織からの情報漏えいなんで
同じですかね。
私達はそういう時代に生きていると言うことなんでしょう。
組織内部のいかがわしいことは
必ずや表に浮上する、そんな時代です。
内部告発のすすめを私が力説する理由です。
ではまた明日・・・・・・・

2002-03-09-SAT

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