|
第699回
ほぼ日編集部様
1月23日のニュースから
埼玉県警川越署の覚醒剤事件隠ぺいのニュースが
昨日22日から報じられている。
今日の朝刊でも朝日は社会面で
「もみ消し事件 『立件急ぐ』と報告書
埼玉県警 その後1年、捜査放置」
「『刷新』提言生かされたか」
などと続報を書いている。
また埼玉県警か、と思う人もいるでしょうね。
あの「桶川女子大生ストーカー殺人事件」は
埼玉県警上尾署を舞台にした警察の不祥事でした。
今度は川越署の捜査官が
覚醒剤不法所持容疑で逮捕した元暴力団組員の妻を、
尿検査で覚醒剤の陽性反応が出たにも関わらず
立件しなかった、つまり容疑を揉み消したというもの。
さらに2年前にはそのもみ消しの事実を知った県警が
またもや放置していたというダブルの隠ぺい事件と
新聞には報じられている。
しかし、新聞のニュースの焦点のあて方は、
私に言わせればちょっと違うんじゃないかと思う。
この事件のそもそものスタートは95年2月下旬、
川越署が銃刀法違反で元組員宅を家宅捜索したことだ。
拳銃を摘発するために踏み込んだにも関わらず
拳銃は発見できなかったが、覚醒剤が発見された。
そこで部屋にいた妻を覚醒剤不法所持で逮補、
尿の検査もしたところ陽性反応だった。
これは立派な覚醒剤事件だが、ここで川越署の捜査員は
どうやら夫の元組員にある取り引きを持ちかけたようだ。
22日のスポニチ社会面の記事によれば、
そこのところはこう表現してある。
「元組員はこの際『防犯課の捜査員に
“拳銃を出せば元妻を釈放してやる”などと
持ちかけられた』と言い、
元組員は拳銃1丁を持って川越署に自首、
元妻はその翌日に不起訴処分で釈放。
元組員の銃刀法違反容疑も起訴猶予処分になった」
つまり最初の出発点は拳銃の摘発にあった。
ところが捜索の過程で思わぬ覚醒剤が出て来たために
本来の狙いの拳銃摘発と引き換えに
覚醒剤の方は見逃した訳だ。
アメリカの警察ものの映画など見ていると
こういうシーンは良く出てくるが、
これはアメリカに司法取り引きという制度があり、
そういう発想が背後にあるんだと思う。
しかし、日本の司法制度の中には
そうした取り引きという考え方はない。
拳銃1丁でも出したい捜査員がそのために
覚醒剤の事件に目をつぶるのは許されていないのだ。
この95年ごろは日本で銃による事件が多発し、
これまでのように暴力団対暴力団で銃が使われるだけでなく
一般市民が銃の被害に遇うケースが増え始めていた時だ。
警察庁はこのため94年に銃器対策課を設置、
埼玉県警も銃器対策課の設置の準備を勧めていた時だった。
ハッキリ言えば当時の捜査員からすれば、
覚醒剤事案などはどうでもいい、
ということはないだろうけど、
それほど張り切る必要はなかった。
何よりも拳銃の摘発だったわけだ。
こういう話をどこかで聞いた気がしませんか?
昨年11月に、正確に言うと10月31日に
奈良県の村で起きたお寺の住職の拳銃不法所持事件。
あれは10月に全国的に行われた警察庁の
「拳銃取締特別月間」の最終日に起きたことでした。
住職は地方の名士で、その拳銃も
坂本竜馬が持っていたということで
住職が古美術商から買ったもので、
もちろん本人にはそれが殺傷能力があるなど
思いもしなかったということでした。
普通なら一言「あなたのその銃は古美術だけど
登録したほうがいいよ」と助言すればすむ話ですが、
警察は突如朝お寺に家宅捜索をかけ、強引に住職を逮捕、
更に10日間の勾留までして調べを強行しました。
私はそのベタ記事のニュースを読んで
直感的におかしいと思い、ここで書きました。
ご記憶の方もいらっしゃるでしょう。
結果は起訴猶予ということになりました。
さすがに検察庁も住職を起訴することは
出来なかったんだと思います。
この事件も警察の何が何でも拳銃を1丁でも出したいという
点数稼ぎの結果でした。
今回の埼玉県警ともちろん事案の内容は違いますが、
根っこのところは同じものを感じます。
新聞もここのところをきっちり書かないと
警察が抱えている本質的な問題をえぐり出すことは
できないんじゃないでしょうか。
と、いうところで今日はここまで。
また明日・・・・は1日取材だ、書けるかなあ??
|