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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第728回

ほぼ日編集部様

3月2日のニュースから

今日はアメリカの核二題。
毎日新聞の7面の国際面。二段の記事ですが
こんな見出しがぎょっとさせる。

「米ベトナム戦争で核使用検討 
 ニクソン大統領『君は懸念し過ぎる』  
 キッシンジャー補佐官が反対  会話テープ公開」


ベトナム戦争の最中の1972年4月、
ニクソン米大統領が北ベトナムに対して
核爆弾の使用という気になり、
キッシンジャー補佐官の反対で
実現はしなかったことが分ったという。
これは28日、米国立公文書館が公開した
電話録音テープによって明らかになったそうだ。
72年と言うことからすると、
30年たったということだろう。
大統領と補佐官の会話と言う際どいものでさえ
30年たてば情報公開すると言う前提があるから、
政治家は自分の言動にそれなりに責任を負うわけだ。
日本のように公開がいい加減になっていれば、
政治家は本当は何をやっているのか分ったものではない。
政治倫理とかモラルを言う前に
情報の公開がいかに大事かはこういうことで分る。

今度公開されたテープは
約500時間に及ぶ長いものだそうだ。
記事によると、1972年4月25日の電話で
ニクソン大統領は
「核爆弾を使いたい」
とキッシンジャー補佐官に提案したと言う。
補佐官「それはやりすぎでしょう」
大統領「君は核爆弾は嫌かね?もっと大きく考えてほしい」

さらに5月の会話ではこういうやりとりがあったそうだ。
大統領「君は民間人の犠牲を懸念し過ぎる」
補佐官「私が犠牲を恐れるのは、
    世界中の人々があなたを殺し屋だということを
    望まないからです」

核戦争の危機については
朝鮮戦争やベトナム戦争そして
あの映画「13DAYS」で描かれたキューバ危機などで
何回かあったことは知られているが、
実際に大統領の肉声で「核兵器を使いたい」
というシーンが裏付けられたのは初めてだろうなあ。
「もっと大きく考える」とか
「民間人の犠牲を懸念し過ぎる」
とかの表現で、アメリカの指導者の頭の中には
いつもその核兵器で無惨な死に方をする人々のことは
一切考慮されていないことが分る。
広島・長崎でもことは同じだったんだろう。
これからも事情は同じでしょう。
いくら日本が被爆国として核兵器の禁止を訴えても、
自らの国益のことしか彼らの頭の中にはない訳で、
きっと「もっと大きく考えて」
核爆弾を投下する日が来るでしょうし、
「民間人の犠牲を懸念し過ぎない」大統領が
ブラックボックスのボタンを押すんでしょうね。
アメリカ人の精神構造の中に
核兵器があることが問題なんでしょうか。

アメリカ人が核兵器の使用について
上のような考え方をしている、その裏返しは
自らもいつ何時核の攻撃を受けるかも知れないという
不安から逃れられないということでもある。
2日の夕刊にはその証拠のような記事が出ていた。
毎日新聞から。

「米が『影の地下政府』 
 対核テロ  東海岸100人規模で発足」


米ブッシュ政権は核によるテロ攻撃に備えて
首都ワシントンから離れた東海岸の地下ごうに
政府高官約100人を交代制で勤務させる
『影の地下政府』を極秘に発足させた、
既に運営させているという。
ワシントン・ポスト紙が報じたものを
複数の政府筋が確認し、
大統領も「我々は政府の継続性を真剣に考えている」
と発言し、事実上この地下政府の存在を認めたという。
旧ソ連時代にもソ連からの核攻撃の脅威に備えて
同じような計画があったそうだが、
実施されたのは今回が初めてだという。
これはきっと昨年の9・11同時多発テロ以降、
アルカイダなどの組織による核攻撃の可能性が
現実味を帯びたからだろう。
選ばれた役人が90日交代で勤務につき、もちろん極秘。
だけどこうやって公開されてしまったら
山腹にあるといわれる地下の壕も
突き止めようとすれば出来るんじゃないかな。
なんだかSF映画のワンシーンみたいで
少し滑稽な気もするんですけどねえ・・・・・
ま、これがアメリカなんでしょうか。

今日はここまで
また明日・・・・・

2002-03-03-SUN

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