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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第642回

ほぼ日編集部様

11月19日のニュースから

昨日は京都で開かれた
犯罪被害者の人権を考える会で
講演とシンポジウムに出席してきました。

シンポジウムには大津から16歳の息子を
15歳と17歳の少年に殺されたお母さんが
パネリストとして出席しておられました。
その殺された16歳の少年は
2年前に交通事故で頭部に外傷を受け、
左半身不髄になり、車椅子の生活だったそうです。
それでも大学を目指して頑張っていた少年は
今年3月31日、17歳と15歳の少年に殴られたり、
プロレスのバックドロップや
パイルドライバーのような技をかけられ、
1メートルの頭上からコンクリート上に
何度も叩き付けられそうです。
病院へ運ばれましたが、
脳がグチャグチャになっており亡くなったそうです。

その加害者の少年達は傷害致死で少年審判に付され、
結局来年にも社会に出てくるといいます。
お母さんの悔しさはあれがなぜ「殺人罪」じゃないのか、
ということでした。
あんなことをすれば
障害を持った子供が死ぬくらいは
分かっていたはずなのに、
それが単なる傷害致死にしかならない
警察の捜査にまず不信感、
そしてそんなひどいことをした少年でも
1年ぐらいで社会に復帰する
今の少年法のあり方に疑問を抑えられないようでした。

確かに聞いていてこれはひどい話だなあと思いましたよ。
弁護士の仕事はもともと犯罪を国家が裁く場合に
容疑者の代理人として
犯罪の容疑者の人権を守ることに
主眼が置かれてきました。
これは民主主義社会の
人権感覚で作られたルールだったんですが、
実は犯罪の被害者の人権は
弁護士の仕事からもこれまではもれ落ちていたんですね。
最近ようやく被害者の人権にも目が向くようになり、
今回のような会も行われるようになったというのが
現実です。
加害者と被害者、双方に人権は保障されるべきでしょう。
しかし、現実には犯罪の被害者は悲しみの余り
口を閉ざすことが多く、
社会的には孤立し、マスコミの取材攻勢に
被害感情だけが強くなります。
そうすると被害者側の人権は
社会から見落とされて行きがちなんですね。
私達の社会はそういう欠陥を持っているわけです。
と、いうことに最近ようやく司法やマスコミの中でも
議論が起きはじめ、
昨日の京都弁護士会主催のシンポジウムなどが
開かれているわけです。
実は昨日18日、東京では
「犯罪被害者の会ー明日の会」の
シンポジウムが開かれていたようです。
朝日新聞の社会面にベタ記事で

「犯罪の被害者ら権利確立求める 
 都内でシンポ」

 
という見出しが出ている。
シンポジウムは
「被害者のための正義を目指して」
と題して開かれたようで、最後にかの名称を
「全国犯罪被害者の会」
とすることを決めたという。
毎日新聞も社会面で

「『心凍ったまま』大阪・池田小乱入事件 
 遺族がシンポで心境」


というベタ記事扱いながら
シンポジウムの様子を伝えている。
この日会場には大阪で起きた
大阪教育大学付属池田小学校での児童殺傷事件と、
東京都文京区で起きた2歳の幼稚園児殺害事件、
両方の事件被害者遺族が、
初めて公の場で癒されない心境を語ったそうだ。

たまたま、私は京都で同じような主旨の会に
出席していたんですが、
東京の会には桶川事件の猪野京子さん
(詩織さんのお母さん)が出席されているのを
後で知りました。
少年法や被害者の人権の問題は
こうすればこうなるという程
簡単なものじゃないのですが、
時代の流れの中で
新しく社会が解決をして行かねばならない
問題だと思います。

ところで、昨日日曜日は各地で
色んな催しがあったようですが、
その中で東京都内で開かれた
タウンミーティングでの小泉首相の発言が
相変わらず面白かったらしく
各紙色んな角度から取り上げている。
中でも小泉さんが田中真紀子外相へつけた注文が
記者のこころをくすぐったらしい。
朝日新聞は2段見出しで割と地味な扱いだが、
こういう見出しだ。

「『嫌いな人でも味方と思え』 外相。
 外務省に注文


『権力半分、信頼半分。
 信頼関係があってこそ
 (官僚は)大臣のいうことをきく』

 ----小泉首相は18日、
 東京都内のタウンミーティング
 田中外相と外務省幹部の双方に注文をつけた」

しかし、毎日新聞の書き方ではちょっとニュアンスが違う。
見出しはこうだ。

「権力で人は動かない
 役人にもプライドがある  
 首相、田中外相に苦言」


2面で一番大きな記事だ。
発言の要旨も詳しく載せている。
記事では小泉首相は真紀子さんのことを
持ち上げたのは最初だけで、
「権力だけで人を動かそうとしたら大間違い。
 信頼があってこそ初めて
 (官僚は)大臣のいうことを聞く」
と指摘したと書いてある。
これは真紀子さんが大臣権限だけを振り回して
外務省官僚を振り回しているように見える状況に対する
警告のようだ。
この部分のもっと詳細は発言要旨に出ているので
それを紹介しておこう。
これが正確な小泉さんの発言のようだ。

「人事権で役人を左右できるというのは
 一面では真理だが、
 これが強く出てくると役人もプライドがある。
 自分は大臣の使用人じゃない、
 国民のための公僕なんだ、と。
 権力、権限は信頼あってのもの。
 そこをうまく考えてやってほしい」

これは真紀子さんが言ったといわれる
「人間には敵か使用人しかいない」
という言葉を意識して小泉さんが言及したんでしょう。
ただ、外務省が
本当に公僕という感覚を持っているかどうかは
疑わしいんだけど・・・・
機密費やホテルのプール金などを見ていると
必ずしも公僕精神からとは思えないことも
ありますからね。
ただ、ここでは小泉さんが双方に
バランスを取った言い方をしたので
こういう表現になったんでしょうが、
力点は真紀子さんへ向けて
「もうちょっとうまくやってよ!」
「苦言」と言うのが正確でしょうね。

今日はいい天気ですが、
ひさしぶりに事務所にこもってぐんにゃりです。
また明日・・・・・・・・・

2001-11-20-TUE

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