TORIGOE
3分間で、
最近のニュースを知る。

鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第671回

ほぼ日編集部様

12月18日のニュースから

特殊法人改革の中で残された焦点だった
政府系金融機関の8法人について17日、
一応の決着が出た。
今日の新聞のとりあげ方は
「先送り」
「首相の敗北」
などと、結局自民党内部の抵抗勢力に
小泉首相が押し切られたというトーンだ。
ところが、昨日夜のテレビニュースでもやってたけど
肝心の小泉さんは
「急いては事を仕損じるという言葉があるでしょ。
 焦っちゃだめ」
と、笑顔で記者団に語りかけ、
それだけ見ているとどっちが勝ったのか、
負けたのか分らなくなるような感じですばい。
この辺が小泉さんらしいところでしょうか。
小泉マジックみたいなものですねえ。
じゃあ、まず毎日新聞から。
1面トップ記事はこういう見出しだ。

「政府系8金融   統合見送りで決着   
 検討継続も条件付きに  経済情勢配慮」

    
住宅金融公庫はすでに
「廃止後、独立行政法人化」が決まっているが、
次の政府系金融機関をどうするのかが焦点になっていた。

1.国民生活金融公庫
2.農林漁業金融公庫
3.中小企業金融公庫
4.公営企業金融公庫
5.沖縄振興開発金融公庫
6.国際協力銀行
7.日本政策投資銀行
8.商工組合中央金庫

まず、このうち一つや二つは知ってると思いますが、
これ全部何をするところか説明できる人って
そうはいないと思いますよ。
そう言う私だって、4、6、7は知りませんでした。
今も知りませんばい。
何ばするとこじゃろうか?
わかりまっせん。
一度も聞いたことがない名前の金融機関なんですたい。
報道の仕事ばしちょる私でも知らんとですけん、
一般的には知らない人がいるのは当然でしょう。
ま、それはいいとして、
これが特殊法人改革の中でも残された
問題の焦点だったらしい。
毎日の記事によれば、17日、
自民党の行革推進本部が総会を開き、

「現在の経済情勢では組織再編に
 手をつけるべきではない」
 
という結論をとりまとめた。
今は経済状況が良くないから、
時期じゃないということらしい。
改革やらん、という結論を党行革推進本部の
太田誠一本部長と
橋本龍太郎最高顧問らと
党5役が首相に報告、ここで小泉さんは
「民間有識者による検討を年明けから開始する」
とする先送り案を示したが、これに橋本元首相が
「有識者に任せるのは無責任だ。
 職責上、諮問会議で担当させるべきだ」
と反論。
首相もこれを受け入れたため組織の
再編・見直しは先送りということになってしまった。
こういう経緯を経て最初の小泉さんの
言葉が出てくるんですが、
どういうんでしょうかねえ。
小泉さんはこうも言っている。

「見直しする必要無いという大合唱でしょ。
 それを見直しすると決めたんだから、
 段々改革に向かって進んでいるな」

毎日の記者はこれを
「強がりと受け取られる発言だが」
と書き、記者団からの
「先送りはではないか?」
という質問に対し、小泉さんにっこり笑って
先に紹介したみえを切ったんですばい。

「急いてはこ事を仕損じるという言葉があるでしょ。
 焦っちゃだめ」

この「でしょ。」
という言葉の切り方が小泉流だ。
普通の政治家なら
「でしょう。」
というところを「でしょ。」でやられると
記者達もそういうもんかあなあ・・・・・
と思い込ませられてしまうようだ。
「焦っちゃだめ。」
に至っては、先生か親にたしなめられているようで、
焦っているのは記者団のような
錯覚を覚えてしまうほどだ。

しかし、その分は3面でたっぷりお返ししているなあ。
3面トップの記事では

「首相の敗北 隠せず」
「『金融』『空港』特殊法人改革」
「閣議決定 与党が事前承認」
「公明 保守 『主脳合意』覆す」


要するに首相は改革について
結局は負けたという認識なんですね。
朝日新聞の2面には首相官邸で行われた
小泉さんと橋本さんとの
息詰まるような対決の場面が描かれている。

「午後3時半、同本部最高顧問の橋本龍太郎元首相と
 太田氏が官邸に結果を持ち込んだ。
 党5役が加わったのを見計らい、
 首相が口火を切った。

 首相  『結論は有識者で検討したい』
 橋本氏 『ダメだ。絶対に認められない。
      党だってこれだけ議論を
      積み重ねてきたんだ』
     
 首相は自らの意向を反映しやすい
 有識者による検討を提示したが、橋本氏ら党側が反対。
 議論は一歩も進まなくなった。

 やがて橋本氏が
 『諮問会議で議論するならそれは止められない』
 と持ち出すと、
 小泉首相は『その方がいいな』とあっさり応じた」
 
これが先に紹介した記者の
ぶら下がり会見での発言の裏事情だ。
ある意味では小泉さんも橋本さんも妥協して
落としどころを探った結果があれなんでしょう。
だから小泉さんからすれば「見直すこと」、
これさえ取れば成功というわけで、
橋本さんら自民党側からすれば、
小泉さんに枠をはめたから
もう勝手は出来ないということになる。
どっちが本当なのか?
新聞を読んでいるだけじゃ分らないなあ。
しかし、これが小泉流かもしれないですね。
最初に凄い大暴投みたいな球を投げる。
そしてみんながワイワイガヤガヤやってまあ、
6〜7割のところで落とす。
結果的には確かに100%じゃないけど、
改革は前進している。
そういうことですかねえ!?
ただ、これだけ経済の状況が悪くなってくると
国民もそうは寛容ではなくなってくるのかしら。
ここは国民の支持率だけが頼りの小泉さんなので、
支持率が落ちたらアウトですね。
さあ、国民は今回の特殊法人改革の結果、どう見るか?

ここで今日はおしまい
また明日・・・・・

2001-12-19-WED

TORIGOOE
戻る