TORIGOE
3分間で、
最近のニュースを知る。

鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第555回

ほぼ日編集部樣

8月16日のニュースから

このところ仕事に追われて、または体調不調につき、
靖国神社への小泉さんの参拝について
何も書く暇がありませんでした。
13日に参拝したことと談話を見て私の感想は

「小泉さん 自分で仕掛けた 罠に落ち」

という川柳でした。
これはTBSラジオの「荒川強啓のデイキャッチ」で
披露したものですので聞かれた方もいるかと思いますが、
結局小泉さんは
「如何なる反対があろうとも
 8月15日に絶対に靖国に行く」
と、自分で、それ程の必然性もないのに
あえて高い高いハードルを設けてしまいました。
それには自民党の予備選で票獲得のために日本遺族会に
「8月15日靖国参拝」を約束してしまった、
という情報もありました。
それも本当なんでしょう。
しかし、一番大きかったのは
小泉さんの情に基づくところだったと思います。
そのことはこの欄で書きましたのでそれを知りたい方は、
8月10日の548回の
「あのくさ こればい!」を参考にして下さい。
小泉さんは激情家ですから
思い込んだら頑固に
がーっといってしまうところがあります。
そこには対中国、
対韓国などアジアの国の戦争をめぐる感情に対する計算は
あまりなかったようです。
特攻兵など国を思って死んでいった
若者への思いで一杯だったんではないでしょうか。
ところが、15日が近づくにつれて
アジア諸国はもちろん自民党内からも
慎重論が出て迷いが始まった。
結局自分で作った高い高いハードルが越せなくなって
13日という日を選択せざるを得なかった。
ここには小泉さんの歴史認識のなさが
露呈したと言うしかないと思います。
此れは何も小泉さんだけでなく
日本人全体に日中戦争--太平洋戦争という連続した戦争への
ちゃんとした認識が出来ていないことが最大の原因です。
13日の参拝の折りに出された「談話」では
日本の侵略行為と他国へ迷惑をかけたことは
明確に言っているので、
これは村山内閣の時の談話の線に沿っていて
歴史認識としては間違っていないと思えます。
問題はそれから先ですたいね。
日本という人格を持たない国が
「侵略をした」というところで
止まっていることが問題なんですね。
中国が一番問題にして、それは私も賛成なんですが、
あの戦争を始めた責任者は誰なのか?
その戦争責任についての踏み込みがない。
ここに最大の問題があるんですね。
もちろん戦争は国民全体の熱狂や賛成がなければ
出来ません。
しかし、国民を「国家総動員法」などで縛り、
戦争の熱狂のるつぼに巻き込んでいったのは一体誰なのか?
軍部か?政治家か?マスコミか?
そしてだれもが抵抗できない存在として君臨し、
自からも戦争遂行に関わっていった
天皇の責任はどうなのか?
A級戦犯を論ずるときに東京裁判の欺瞞性が言われ、
従ってA級戦犯が合祀されていることに日本人の一部から、
また中国、韓国から反発が出ることに対し、
「あれは勝者の敗者に対する一方的な裁判だから
 信用はできない」
みたいなことが言われます。
ばってん、A 級戦犯は
この「天皇の戦争責任」を
連合国側が見逃すことで出来たものでしょう。
いわば、率直に言えば天皇の身代わりだったわけでしょう。
その身代わりの中でも誰が一番責任があったか?
それは太平洋戦争を始めたときの
東条英機首相がその筆頭だったわけです。
こういう本当の歴史について私たちは
戦後ちゃんと学んでこなかった。
それが小泉さんも含め
私たちの歴史認識を実に曖昧にしてきたわけです。
  
それとは別に「有言実行」を看板にしてきた小泉さんが
15日でなく13日にしたことで、
求心力がなくなったなどと新聞は書いているし、
自民党の中の抵抗勢力は
ジワジワと頭をもたげつつあるようですが、
それは断固として別に考えるべきでしょう。
道路特定財源見直しや。
特殊法人の民営化・廃止という小泉内閣の
目標は断固貫いてほしかですね。
この辺の微妙な変化が今後政局に
どういう影響を与えるのかは
これからの見どころだし、
国民としては要注意というところでしょう。

ここで保存・・・・
ながーい取材に出掛けます・・・・何時にバックやら?

11時に帰宅。またこの欄を書き続けることにします。
書ける元気のあるうちに書いとかにゃあ、
そう思って・・・・・・
毎日新聞を読んでたら、
小泉さんの靖国参拝問題には
こういう裏話もあったんだと分かったんで
ご報告しておきます。
毎日新聞の3面の下に2段組みの囲み記事があった。

「『15日参拝なら政権離脱あり得る』
 公明・冬柴幹事長」
「説得時に迫り 首相黙り込む 10日夜」


小泉首相は最初は15日に何が何でも参拝すると
言い募っていた。
それがなぜ15日を前にトーンダウンして
13日になったのか、明解には説明されてはいない。
この囲み記事はその辺の急所を突いたものだ。
10日夜、自民党・山崎拓、公明党・冬柴鉄三、
保守党・野田毅の3人の幹事長が
総理官邸に乗り込んで説得にあたったそうだ。
その時、冬柴幹事長がこう言ったという。
「15日というのは戦前と戦後を分ける分水嶺であり、
 特別な日だ。
 15日に参拝するなら、
 これ以上あなたの内閣には協力できない」
記事の表現によれば、冬柴氏はこう言って迫り、
連立離脱も辞せずの意向を伝えたという。
この時小泉総理は
「えーっ」
と驚き、黙り込んだという。
公明党がここまで腹を決めて
小泉さんに迫っていたとは知らなかった。
これまで公明党は靖国参拝には
反対というのは分かっていた。
支持母体の創価学会の立場からいえば、
政府と神道という一種の宗教が手をつなぐのは
絶対許せないことには違いない。
しかし、連立離脱も考えていたというのは
正直言うと信じられないんですばい。
後では何とでも言えるけんね。
ばってん、それがホントなら
公明党の本気を知って小泉さんが
「えーっ」
と言って息を飲む様子が目に見えるようだ。
こういうある出来事の真相が
もっともっと出て来てほしかですね。
ま、それを掘り出すのが
我々の仕事ではあるんですけどね・・・・

今日はここで寝ましょう。
また明日もハードワークですけんねえ。
ではまた明日・・・・・

2001-08-17-FRI

TORIGOOE
戻る