TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第482回


ほぼ日編集部樣

へへへ・・・スイマセン。
昨日原稿送るつもりが
寝てしまって送るチャンスを逸しました。
それに今日は、
巨人ー阪神戦の野球中継で番組もお休み。
こういうときは人間、緊張が緩むんでしょうか。
寝てしまった、というのはいけません。
自戒自戒自戒・・・・・・

さて、最近は電車のホームが
危険な場所になりつつあるようです。
もう何年も前に立教大の学生が
ホーム上で男に殴られ死亡するという事件がありました。
その学生のお父さんは公衆の面前で息子が殺害され、
しかも犯人が見つからず、諦めきれないので自分で
駅頭でビラを配ったりしながら
今も犯人探しをされています。
お父さんの気持ちは
一言で言えば「不条理」だということことでしょう。
あまりに不条理な殺されよう、
そして多くの乗客が事件現場で
暴行場面を目撃していながらまことに少ない証言、
それも不条理に思えるでしょう。

実はこのプラットホーム暴行事件が26日午後、
西武遊園地駅(東京東村山市)で起きたんです。
朝日新聞も毎日新聞も社会面トップで報じている。

「『少し詰めて』に暴行
 2人組み、男性が重体 西武線駅ホーム」

(毎日)
「ホームで殴られ重体 24歳の男1人出頭」
「客で混雑、駅員気づかず」

(朝日)

実は新聞で「重体」と報じられた
会社員男性(26)は
その後のニュースでは亡くなったそうだ。
家族や友人達からすれば何ということだろう。
不条理以外のなにものでもない。
記事によると、この男性は女性の友人とこの日
西武球場で行われたプロ野球西武ーダイエー戦を見に行き、
その帰りに遭遇した事件だ。
2人は西武球場前の「西武球場前駅」から電車に乗る際、
男性が
「中の方が空いているので、もう少し詰めてくれないかな」
(朝日)
と乗客に話しかけたそうだ。
2駅後の「西武遊園地駅」で、
この男性らがホームに降りたところ
2人組みの若い男達が
「おれたちに因縁をつけた」
と言い寄り、うち一人がラリアットという
プロレスの技で会社員の首を殴打、会
社員はひっくり返るように転倒し、
後頭部をホームのコンクリートで打ったという。
会社員は病院へ運ばれたが、
重体になりその後亡くなったという。
新聞の記事を見ていて気がついたんですが、
この会社員がかけた言葉のニュアンスが
微妙に違っていることです。
朝日は
「中の方が空いているので、もう少し詰めてくれないかな」
毎日は
「中の方が空いているので、もう少し詰めてもらえないか」
スポニチは「もう少し詰めてもらえないか」
これは恐らく警察の発表で記者が書いたものだと思います。

しかし、実際記事になってみると、
これだけの違いが出てくるというのが興味深いですね。
2人組みの男達は自分たちに
因縁をつけられたと思ってやったそうなので、
どういう言葉がこの暴行の
ひきがねになったかという点では、大事なところですね。
もちろん、暴行のひきがねになったと言っても
その男性に何の責めもありません。
ごく普通の言葉に過剰に反応した男達が問題なのです。
ただ、どういう言葉に若い男達は反応したのかは
大事だと思うんですばい。
警察署の発表がどうして記事では
んなに違ってしまったのか。
その微妙な違いは皆さんで感じて下さい。
ところで、犯人の男達は現場から逃走したけれど、
テレビのニュースで会社員が
意識不明なのを知って父親につきそわれて
警察署に出頭してきたという。
この事件の恐ろしいところは
こうやって出頭してくるくらいですから
もともとそれほどのワルではないんだということです。
恐らく普通の若者でしょう。
記事によると、
「24歳のフリーターの男」ということになっている。
先日も東急田園都市線の三軒茶屋駅のホームで
銀行員の男性(43)が電車内で
足が当たったか当たらないかと言うトラブルが元で、
18歳の少年4人に暴行され死亡した。
うち2人は東京家裁に送致され、2人は釈放された。
こういうささいなことで暴力を振るい
死に至らしめる事件が最近多発しているんです。
これは間違いなく時代の空気が生み出す事件だと思います。
「こんなんじゃ電車や駅などではなにも言えませんね」  
中年の知人が首をすくめるようにしてそう言ってました。
確かにそういう怖さがありますよねえ。
朝日の記事にコメントを寄せた評論家が
「瞬間的ヒステリー」
と表現していましたが、そうかもしれない。
こらえ性のなさ。  
これが豊になった日本の病理の一つではあるんでしょう。


ここでいったん保存・・・・
と思いましたが、
でも、もうエネルギーなし。
で、これでお休みなさい。
ではまた明日・・・・・

2001-05-28-MON

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