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第352回
ほぼ日編集部様
1月7日のニュースから
実は昨日書こうと思いながら
かき切れなかったニュースがあったんです。
3紙の見出しを並べるとこうなります。
「犠牲者297人に 英医師の大量殺人」
(毎日新聞ベタ記事)
「英の医師 患者殺害 不審死
さらに300人 政府調査報告」
(朝日2段)
「注射で297人殺害? 英の元開業医」
(スポニチ3段)
この話はなにしろ犠牲者とされる人の数が
驚くほどの多さで、先ずそれに目を奪われるんですね。
この医者はヘロイン注射で
患者15人を死なせたとして
終身刑の罪に服役中だそうだが、
その後英国政府が調査して出した報告書によれば、
過去25年間で不審な死に方をしている人が
297人もいることが分ったんだという。
スポニチ(ということは共同通信の)記事によれば、
この医者は主に一人暮らしの中高年女性に往診した際
ヘロイン注射をしていたという。
記事の表現によれば、「死の治療」を施していたそうだ。
なぜこの医者がこういうことをしていたか、
彼は捜査には一切協力せず、
動機はまだ解明されていないという。
1種の安楽死の方法としてヘロインを使ったのか、
それとも彼の中に何か説明出来ないような、
つまり不条理な彼なりの理由があったのか、
はたまた老女たちの財産を狙っての犯行なのか、
記事だけでは全然分かりませんね。
外国の話だからしょうがないなあ、
と思っていたら今朝の朝刊を見てびっくり。
日本でも似たような話があったんです。
これは各紙とも1面トップのニュースです。
朝日は
「患者点滴に筋弛緩剤 元准看護士を逮捕
殺人未遂容疑 小6意識不明 仙台の病院
容体急変10数人 7,8人が死亡」
こういう大ニュースは当然社会面でも受けるわけで、
社会面トップでは
「命救う病院でなぜ 元准看護士に殺人未遂容疑
動機は?管理体制は?『信頼、根底から崩壊』」
「病院関係者 不安な表情
類似の事件後を絶たず」
毎日もスポニチも同じ内容なので取りあえず、
朝日の記事で内容の要約をしておきます。
仙台市にあるクリニックに准看護士として
勤務していた29歳の男性が6日
殺人未遂の容疑で宮城県警に逮捕された。
容疑は昨年10月31日、
このクリニックに腹痛を訴えて
入院していた少女(小学6年生)に点滴をする際
医師の指示を受けずに、
故意に点滴液の中に筋弛緩剤を混ぜた疑い。
この少女は点滴後症状が急変し、
医師の応急処置で命はとりとめたものの
低酸素性脳症となり、
その後も意識不明の状態が続いているという。
この少女はもちろん、
家族の悲しみからするとこの准看護士のしたことは
理由のいかんに関わらず許せない行為だ。
この容疑者は一昨年2月から
このクリニックに勤務していたが、
この看護士が点滴を担当した後に
容体が急変して死亡するケースが多いため、
昨年12月中頃、
病院内で噂になってついに病院も警察へ相談。
同じ時期に容疑者もクリニックを辞めたという。
半月間の捜査の結果警察は逮捕に踏み切ったわけだが、
その動機があまり判然とせず、
英国の医師のケースと表面的には似ている。
朝日の記事ではそのあたりはこう書いてある。
「容疑者から点滴を受けた後
急死した患者らは容疑者との面識はなかったといい、
捜査本部は患者個人に対するうらみではなく、
病院への不満などが背景にある可能性もあるとみて
動機を追及する」
私も昨年半月間病院へ入院して
毎日点滴を受けていたので、病室の状況は分ります。
患者は病院を全面的に信頼して身を任せているわけで、
そこに邪悪な意図が入り込んでしまったら
患者側は防ぎようがないんですね。
ただ最近は看護婦などの点滴液の取り違えなど
ウッカリミスによる医療事故も起きているんで、
私は看護婦さんに冗談に紛らわせながら、
しかし、その 実内心では相当に真剣に
「ねえ、これ大丈夫?」とか「この点滴の中味は何?」
とか聞いて確かめていました。
これは事故ですね。
ばってん、仙台の病院のケースが
報道されている通りならば、これは事故ではなく、
間違いなく犯罪ですたい。
ただし、動機が今一つ分りませんね。
病院への恨みと言っても
そんなことをやるんでしょうかね。
朝日の社会面に宮城県警刑事部長、
蔵本英雄さんの会見での言葉が出ているが、
警察幹部のコメントとしては
かなり異例な感情の入ったものだ。
「今まで経験したことのない極めて凶悪な事件。
信頼する側(患者)と、
信頼される側(病院)の関係が
根本から崩れてしまう」
スポニチでは県警幹部となっているが
「許せない。ほかでもやっているのでは」と
怒りを表したという。
普通、捜査が始まった段階では警察幹部は
こういうふうに容疑を断罪するようなことは
言わないものだ。
それは司法には「推定無罪」と言う原則があるように
裁判が終わるまでは犯罪の断定は出来ないという、
1種の抑制が働いているからでしょうが、
今回は宮城県警、相当に事実関係の立証に
自信があるらしく極めて断定的です。
それにしても何故???
英国の医師もこの准看護士も
何のためにこんなひどいことをしたんでしょうか?
その疑問が解けないかぎり事件解決とは言えませんね。
もう一つこれも各紙大ニュースになっているので
あまりここでは取り上げませんが、
中島洋次郎元衆院議員(41)の自殺。
先日の落語家、桂三木助
(年齢は正確には覚えていないが、
確か44歳ぐらいだったかな)
の自殺といい、
2世で世に出た人たちの折れる時の様子が目に浮かぶ。
ポキッと音がするように彼らの人生は
折れてしまったんでしょうね。
中島元議員の場合は政党助成法違反と
受託収賄などの罪に問われていたが、
朝日の次のような記事を見ると心が痛みます。
「逮捕後99年1月に保釈された。
公判で妻は、帰宅した中島元代議士が
『死んでおわびをすればいいのかなあ』と
こぼしたと証言した。
『そのときには私のおなかに次男がいたので
〈子どものために頑張ってちょうだい〉
と言いました』。
しかし、同年4月に生まれた次男は2ヶ月後に
『乳児突然死症候群』で命を落とし、
7月には自らが実刑判決を受けた。
法廷での妻の説明によると、
次男の死を『自分のせいだ』と責め始め、
このころから精神的に不安定な状態が
ひどくなったという」
記事によれば、控訴審で弁護側の最終弁論で
こう述べたそうだ。
「かつて赤じゅうたんを踏み、
国政を論じた中島はもういない。
不安と絶望からいまや抜け殻状態で、
進むべき道もわからない」
三木助さんの場合も周囲にはサインは出ていたようだ。
中島さんの場合はもっと
はっきり死のサインが出ていたんじゃないだろうか。
こういう状態になったときの奥さんの不安と悲しみは
どんなものなのだろうか。
予想しながらそれを止められなかったこと、
家族には深い悔いが残るんでしょうね。
今日は思いっきり暗い話になってしまった。
ではまた明日・・・・・
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