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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第529回

ほぼ日編集部樣

7月13日のニュースから

昨日というか今朝というか、
眠たくて書けなかったことについて
書いておきます。
それは12日の毎日新聞夕刊12面、

「精子を使わず卵子受精 豪州チーム、マウスで成功」

2段見出しの記事だけど、
やはり目にパッと入った瞬間、ムムム?!
常識で考えれば、卵子だけでは受精というのは
あり得ない話だ。
「受精」
という言葉自体が
「精子を卵子が受け入れて合体する」
という意味を持っているわけだから、
卵子だけでの受精というのは言葉の矛盾になる。
まあ、キリストさんのお母さんのマリアさんは
「処女懐胎」と言われているので
人類の歴史に「精子抜きの受精」と言う考え方が
ないわけではない。
ばってん、科学的な常識では「何?それ?」と
一瞬私が思っても仕方がないでしょうね。
   
で、記事をよく読んでみた。
これはシドニー発の共同通信原稿らしい。
記事によると、オ−ストラリアのメルボルンにある
モナシュ大学のチームがこのほどマウスの卵子で
精子を使わずに受精させることに成功したという。
じゃあ、どうやってこの魔法のようなことを
やってのけたかということですが、記事の説明によれば、
「マウスの卵子に雄や雌から採った皮膚などの
 体細胞を入れた結果、培養液の中で受精卵のように
 分割した」
さあ、分らんぞ。
体細胞を入れてなんで受精するのん?
そこで記事を注意深く読んでみると、
こういう説明がある。
通常の受精だと、1組づつの染色体を持つ
卵子と精子が合体し、計2組の染色体を持った
受精卵ができるんだそうだ。
ところが、体細胞にはすでに染色体が2組あるため、
それを卵子に入れても普通は受精は起きないという。
ここまでは分りますか?
要するに普通は体細胞を卵子に入れたぐらいでは
何も変化は起きないんだそうだ。
ところが、ばってん、このオーストラリアの
研究チームは体細胞を卵子に入れた後、
ある化学物質を加えて体細胞の“余分な”染色体を取り除き、
通常の受精卵のように分割させるのに成功したという。

よく分らないが、これってすごいことなんだろうな。
これはもちろんマウスによる実験で、
人間に当てはまるのかどうかは分らないが、
理論的にはこういうプロセスを経れば無精子症の男性も
子どもを持てるし、また女性同士のカップルも
2人の遺伝子を持った子どもを持つことができることになる。
まあ、こういうのはクローン人間と同じで
神の領域に踏み込んでいるので、
そうやすやすと実行されては堪らないと思うんですね。
しかし、人間の本質に関する話として大変興味深い。

今日は久しぶりに京大合唱団の同窓会で昔の仲間に会いました。
もうみんないい歳なんですが、
会うと40年の昔に時間がさかのぼってしまうんです。
共通の時間を持っている仲間というのは
理屈抜きでいいもんですねえ。

ではまた明日・・・・・

2001-07-14-SAT

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