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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第582回

ほぼ日編集部樣
9月18日のニュースから

日曜日の放送終了後、
番組宛とほぼ日編集部宛と両方で
大量のメールが届いています。
合わせると300通を超えているようです。
実はまだ読み切れていないんですばい。
どうしようかと弱っています。
どれも真情のこもったもので一つ読むのに
たっぷり時間を要するうえに
御礼のメールを書こうとすると気が遠くなります。
でも本当はちゃんと書きたい・・・・
そんな心の状態で揺れ動いています。
いよいよ焦点はパキスタンとアフガニスタン、
それも国土を実効支配している
タリバン勢力の出方にかかってきました。
アメリカはこれだけの人数の死者を出している以上、
何もしないまま
解決をするということは考えていないでしょう。
国民感情として「報復」に値する何かを、
はっきり言えば敵の血を求めているんでしょう。
だからブッシュさんを初め
政府関係者の発言は勇ましくなる一方ですばい。
今朝のテレビの、
それもアメリカのABCでだったと思いますが、
ラムズフェルト国防長官が将来について
「核兵器の使用を排除しない」
と述べたそうです。
聞きながらそこまで言うのか、と驚きましたが、
アメリカ政府の幹部間の話は
そこまで行ってしまっているんですね。
ソ連でさえ敵わなかった
イスラムのアフガン戦士達については
アメリカは相当用心深く考えているんでしょうね。
ただ、当時と違うのは、
ソ連が侵攻して戦っていたのは
表面上はアフガンゲリラでしたが、
背後にはアメリカとパキスタン、
中東のアラブ諸国などから
カネも武器もジャンジャン供給されていました。
今度はバックアップしてくれる国はないでしょう。
今のところはタリバンという、
一応国の形をしたイスラム原理主義の勢力だけです。
タリバンはバーミャンの石仏破壊で分かったように
同じイスラムでも中東のイスラムとはかなり異なる、
いわば異形のイスラムとでも言えばいいんでしょうか。
イスラム諸国の中では嫌われているんですね。
だからタリバンがアメリカにやられたからといって
義勇兵を出す国はあまりないんではないでしょうか。
パキスタン国内のイスラム原理主義勢力、
しかも同じパシュトゥーン族の人たちは行くでしょう。
さあ、そこでタリバンがどう出るかにかかっています。
アメリカは密かに今頃は直にタリバンと
接触を図っているんじゃないでしょうか。
これは単に私の推測ですが・・・・・
アメリカ国民向けに巡航ミサイルを何発か撃ち込み、
空爆も何回かやった後、
タリバン経由で
オサマ・ビン・ラディンの身柄を確保する。
そして世界中が見つめる前で
キチンと裁判をやって事の真相を明らかにする。
これがアメリカが描く最良のシナリオでしょう。
ま、こうはうまくはいかないでしょうが・・・・・
タリバンという勢力については
私たちはほとんど何も知りません。
彼らがカネや脅しで果たして動くものやら・・・・

ここでちょっと外出・・・・保存

帰宅後夜のテレビニュースを見ていると、
タリバンはパキスタンとの協議で
オサマ・ビン・ラディン氏を中立的な国で裁く。
反タリバン勢力ヘの援助をやめる、
などいくつかの条件を出したという話が流れていました。
アメリカの強烈な圧力の元でパキスタンが
「このままではこの地域はメチャクチャになる」
とタリバンに泣きを入れたようなんですね。
ま、このあたりは本当のことは何も分かりません。
とにかくアメリカは今、
あらゆる可能性を探りながら
愛国心に火がついた国民が
納得する形だけは取りたいということでしょう。

18日の朝日新聞夕刊・社会面に
とうとう新たな犠牲者が出たこと報じられていました。

「中東・南アジア系住民へ 
 襲撃やまず 2人射殺  
 星条旗を掲げて自衛も」


あのテロ事件の後からアメリカでは
中東や南アジア系住民への嫌がらせや
襲撃が報じられていたが、
とうとうパキスタン系のアメリカ人と
シーク教徒のインド系住民の2人が何者かに襲われ
射殺されたという。
確かにあの映像が繰り返しテレビから流され、
さらに大統領を初め政治家はここぞとばかり
アメリカ人の感情を煽りまくる。
すると中東やアジア系の住民の区別もわからない
アメリカ人中の、ほんの一部だとは思いますけど、
ま、はっきり言うと、アホな奴等が
銃でバンバン撃ちまくる。
何だか西部劇の世界ですね。
今日のテレビではブッシュ大統領がカメラの前で
「昔の西部劇では『死んでいても、生きていても』
 という言葉があった」
みたいなことを言ったというニュースが紹介されていた。
これは記者団に首謀者と見なされている
オサマ・ビン・ラディン氏のことを聞かれて、
間接的に何も生きたまま捕まえる必要はない、
暗殺してもいいんだと言わんばかりのことを
大統領が言ったという文脈で語られていた。
大統領がすでに西部劇ですからね。
確かに記憶では西部劇の映画で必ず出て来る
「WANTED」
という懸賞金つきお尋ね者の張り紙。
そこにこの言葉が出ていたんですね。
「dead or alive」
でしたかね?
さて、そのニュースですが、
一件はテキサス州ダラスで、
15日夜、パキスタン系の食料品店主、ワ
カール・ハッサンさん(46)が
店に一人でいるところを
何者かに銃で撃たれて死亡したという。
記事によれば、ダラス一帯では
イスラム寺院3ヶ所が銃や発火装置で襲われたそうだ。
FBIも反イスラム感情にかられての犯行だと見て
捜査を始めたという。
もう一件は同じ日にアリゾナ州メサで、
シーク教徒のインド系男性(49)がやはり射殺された。
この男性はターバンを巻き、ヒゲを伸ばした姿が、
イスラム教徒と混同されたらしい。
容疑者は逮捕されたとき
「アメリカを断固支持する」と叫んでいたという。
ほかにもワシントンで、カリフォルニア州で、
バージニア州で、ニューヨークで、
嫌がらせが続いているそうだ。
記事によると、
ニューヨークでエジプト料理店を経営する男性は
敵対心がないことを示すために
星条旗を掲げているんだそうだ。
あの悪夢のような映像からアメリカ人のかなりの人が
まだ逃れられないようだ。
私の知るアメリカの友人達はもっと自制心があり、
冷静だと思うが、
どこの国にもアホな奴はいるものらしい。
今日のテレビで紹介していたが、
歌手のマドンナがコンサートで
「報復は報復を呼ぶだけだ」
とアメリカ政府の報復宣言に異を唱えているという。
こういう話を聞くとほっとするよねえ・・・・

私宛に送られてきたメールを
まだ全部見ることが出来ません。
皆さんに一つ一つ返事は書けませんので
ここで御礼を言っておきます。
ほぼ日の読者の皆さん!
励ましのメールありがとうございました。
だいぶん心が癒されましたよ・・・・・

では今日はここまで
また明日・・・・・・

2001-09-19-WED

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