TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第718回

ほぼ日編集部様

2月11日のニュースから

さて、私の雪印食品に関する原稿にはかなりの方が
ブーイングでした。
もちろん個人的に
「雪印の商品は買わない」とか
「雪印なんか潰してしまえ」とか
「消費者に命に関わることで
 信用をなくしたものは見たくもない」
などと言われる方は
自分の思うところに従って行動されればいいんだと
思いますよ。
個人的な判断はそれはそれで尊重されるべきでしょう。

それから多くの方が誤解されていますが、
私は何も今回の雪印食品の幹部達が行った
犯罪行為を認めているんじゃないんですね。
私が今回の犯罪行為を擁護していると
表現してある読者のメールには参りましたよ。
私はそんなことは一度も
言っていないはずなんですけどね。
過剰反応はやめようよ、
というだけで「擁護者」と見られる反応もまた
えらい過剰反応ですねえ。
驚いたわ・・・・

恐らく会社の為、会社の中の自分の地位の確保の為、
その辺の動機は色んなものが混じりあっているとは
思いますが、いずれにしろ消費者を騙し、
国を騙して国民の税金で処理される牛肉の買い取り制度を
悪用した人たちは厳しく裁かれるべきだと思います。
そしてまだ今回は出ていませんが
その結果安全上にも問題が出てくれば
さらに厳しくその責任と原因は追及されるべきでしょう。
それはその通りです。

そして、もう一つは
会社のトップの事後の対応の問題です。
こういう不祥事が起きたら
すぐさま外部の目も入れて徹底検証して、
その調査報告書をすべて洗いざらい公表して、
謝罪と、損害を与えていたら補償を、
その上で今後二度と同様な事件を再発させないための
防止策を社会全体に明らかにすべきです。
これは日本の会社組織にはなかなか出来ないことですが、
最終的には真実に忠実に行動する
会社や個人が信頼を勝ちうる。
一時的には信頼性は落ちますが、
長い目で見るとごまかしのない
そういう態度が勝利する、つまり得をするんです。
損得だけでものを言うとまた誤解をされそうですが、
ビジネスである以上、
最終的にはどう言う行動規範が
ビジネス上の得に繋がるのかを考えるべきでしょう。
こういう話を倫理だけの問題で論じると、
誰かの倫理を誰かに強要する感じになりますが、
ビジネスの上でも真実に徹することが
勝利に繋がると考える方が理解しやすいと、
私は思っています。
ウソやごまかしは消費者や社会全体の信頼を失い、
結局大損をすることになるんですね。

で、また戻りますが、雪印の食品は
すべて信頼出来ないと思う方は冷蔵庫の中に
不幸にして雪印のバターがあったら
捨てるしかないだろうし、
食品売り場に「雪印」の文字が見えたら
大急ぎでその前を通り過ぎればいいし、
雪印とは一切関わらない生活をすればいいんだと
思います。
そして雪印の会社が潰れても私達個人には
直接的には何の関係もない訳だし、
「やっぱり悪いことをする会社はこうなるんだなあ」
と友人と語り合えばそれでいいんだと思います。
ただ、私は個人的には
また別の判断をしたいだけなんです。
私は商品を個別に見て危険だと判断すれば買わないし、
安全だと思えば、買います。
今のところ雪印のマークがついた食品が
すべて危険だと私は思っていないんですね。
だから、私は誰が何と言おうと
雪印のコンデンスミルクは買います。
食べます。
雪印のバターも買います。
それは私の、最近流行の言い方を借りれば
「自己責任」で買うわけですから、
誰にも文句はない訳ですねえ。
だから一つだけ言いたいのは
消費者のかなりの人たちが
怒りで燃え上がっているからといって、
食品売り場から安全な
(もちろん何が安全かは最終的には分りませんが。
 まあ、今のところは
 問題は起きていないと言う意味です。
 ミドリ十字とこの話をごっちゃにしないで下さい。
 血液製剤の場合は製造元の
 アメリカで問題になっていたにも関わらず
 ミドリ十字は輸入していたんですから。
 それとコンデンスミルクを一緒にされると
 悲しいんですが)、
もしくは安全だと思われる製品まで全
部撤去はしないで下さい。
私達にも少しばかりの選択の余地は残しておいて下さい。
まあ、そういうことなんです。

