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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第341回

ほぼ日編集部様

12月22日のニュースから

今日もベタ記事を中心に見ていくばい。
大きか記事はみーんなが知っとるけん、
この際は目ばつぶります。
先ずは朝日の社会面の目立たないこのベタ記事。

「いじめ調査書 開示請求棄却 中学生の親に長野地裁」


長野県須坂市の話だ。
1997年、
「いじめられていた」との遺書を残して自殺した
須坂市立常磐中学校1年生、前島優作君(当時1年)の父親
前島章良さん(46)は市教委に対し
息子のいじめに関する調査資料などを見せてくれるように
(つまり開示を求めて)求めていた。
しかし、市教委が見せてくれないため、長野地裁に
調査資料の開示請求の訴えを起こしていたのだが、
その判決が21日、長野地裁で出た。

記事によると、佐藤公美裁判長は父親の訴えを棄却、
つまりあんたは負けよ、という判決を出したのだが、
棄却の理由としてこう述べたという。
「情報公開の範囲は地方自治体が自主的に決めるもので、
 非開示とした処分に違法性はない」
裁判は情報を公開すべきかどうかを
審理はしていないようだ。
須坂市教委が「非公開」と決めたことが
須坂市の条例や法律などに照らして違法であるかどうかを
チェックしたわけだ。
ところが、どこにも須坂市教委の側には
法やルールにもとるものはないので、
結論としては棄却ということになったんだろう。
裁判というものはこういうものなんだと思う。

常に法律に照らしてどうかということをやっているのが
裁判所なんだ。確かにそうなんだ。
ばってん、何かおかしいよねえ。
親が自分の息子の悔しい死に方の真実を
知りたかち言うちょるとにほんなこつ、
まあえらーい冷たかな裁判所ですばい。
大抵の皆さんもそう思うでしょうね。
裁判官が積極的な人で
自分が新しい判例を作り出そうとすれば
何か工夫はあるとでしょうが、この裁判官は極めて普通の、
お役人的な、もっと言えば人間の悲しみとかについてよりも
法律とか原則とかに忠実であろうという、
いわば石頭さんでしょうね。

このお父さんの談話が出ている。
「非常に冷たい判決。息子のために1日泣いた後で、
 控訴するかどうかを考えたい」
 
ここで保存・・・・・
また大晦日番組の収録で出掛けます・・・・・

帰宅。また書き始める。
「息子のために1日泣いた後で・・・・考えたい」
父親の悲しみ、無念さ、子を思う気持ち・・・
よく伝わる言葉。
この当事者でなければ絶対吐けない言葉だ。
「1日泣いた後で」
何という表現だろう。
長野地裁の裁判官よ!
この言葉を少しは感じてくれい。

次はこれ。

「今年殉職の報道関係者62人」

毎日新聞の6面、国際面のベタ記事。
今年1年間で取材中に殉職した世界の報道関係者は
19日現在、62人になるという。
これを発表したのは国際ジャーナリスト連盟
(本部・ブリュッセル)という組織だ。
こんなもんがあるとは知らなかったが、
62人というのはやはり多いですね。
記事によると、このうち37人は
内戦などで殺害されたものだという。
地域別では9人が犠牲になったコロンビアをはじめ、
シェラレオネ、パキスタン、スペイン・バスク地方などに
集中しているそうだ。

記者やカメラマンという職業は
戦争や政治的に不安定になればなるほど
仕事が増えてくるものだ。
それは記者冥利に尽きるともいえるのだが、
同時にこうして命を落とす危険性に
さらされるということでもあるんです。
私もテヘラン特派員の間、
何度もイラン・イラク戦争の戦場に連れていかれましたが、
ああ、これで最後かと覚悟したこともありましたから、
こういう記事を見ると他人事と思えません。
ばってん、日本の記者達は
記者クラブで原稿書いていればいいんで、
全く別世界ですね。
おそらく、この記事を見ても心が動かされる記者は
ほとんどいないでしょうね。
安全で清潔で便利で豊かな社会のジャーナリスト達は。

次も毎日新聞の国際面。
「MAIL BOX」という囲みの記事。
ベルリンの藤生 竹志特派員の
短いけどほうっ?!という記事だ。
書き出しはこうだ。

「ドイツは喫煙者にとって天国だ」

これでまず何々・・・と思ってしまう。続いてこう来る。
「喫煙者に世界一厳しい米国人が見たら、
 ドイツ人スモーカーのマナーの悪さに
 まゆをつり上げて怒るだろう」
そうか、ドイツ人てそんなに喫煙マナーが悪いのか、
知らんかったなあ。
ドイツ人のイメージは清潔、
きちんとしているというところだから、こう言われても
ホントかいなと思ってしまう。
それが、記者によれば、中でもベルリンが最悪だそうだ。
「ポイ捨ては当たり前、火がついたまま車の窓から
 投げ捨てる人が実に多い。
 『靴で踏みつけると、もっと汚なくなるだろう』という
 言い訳を聞いたことがある。
 危なくて仕方がない」

欧州連合(EU)はたばこの広告禁止などの
規制を進めようとしているが、
ドイツが反対して進まないんだそうだ。
もちろんマナーは一向に改善しない。
藤生記者はこう指摘する。
「これが『環境先進国』といわれる国の現実だ」
うーん、知らんかったなあ。
こういう意表をつく記事は見つけると実に楽しい。
ベタ記事だけに毎日の読者もひょっとすると
読んでないんじゃないか、と思うと余計に楽しい。
発見の楽しみですたい。

もうすぐクリスマスか。
イブの夜はほぼ日編集部へ行けるぞ。
楽しみ!!!

では今日はこれで
また明日・・・・・はないんだった。




「桶川女子大生ストーカー殺人事件」
著者:鳥越俊太郎
メディアファクトリー 2000/10出版
本体価:¥1,500



「鳥越俊太郎のあのくさ、こればい!」
著者:鳥越俊太郎
プラネット出版 2000/10出版 19cm 413ページ
本体価:¥1,480
ISBN:4939110087

2000-12-23-SAT

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