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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第648回

ほぼ日編集部様

11月25日のニュースから

以前から疑問に思ってきたことがある。
それは政府が法案を国会に提案する前に
必ず与党・自民党の各部会や最終的には
総務会の承認を得なければならない、
というルールのことだ。
内閣の閣議決定の前にこういう手続きを経るという
システムがこれまで何の疑問も抱かれずに
続いてきたことに私はおかしいなあ、と感じていた。
だって、いくら政府・自民党とひと括りにすると言っても
正式な国会の審議の前に多数派たる与党と政府が
事前審議というか、根回しと言うか、
擦り合わせと言うか、
そんな作業をやってしまっていたら、
国会は実質的な審議はいらず、
後は与党と野党の駆け引きの場でしかなくなる。
実はこういうシステムこそ
日本の政治と政治家をダメにしている
根源があるんではないかということだ。
政治家の命は言葉だとよく言われるが、
日本では誰も本気でそんなことは思ってもいない。
なぜなら、政治家の命はカネと数。
そしてそうした武器を使っての舞台裏、
水面下での根回しこそ政治の要諦だと
彼等は本気で思い込んでいる。
族議員の跋扈がよくマスコミ上に批判的に書かれる。
でも彼等はマスコミに
なんと書かれようとそんなこと知ったこっちゃない。
自民党の部会で官僚を
コントロールさえしておけばいいんだから。
さて、小泉改革はよたよたしながらでも
少しづつ前進の趣だが、
ここへ来て小泉改革をサポートする
決定的な二つの提案が出てきた。
それがニュースになった時から私は注目していたが、
今日の朝日新聞が社説でこの問題を取り上げているので、
ここでも言及しておきたい。
朝日の社説のタイトルは

「法案事前審査  与党の特権はおかしい」

社説はこう指摘する。

「与党が承認しない限り政府は
 国会に法案を提出できない、
 という自民党政治の習わしは、
 彼ら(筆者注・族議員)の力の源泉だ」

で、こんな慣行をやめるべきだと言う
二つの提案がなされたという。
1.衆議院議長の私的諮問機関
  「衆議院改革に関する調査会」
2.学者らでつくる
  「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」
この二つの提案とも与党による事前審査が、
首相のリーダーシップを阻害し、
国会審議の形骸化につながっている、という。
社説によれば、
小泉首相も自民党に対しこの慣行を見直すよう
指示したと言う。
これは日本の代議制民主主義を本来の形に戻すための
全くの正論だと思う。
しかし、自民党がこれをすんなり飲むかというと、
これはこれで大いなる疑問と言わざるを得ない。
彼らは族議員行為が実は国民の声を
政治に反映させる一つの道だと
本気で思っていたりするからだ。
社説によれば議員の中にはこうした提案に対し
「議員に耳を傾けないで、
 どうやって国民の声を聴くのか」
「これでは民主主義の否定だ」
などという反発が出ていると言うのだ。
馬鹿馬鹿しい話だ。
国民の声を政治に反映させるのは
あくまで国会と言う開かれた場であるべきだ。
自民党の部会などと言う
まことに私的な場面ではないはずだ。
国会をすべて国民の前にオープンにして、
堂々と政策論議を戦わせてくれ。
それでこそ国民の代表たる国会議員だべ。
これは相当に大事な話だよ。

もう一つこれはみなさんの
生活に直にかかってくるかも知れない話なんで、
毎日新聞の1面トップの記事なんだけど、
敢て取り上げておきます。
見出しはこうだ。

「不良債権処理6兆5000億円  
 大手14行02年3月期 
 特別検査で加速」


金融の詳しい話はややこしいので省略するが、
要するに大手の銀行14行の
来年3月期の不良債権処理額が
最低でも6兆5000億円規模になることが
毎日新聞の調べで分かったと言うのだ。
今年5月に公表した当初の計画では
1兆8700億円だったので、
それに比べ僅か半年で3.5倍に
膨れ上がったことになる。
これはアメリカからも強く要求されている
不良債権処理を金融庁が加速していることと、
株価の下落で銀行の含み損が増えていることが
原因だと言うが、もっとハッキリ言えば、
大口の融資先がどうにもならなくなっているんでしょう。
そういうこれまでは
何とか助けようと思っていたものもこれからは
びしびし切り落とします、ということでしょう。
その結果、三菱東京フィナンシャル・グループの2行と
住友信託を除く11行が最終赤字に転落するんだそうだ。
そして、こっちの方が影響が大きいんだが、
不良債権処理を加速させるって、どういうことかというと、
危ない会社は切り捨てると言うことでしょう。
先日来「マイカル」の破たんが問題になっているが、、
まあそういうことですね。
大口融資先で償却のスピードがあげられるのは、
1.ゼネコン
2.流通
3.不動産
の特定業種だそうだ。
まだまだリストラどころではない
倒産の嵐が吹き荒れそうだ。
日曜日の朝からこんな話を書いているのは
暗いなああ・・・・

今日はここまで
明日は九州へ講演だあ。
書く暇あるかなああ??

2001-11-26-MON

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