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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第697回

ほぼ日編集部様

1月21日のニュースから

これは事件だ。
今日のスポニチ、朝日新聞、
毎日新聞3紙とも取り上げている問題。
ベタ記事ではないけど3紙を見比べると
興味深いのでここでやってみよう。
先ず見出しで見て頂きたい。
スポニチは社会面にまあ、
ホントに大きな見出しで1面を使って
記事を構成している。

「きょうアフガン復興支援会議
 外務省がNGO締め出し」
「またも蚊屋の外 真紀子外相
 知らなかった」
「"犬猿"鈴木宗男氏が圧力か」
「報道陣の質問に表情一変『初めて聞いた』」
「排除団体猛反発『不当な決定だ』」


要するに東京で今日21日から開かれた
「アフガン復興会議」に
オブザーバー出席が決まっていた
日本の有力非政府組織(NGO)が
直前になって突如外務省から
出席を拒否されたというものだ。

スポニチの記事によれば、
拒否された団体というのは
NGOの「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ)と
「ジャパン・プラットフォーム」(JPF)。
このJPF は日本のNGOや財界、
外務省などで構成されていて、
その代表を務めるのがPWJ統括責任者の
大西健丞氏(34)。
記事の中で大西氏が説明しているところによると、
19日夕、外務省幹部から電話があって
「鈴木宗男氏が“けしからん。会議には出すな”と
 言っている」
と先ず電話があったそうだ。
その後、外務省から
「政府に非協調的な考えの人は
 政府主催の会議には参加できない」
との通告があったという。

さらにスポニチの記事では
鈴木氏が「けしからん」と怒りを募らせたのは
「以前新聞に載った大西氏の
 『お上の言うことは、あまり信用しない』
 などの発言が理由になっている」
と書いているので、もう一度話を整理すると、
大西さんの「お上は信用しない」発言が発端で、
これを見た鈴木さんが外務省に
あんなやつはダメだと横槍を入れた。
それで最初は友好関係にあったNGOと
外務省が拒絶状態になった。
そしてそういうことになっていることを肝心の外務大臣、
田中真紀子さんは全く知らなかった。
つまり「蚊屋の外」状態でいた訳で
報道陣から質問をされて初めて知ったらしい。
そこで真紀子さんの表情が
一気にこわばったとスポニチは書いている。

以前から外務省に強い影響力を持つ
鈴木宗男さんと真紀子さんは
「犬猿の間柄」と言われていたので、
スポニチの記事はそこに焦点を当てて書いているが、
本当の問題点は鈴木宗男氏を初め
外務省や政治家の
非政府組織(NGO)の存在についての認識が
世界の大勢から
極めて遅れていることにあるんじゃないだろうか。

さて毎日新聞はどうこの問題を取り上げているかな?
と見てみると、先ず1面トップだ。

「アフガン復興会議  有力NGO を排除」
「外務省『言動、信頼損ねた』」

基本的な事実関係はスポニチと同じだが、
大西さんの発言が掲載された記事は
1月18日付けの朝日新聞だということを
明らかにしている。
毎日の記事でも外務省の課長から電話があり
「鈴木宗男・自民党前総務局長が怒っている」
ことが「ピースウイズ・ジャパン」に伝えられ、
さらに外務省の課長は謝罪を求めたと言う。
誰に対する謝罪かは明確にされていないが、
外務省に対する謝罪か、
怒っているという鈴木さんへの謝罪なのか、
どちらかだろう。
毎日には問題の人物、鈴木さんのコメントも出ている。
「(大西氏に電話した)高官が誰か知らないが、
 勝手に私の名前を使われて迷惑千万。
 外務省に確認したら、
 同省の判断で出席を拒否したとのことだった」

まあ、この辺の事実関係は今一つ分らない。
鈴木さんが大西さんの発言に対しお怒りになり、
外務省に対してなんらかのアクションを起こされたのは
確かでしょうたい。
ばってん、「けしからん」と言ったのかどうか、
「出席を止めさせろ」と言ったかどうかは不明だ。

毎日新聞は3面の半分を使って
「クローズアップ2002」という特集で、
この問題の検証に当てている。
力が入っている。見出しはこうだ。
「アフガン復興会議 NGO出席拒否」
「広がる外務省不信」
「怒る代表『全く理不尽』」
「外務省『いつの間にか敵役にされた』」
「渡航費めぐり昨年あつれき」
「朝日新聞記事が発端?」