ここに読者からのメールを転載させて頂きます。
ご本人もホームページで公開されているようなので
私の判断で掲載させて頂きます。
私は納得でした。

________________________
> はじめまして! **県に住む女子事務員です。
> ほぼ日の中では「あのくさ こればい!」を
> いつも一番目に読んでいます。
>
> ここ何度か鳥越さんが取り上げられている、
> 雪印についてのお話。
> 私も鳥越さんとまったく同意見で、
> でも、なかなか意見の合う人がいなくて、
> 悔しいような、悲しいような気持ちです。
> 私は、拙いながらも自分の
> サイトを持っているのですが、その中で、
> 「雪印製品の無差別ボイコットってのはどーよ?」
> というネタで文章を書いてみたのですが、
> やはり、同意してくれる人は少なく……。
>
> お忙しい鳥越さんへのメールに
> 長々と拙文を書くのは気がひけるのですが、
> 自サイトに書いた雪印への思いを、抜粋してみます。
>
-----
> 一ヶ所販売停止する店や学校が出ると、
> 他の店も停止しはじめる。
> そのうち、
> 「取り扱い停止にしないと、
>  ウチの店(学校)の信用が危ない。
>  自分の身が危ない」
> ということになり、みんなで停止するようになる。
> まったく、学校のいじめと同じ構造に見える。
> 「関西の一工場(しかも肉関連)の不祥事のために、
>  神奈川の学校が牛肉製品のみならず
>  乳製品まで使うのをやめる必要はあるのか?」
> そういうことを、
> よーく自分の頭で考えるより先に、
> カンタンに周りに流されてしまう。
>
> 人をナメてるという点では、
> サッポロビール園で、
> 注ぎ口のホースに残った前日のビールを
> 客にジョボジョボ出していた、
> という事件(昨日のニュース)だって相当ナメてるし、
> 衛生面から言ってもどうかと思うんだが、
> それに関してはほとんど話題に上らない。
> その残りビールを「タレ」とか
> 「しぼり」とかいう通称で呼び、
> 「飲み放題の客に 限り」出していた、
> というナメっぷりはどうよ。
> しかも10年以上も前から
> 「ほとんど慣例化していた」(関係者談)
> とのことですよ。
> これだって取り上げようによっては、
> もっと大問題になってもいいような事なのに、
> 取り上げ方が小さいと、
> 受け取る側も大したことない事だと思ってしまう。
> 「みんなが騒がないなら、大したことじゃないんだろう」
> と思ってしまう。逆に
> 「みんなが買わないなら私も買わない」
> とも思ってしまう。
> 今ごろ、
> 「発覚したのがウチじゃなくてよかった」
> と思ってるトコ、けっこうあると思うなあ。
>
> もう一度よく考えてみよう。
> 乳製品まで販売停止にしなければ
> ならないことなのか。 (1月27日の日記より)
------
>
> 今回の不祥事に関する掲示板を覗いてみた。
> 「死んで詫びろ」「つぶれればいい」
> 「廃業しろ」「ざまあみろ」
> 「笑ってさよなら〜♪」
> 「まだ支持者がいるんだってよ」「<面白い」
> 「もう終わ りですね」「みんなクビかな(笑)」
> 「潰れろ」「日本から出てけ」
> 「今すぐ死になさい」「死んで償え」
>
> すげえな。
> 他人事だとここまで言える。 
> あのね、生産者や同業者でとばっちり受けている人が
> 「死ね」とか「潰れろ」 とか言ってるなら、
> いいんですよ。あと、前に食中毒にあった人も。
> 私がその立場だったら言うと思うし。
> 直接的に大きな被害に遭った人は、
> 言いたくもなるから。
> 今回の事件は、たしかに、
> 消費者全員が裏切られた事件ではあった。
> 大きな 意味で言えば日本国民全員が被害者だ。 
> だけどさ。「死ね」まで言っていいかね。
> 雪印という会社に勤める社員全員に向かって
> 「死ね」と言っていいほどの被害を、
> 果たして私達は受けただろうか。
>
> 雪印ほどの大企業になると、
> 全国各地にたくさんの社員がいる。
> そして、今回の不祥事には
> (企業全体の体質とかは置いといて)
> 爪の先ほども関わっていない社員が、大勢いる。
> 今、そんな雪印の社員は
> どんな気持ちでいるだろうと想像してみる。
> そして、その家族はどんな気持ちなんだろうと、
> 考える。
> 胸が痛いどころか、寒気がする。鳥肌が立つ。
>
> 威張れた話ではないから手短に書くけれども、
> ウチの父は、幹部に強制されて行った
> 小さな不正が発覚して会社を辞めざるをえない状況に
> 追い込まれた。
> 15、6年前の話だけど。
> 発覚したら幹部は全員口をつぐんで
> 全責任を父に押しつけ、
> 今その幹部の一人は副社長だかになってるそうですよ。
> よくある話。
> 他人事だとあまりにも陳腐な話で
> ウソっぽく聞こえるかもしれないけど、
> ホントの話。
> で、やっぱり父は体調崩しましたわ。
> ていうか、自殺未遂っつーか失踪未遂しましたわ。
> その頃、私は小学生だったけど、
> プチ失踪から帰ってきたときの父の顔、
> いまだに思い出せます。紙みたいな色してた。
> 藁半紙みたいな顔色。
> そのあと、再就職が決まるまで、
> わりと短い間だったけど、家にいるときの父は、
> いっつも寝ていた。
> 母は腫れ物に触るみたいに父に接していて、
> 父は廃人みたいにぼんやりしてて。
> 家の空気がものすごく気持ち悪くて、
> 学校から帰りたくなかった。
> (あ、今はそんな父も弱小会社の社長さんですけどね。
>  社員に犬がいるような会社の(笑)。
>  生きてりゃなんとかなるもんです)
>
> で、なんだかそのときのことを思い出してしまって、
> やりきれなくなるのです。
> ウチの父の場合は、
> 不正に直接関わっていたワケだけれど(笑)、
> 今回、直接的には何も悪いことをしていない
> 真面目な雪印の社員たちが、
> その家族たちが、
> 今どんな気持ちでどんな風に暮らしているかを
> 考えると、他人事とは思えなくなってくる。
>
> だからって、今回の事件は
> 簡単に許されるようなことじゃないしなあ。
> 「罪を憎んで人を憎まず」って、
> 言うのは簡単だけど、
> なかなかできることじゃない。
> 考え始めると、堂堂巡りだ。  
> (1月28日 日記より)
> ----------------------------------------------------
>
> すみません。長く書きすぎました。
> あまりにも鳥越さんに共感してしまったので、
> 調子に乗って書いてしまいました。
> (田中真紀子さんについても同感です)
> こんなに共感できる方は、
> 私の周りにはなかなかいないんです。
>
> これからも毎日楽しみにしています!
> お身体(特にお耳!)にはお気をつけて。
>
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食品に関することはそれぞれが自分の、
または自分の家族の身を守る上で
他人に迷惑をかけない以上何でもしていいと思います。
それは原則です。くれぐれも誤解のないように。
こういう考え方をする人間もいるという、
いわば参考意見なんですね。

というところで今日はおしまい。
また明日・・・・・・

2002-02-12-TUE

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