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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第326回

ほぼ日編集部様

12月7日のニュースから
昨日から広島に来ています。
強盗犯人を追いかけて追いついた所で
犯人に刺し殺されてしまった27歳の先生の話の取材です。
先生が4月から半年間だけ担任として接してきた
中学の3年1組の子供たち、校長や教頭、同僚の先生たち、
保護者(お母さん)多くの人たちから話を聞きました。
取材中にもかかわらず
私は何度もこみあげる涙を禁じ得ませんでした。

中学3年生の子供たちの言葉を借りれば、
最初は「なんと頼りない先生だろう」と思ったそうです。
でもそれは1週間もたたないうちに
あっという間に変わったそうです。

ある男性生徒はこう言う言い方をしました。

「これまで小学校、中学校と何人もの先生に出会ったけど、
 川原先生以上の先生はいませんでした」
 
ある男の子を持つお母さんは言いました。

「うちの息子は親の前で涙なんか見せたことないのに
 事件の後涙をボロボロ流してもう止まらないんです」
 
同僚の先生は言いました。

「彼はほんとに子供が好きでした。
 彼の今回の行為は教育の原点だと思います」
校長先生は言いました。

「私は実は悩みました。
 今回のことを子供たちにどう伝えるのか。
 殺されるようなことをしなさいと言えませんし、
 まして助けてという人を
 目の前にして知らん顔をしろとも言えませんし。
 でもある住職と話をしてようやく分かりました。
 結果から物事を見るべきではない。
 その人が何をしようとしたのか、
 最初の気持ちを大事にすべきだと」
 
27歳の青年教師は周りの人々に
多くのことを残していったようです。
それに比べ犯人は
広島では有名な建築事務所を経営する人物の子供で、
家は3階建ての白亜の豪邸でした。
女性を午前0時44分(コンビ二のレジの打刻時間)から
後をつけ、アパートの入り口でナイフで脅し
3階の部屋まで行き、
部屋の中で首をしめようとしたそうです。
女性はそこで悲鳴を上げ、
それを聞いた川原先生は部屋を飛び出し、
悲劇を迎えることになるのですが、
金持ちの息子が単に金目当てにそんなことをするはずがない、
と言うのが中学生の親たちの憤りに近い告発です。
きっと乱暴目的だったんでしょう。

警察はこのどら息子のことを
ほとんどマスコミに情報公開しません。
私には何かおかしいと思わざるを得ません。
そんな馬鹿息子と生徒に慕われた先生と
二つしか年が違わない(犯人は25歳)のに
私は言うべき言葉もありません。

きょうはこれで・・・
また明日・・・・

2000-12-08-FRI

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