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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第692回

ほぼ日編集部様

1月16日のニュースから

人間誰しも誰かにものを頼むことはありますよね。
「オレさ、あの人直接知らないからさあ、
 君、あの人知ってるだろう、ちょっと頼んでよ」
で、頼みごとがうまくいった。
そしたら一応お礼の意味で
食事の一回ぐらいおもてなしをしますよね。
これは日本だけでなく世界中にある普通の人間関係です。
でも、頼まれるのが公務員で、頼むのが業者で、
間に入って口利きをやるのが政治家の秘書だと、
お礼が食事ぐらいではすまない。
相当な金額のカネだったりすると、
これは大変なことになるわけです。
もちろんその事実が外部に漏れなきゃいいんだけど、
ひとたび公になれば、これはハッキリ言って事件です。
但し捜査はかなり難しい贈収賄事件になります。
このところ新聞テレビで大騒ぎになっている二つの事件。
一つはコンサルタント会社
「業際都市開発研究所」なる会社が絡んだ事件で
茨城県の石岡市長ら7人が逮捕されたもの。
もうひとつは加藤紘一代議士の秘書の脱税疑惑。
この二つの事件に共通するのは
「口利き」
という行為です。
最初の事件は茨城県の広域事務組合
「湖北水道企業団」が
99年に機械設備工事を発注する際、
「湖北水道企業団」の代表である
石岡市の市長さんが日立製作所の茨城支店に
工事の予定価格を教えた疑いだそうだ。
で、その時重要なキーマンが、
元衆議院の秘書だった人物で、
この人はその「業際都市開発研究所」の
実質的な経営者だ。
この人がさすが元代議士秘書だけあって顔が広い。
恐らく口はうまい。
まあ、口八丁手八丁のやり手だったんでしょうね。
つまりこの人物が間に入って
口利き役をしていたんだそうだ。
早い話がこの人物が市長側から工事の予定価格を聞いた。
そして業者側に伝えた。ま、こういうことですね。
こういう行為はもちろん、
その工事を受注した日立側からは
相当の金額が市長に渡っていると見られている。
これは完全な贈収賄事件だが、新聞の報道を見ていると、
容疑は
「競売入札妨害」
の疑いになっている。
もともと政治家が官僚(公務員)に
口をきいて何かをさせるか、
またはさせなかった場合は刑法上には
「斡旋収賄罪」
というのがあった。
しかし、これはこの
「何か不正なことをさせるか、適正なことをさせない」
ように具体的に公務員に頼む行為、法律上は
「請託」
と言いますが、この請託の立証をしなければならない。
しかし、実はえらく難しく、政治家がただ単に
「あの件な、一つ宜しく頼むよ」
ではダメなんですね。
これこれの工事をこうしてくれというように
具体的に言及していることを
立証しなければならないことになっていました。
しかし、実際には政治家もバカじゃないから
その辺をわきまえていて具体的には言わない。
言わないが、相手の役人には
ピーンとくるようになっている。
だからこの「斡旋収賄罪」の適用は困難とされ、
戦後でも敢て「斡旋収賄罪」の事件に挑んだ検事は
そうはいないんですね。
93、4年に一連のゼネコン汚職事件がありましたが、
その時に国会でこうした斡旋収賄行為を
キチンと取り締まるために新しく
「あっせん利得処罰法」
と言うのが出来ました。
あっせん行為で金品をもらった場合は
罪に問われると言う、
これまでより一歩進んだものでしたが、
自民党などの強い反対で、
処罰の対象は政治家と公設秘書に限られました。
つまり、私設秘書は処罰の対象から除かれたんです。
今回も加藤紘一さんの秘書は
事務所の代表は務めているが、公設秘書ではない。
つまり国からカネが払われている秘書ではないんですね。
一方の事件の中心人物は元秘書ですからこれも
「あっせん利得処罰法」
の取締の対象にはなりません。
つまり、今回分ったことは当時も議論されましたが、
この「あっせん利得処罰法」というのが
大いに疑問のある法律だと言うことです。

今後はどういう風に展開して行くのか見守りたいですね。

ではまた明日・・・・・・・

2002-01-17-THU

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