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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第388回

ほぼ日編集部様

2月16日のニュースから

いやあ、原潜と練習船との衝突事故に関する
民間人搭乗問題は急展開ですね。
さすがアメリカのテレビだ。
今朝の日本のテレビでも
アメリカNBCテレビで放送された
民間人の証言映像が流れた。
NBCは乗っていた2人にインタビューしたそうだ。
事故時の様子が生々しく語られている。
特ダネだね。
こういうときにアメリカの文化を感じますよね。
もちろんアメリカ人にもなんとかごまかそう、
その場をなんとかしのごうという気持ちが
ないわけではないと思いますが、
事実や真実には最終的にはちゃんと向き合おう、
向き合うしかないんだとの
一定の合意みたいなもんがあるような気がします。
NBCテレビのスタッフの努力もさることながら
こういう場面で、テレビにちゃんと
自分の顔をさらして何があったのかを
証言しようというアメリカ人の
心の有り様に私は関心を抱きます。
日本ではこうは行きませんでしょうね。
先ず役所や警察や軍(?)当局などが
情報を明らかにしようとしても
箝口令をひいてしまって肝心の事実は
なかなか公開されないでしょう。
朝日新聞の社会面には
民間人2人のテレビ証言の詳細が再録されている。
その中でテレビ司会者と民間人、
トッド・ソーマン氏との会話にこういう部分がある。

司会者  海軍の関係者がこの事故について、
     かん口令をしいたりしましたか。
トッド  そういうことは全くなかった。
     印象的だったのは、
     艦長が
     「この先どういう展開になるか分らないが、
     大げさに話したり脚色したりせず、
     見たこと、聞いたことだけ、
     事実だけを話してほしい」と言ったことだ。

この言葉はどちらに力点があるのか、
と言う疑問を指摘する人もあるでしょう、
つまり、
「話すのはしょうがないが、
 あんまり大げさにには喋るなよ」
とむしろブレーキをかけたのかもしれない。
それとも、後半の「事実だけを話してくれ」と
事実を話すことに反対はしていないこと。
私は、事故直後の艦長の心理として、
これは大変なことになったとの認識があって
民間人がテレビなどの証言をする場面を想定し、
嘘はつかんでくれ、という気持ちはあったと思う。
しかし、事実の前には逃げ隠れは出来ない、
というアメリカ人の、
性根の部分はそこに出ていたと思うのです。
そこが日本人とチョット違うところのような気がします。

実は、今日のスポニチを見ていて
そうかと思うことがあったんです。
スポニチの社会面に今回の事故に関する
短期集中連載の1回目が囲みで出ている。

「総力取材 @プラス
 日米外交(上) ”波風立てぬ”弱腰対応」

 
これが見出しだが、記事を引用しておこう。

「今回の事故は、日米関係への大きな試練となった。
 『この困難を乗り越え同盟を強化していきたい』
 共同電によると、、
 ブレア司令官の目の前で
 桜田政務官が語ったのは12日。
 会談では、
 原潜の対応に不満を漏らしていた
 実習船『えひめ丸』の大西尚生船長と自ら面談し、
 米側の言い分を受け入れるよう説得する側に回った。
 『救助活動は適宜、適正だった。
  大西船長も理解されている』と
 会談後の会見で述べ、
 米側への信頼が揺らがないことを強調、
 最初の”荒波”を乗り越えた」

先週、放送した「スクープ21」の中で、
現地ハワイから中継レポートした長野智子さんが
「大西船長が記者団から米軍へのことを聞かれると、
 下を向いて黙ってしまう」
という趣旨のことを伝えていた。
この時の大西船長の様子がヘンだということには
同席していた記者団は誰も気づかなかったらしい。
その後新聞、テレビの放送では
長野さんの指摘した様なことは全く伝えられてはいない。
きっと、長野智子という女性だけが
敏感に感じ取ったある種の異様さだったんだろう。
感じ取る力・・・・感性ですかねえ・・・
私はあれー変だなあ、と思い、
帰国した長野さんに詳しく聞いたところ
やはり大西船長の米海軍への
反応はおかしかったことが分った。
でも、何でだろうなあ?
怒りのあまり言い出せば
どばーっと出てくるんで
本人は自分で抑制しているのかなあ。
それとも残された9人の行方不明者の捜索で
米軍の協力を得なければならないので
大西船長なりにじっと我慢しているのかなあ。  
そんな程度にしか考えていませんでした。
私もそこまでしか感じないなんて
情けないですがね・・・・・・
ところが、どっこい、
そんなこつじゃなかったんですばい。
このスポニチの記事に出てくる「桜田政務官」なる
日本の政府を代表する人物が大西船長に
米軍についての不満は言うな、
とプレッシャーをかけていた事実が
明らかになったんですたい。
こりゃ、許せんばい!
事故を起こした艦長が「事実だけを話してほしい」と
民間人に言ったのと比べて、
わが日本の政治家が如何に情けないものか。
日ごろから事実や真実の重さについて
本当に心から考えたことのない
国民の一端が露出した気がして私しゃ、
ほんなこつ情けなか。

この桜田義孝政務官なる男、
潜水艦側の救助活動についても、最初
「その場にとどまり、
 救助、捜索活動にあたったことを確認した」
と、述べたが、毎日新聞の2面の記事によると、これは
「米側の説明をうのみにした誤認だった」
という。

日本人側に立たずにアメリカ側で
終始したこの日本の外務省の政務官。
お前は一体どこの国の役人じゃい?
私は、あの記者会見での
大西船長の痛々しい表情が記憶に残っているので
やっぱり許せんばい!!!
と思うとです。
どげんでっしょうか?

というところで
また明日・・・・・・

2001-02-17-SAT

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