TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第601回

ほぼ日編集部樣

10月7日のニュースから

毎日あの話について書いていると、
だいぶん食傷気味になってくる。
もう今日は違う話題をと思いながら
新聞をめくっているんですばってん、
なーしてかまた目はそこへ吸い寄せられて行くんですばい。
今日もアフガンに関するニュースが
まあいろいろと1面から最終面までいっぱい載っています。
仕事ですからそれは一つ一つ吟味しながら
じっくり読んではいるんですが、
このところずーっと胸の中でうずくまっている、
ある疑問というか、
結局何だろうという思いが消えないんですばい。
それはあの
ニューヨークとワシントン、ピッツバーグなどで起きた
旅客機ハイジャックおよびビル激突事件はなぜ起きたのか?
という根本的な原因に関することです。
アメリカ政府はこの事件を
「自由と民主主義に対するテロ」とか
「新しい戦争」と呼んでいますが、
でもアメリカ政府や大統領の言うことを
じっくり聞いていても、
じゃあそのテロ行為の原因は何かというと
今一つよくわからないのが現実です。
19人もの命を自らの意志で捨ててまで行う
テロ行為というのは何か?
私はもちろん最初からここで書いた通り、
直感的にはイスラムの宗教的な情念の世界だな、
と思いました。
しかし、その後もずーっと考え続けていますが、
このテロと呼ばれる行為の源にあるのは何か?
という根本的な疑問には
自分でも納得できるようには説明できないんです。
日本でもにわかに新法までつくって
テロ対策とやらをやるそうなんですが、
自民党や民主党の先生方は
自分たちが何と戦おうとしているのか、
分かっているんでしょうか。
なぜここまでのテロが次々と発生してくるのか。
確かに中東の専門家に言わせれば、
中東やアジアに存在する極端な貧富の差が背景にある。
またパレスティナとイスラエルの
長年の土地を巡る流血の戦いがある。
それは正しいと思いますが、
それでも一挙に6000人もの市民を殺害する行為を
十分に説明しきれるとは思いません。
今日朝日新聞を読んでいて15面にある
「私の視点」
というオピニオンのページ、ここに佐々淳行氏の
「日本は主体的にテロと戦え」
という勇ましいオピニオンが出ているのを見つけました。
この中で
「ニュー・ウオー(新世紀戦争)」
という言葉が出てくる。
今回のテロ行為をブッシュ大統領が言ったように
「戦争」
と位置づける言葉だ。
またこういう表現も出てくる。
「犯罪捜査と軍事制裁とが一体化した
 『ブッシュ・ドクトリン』とも呼ばれる
 この新世紀戦争は、従来の戦争概念を覆す」
つまりこれは新しい形の戦争だというわけだ。
では、ここが大事なんだけど、
その戦争の相手というのは誰なのか?
どこのどういう敵と戦うというのか?
このオピニオンの中でもはっきりしない。
ただ、それらしき部分はある。こういう表現だ。

「『文明市民社会への宣戦布告を受けた文明の、
 狂信に対する自衛権の行使』(シュレーダー独首相)
 であり、
 決して米国の復讐リンチのお手伝いなどではない」

ここではシュレーダー首相の言葉を引用しながら、
佐々氏の戦争の相手は誰かという問いへの、
彼なりの答えが出されている。
それは一言で言うと、
「文明市民社会」に対する「狂信」
ということになる。
簡単にいえば
「狂信」
が答えである。
では、狂信とは何か、または何者ぞ?
ということが問われる。
佐々氏の文章の中の後半にこういう下りがあるので、
それがこの人はたどり着いた
根源的な答えだということが分かる。

「これはビンラディンの国際テロ組織と
 テロ支援国家アフガニスタンのタリバンに対する
 文明国の共同制裁であって、
 イスラム教やアラブ諸国への攻撃ではない」

佐々氏の論理は「戦争」と言ってみたり、
「共同制裁」と表現してみたりで揺れているが、
結局はアメリカが出した攻撃目標に合うように
張り紙をいくつも張り合わせているような
言い方をしているように見える。
つまり、狂信的なビンラディン一派と
それに加勢するタリバン勢力が敵であるということだ。
でも、それでもまだ疑問は残る。
狂信と戦うのが新世紀戦争なのか?
ではその狂信はなぜ、どうやって
この世に存在するようになったのか?
旧日本軍が中国大陸で行ったと言われている残虐な行為は
狂信ではないのか?
また、ナチスドイツのアウシュビッツの行為は
狂信ではないのか?
さらにいえば、アメリカ大統領の命令のもと、
わずか2発の原子爆弾で数十万人を殺害した行為は
狂信と言わないなら何と呼ぶのか?
ベトナム戦争中に起きた
ソンミ村での米軍による村民虐殺事件は狂信ではないのか?
・・・・・・・・・・・・・・・
こうした数々の根本的な疑問に答えない限り、
真の敵を見極めて戦うことは難しいんではないだろうか?
ビンラディンとタリバンを壊滅させれば
新世紀戦争は終わるのか?
そうではないんだろうなあ・・・・
それは実は誰も語っていないが、実はアメリカが
いちばんよく知っているんではないだろうか。
日本の政治家さんもここは深く、とことん
ちゃんと考えて行動してくださいよ。
10年前のようになりたくないから、なんて
ミエだけで日本の運命を決めるような愚は
犯さないで欲しいですばい。

あーあ、今日もまたテロのことを書いちゃったなあ・・・・
もう12時だな、寝ようか・・・・
また明日・・・・・・

2001-10-08-MON

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