この記事の中で先ほどの
「謝罪」の真相が明かされているので紹介しておこう。

「大西氏によると、
 緒方貞子・支援政府代表との会見を終えた
 19日午後4時半ごろ、外務省から
 『鈴木宗男・自民党前総務局長が
 (大西氏を取り上げた)新聞記事の内容に怒って
 [会議に出すのはけしからん]と言って困っている。
 謝りの電話を入れてほしい』
 という趣旨の電話を受けた。
 大西氏は謝罪はしなかったという」

これでほぼ今回の騒ぎの全容が見えて来ましたばい。
鈴木さんはもともとNGOに対して
いい印象は持っていなかったんだろうね。
そこへ大西さんの朝日新聞紙上での発言を見て
かーっとなった。すぐ外務省に電話して怒鳴る。
困った外務省はこれまで友好的にやって来たNGOに
泣きついた挙げ句、謝罪することを断られると、
そこは政治家には滅法弱い外務省の官僚さん達、
手のひらを返すがごとくに
「信頼関係が損なわれた」
「新聞記事は理由の一つに過ぎない」
などと、態度を変えた理由を何とかひねり出して
鈴木さんが理由ではないように繕う。

さあ、じゃあ問題の発端となった
朝日新聞はどう書いているか。
社会面のトップ記事でここもきっちり検証している。
見出しはこうだ。

「アフガン復興NGO会議 
 中心団体の参加拒否」
「外務省批判理由に」
「『鈴木宗代議士が怒っている』」
「大西代表『外務省から電話受けた』」
「日本政府の後ろ向きメッセージ 
 内外NGO批判の会見」


朝日の記事がやはり事実関係が詳細なので
これを引用しながらもう一度何があったのか
ここで検討しておこう。
記事によれば、大西さんらは外務省との
事前打ち合わせなどで、
日本のNGOのまとめ役として21日から始まる
アフガン復興会議に
出席することになっていたんだそうだ。
17日には参加の為の登録用紙も送られて来たと言う。
つまり、大西さんの新聞発言は18日の紙面なので、
その新聞記事直前までは外務省が
大西さんにこれといって
不信感を持っていた訳ではないことが分る。
ところが、記事が出た翌日の19日から
事態の急変が始まる。
朝日の記事はこう書く。
「19日、外務省幹部が電話してきて、
 今月18日付(一部地域は17日付け)の
 朝日新聞・ひと欄で大西さんが
 『お上の言うことはあまり信用しない』
 と語っていることなどに
 自民党の鈴木宗男代議士が怒っていると指摘し、
 『彼に謝りの電話をいれてほしい』と言ったと言う。
 大西さんは電話せず、
 19日夜、会場の都内のホテルに行って
 登録証を受け取ろうとすると、
 受付で外務省職員から保留されたという。
 翌日未明、外務省の宮原信孝・中東2課長が
 2回電話してきて、
 『政府に非協力的なNGOは
  出席いただくわけにはいかない。
  JPFには学者などNGO以外のメンバーも入っており、
  参加は断ることにした』
 と伝えてきたという」
 
鈴木さんの怒りで外務省がNGOへの態度を変えたのは
間違いない、後は官僚らしいへ理屈で
辻褄を合わせているにすぎない。

で、問題の大西発言とは如何なるものか。
18日の朝日新聞2面の「ひと欄」を見た。

「アフガン暫定政権とも渡り合うNGO代表
 大西健丞さん」

 (健丞はけんすけ、と読むらしい)

最初の書き出しがこうだ。
この辺が官僚さん達の
気分を損ねたことはあるかもしれない。
「この冬、日本からアフガニスタンを訪れた政治家に、
 北部同盟の有力者との会談をお膳立てした。
 外務省はだれも、
 その携帯電話番号を知らなかったからだ」

民間の34歳、
言ってみればそこらの若造に
こんなことをばらされて
東大を優秀な成績で出て外務官僚となった
エリートくんたちはちょっと
むかついていたんでしょうね。そこへ鈴木爆弾だ!
この記事の欄外に
「大阪出身。
 『お上の言うことはあまり信用しない』34歳」


これが鈴木爆弾、というより
「鈴木地雷」と呼んだ方がいいかなあ。
地雷を踏んだのはこの一言だったようだ。
それにしてもなんとも大人気ない、
重箱の隅を突つくような振る舞いですね。
情けなかですばい、ほんなこつ。
21世紀はもう税金だけで何かやろうと言うのは
困難なんですね。結局、
志と時間を持っている民間の力を
うまく組み合わせながら
何ごともやって行く時代なんです。
その主役がNGOでしょう。
その当たりの認識があまりにも
お粗末の一語に尽きますばい。

ではここで
また明日・・・・・・・

2002-01-22-TUE

TORIGOOE
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