TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第300回

ほぼ日編集部様

11月11日
のニュースから

今週はやたらニュースが多い。
石器のねつ造事件は依然として尾を引いているし、
アメリカ大統領選はまだ決着がつかない。
そこへ突然過去の亡霊のような人物が現れて
大騒ぎ。重信房子。
マスコミが騒げば騒ぐほど彼女らの思うつぼ。
でも、マスコミの幹部は大体彼女らの世代、
青春の血が久しぶりに騒ぐらしい。
若者にはおじさん達、なんでそんなに興奮するのよ、
ってとこでしょうか。
それから鈴木一朗選手(イチロー)が
14億円の大金でシアトルマリナーズへ
移籍することが決まった。
このくらいかな、今週はと思っていたら、
永田町で激震。
といっても加藤紘一さんがこれまでのへっぴり腰を
やめて、戦う姿勢を初めて見せたと言うもの。
森内閣へ野党側からの不信任案が提出された場合、
加藤さんと山崎拓さんの派閥が欠席戦術をとると、
不信任案の行方は微妙になってくるというので、
これも大騒ぎ状態。
「スクープ21」としてはどれもやりたいが、
時間は限られていて結構判断に迷う。
さて、今日のニュースは・・・
朝日新聞を読んでいる人は混乱したに違いない。
ほんの1日前の紙面で

「自民 奇妙な『なぎ』 主流派 人事テコに反撃へ
 非主流派 手詰まり いら立つ」

 
と4面の半分近い紙面を使って自民党内には
今なぎ状態が訪れているという解説記事を載せた。
中見出しには「政局収束宣言」なる言葉も
使われていて一時期加藤さんの動きで緊張した
与党内部には「ひと呼吸置いた」という
空気が漂っていると書いている。
その翌日、つまり今日ですが、
その朝日新聞の1面には1日前の解説記事とは
正反対の見出しがトップ記事で踊っている。

「内閣不信任案 加藤氏、同調の意向
 小泉氏に『採決欠席する』」
「政局、流動化も」


私などは、思わずオイオイ、
朝日よ昨日と全く違うじゃないか、
もちろん情勢ががらりと変ったのは分るが、
それならそれで、昨日はこういう紙面を作ったが、
昨日から今日にかけてここがこう変ったから、
こんな記事になりましたぐらいの事情説明は
あってもいいんじゃないの。
加藤さんが急に心変わりをしたのか、
戦術的に敵も味方も騙していたのを
読み取れなかったのかもしれない。
そこは取材上にいろいろ苦労はあるでしょうが、
こういう知らん顔して昨日と今日と
全く異なる記事を載せるようなことを続けていると
新聞は信頼を失ってしまうよ。
私はもう大分前から新聞は間違うものだ、
それは人間のやることだし、
時間と競争しているわけだからミスをすることもありうる。
問題は間違ったときどう処理するかが一番大事だ
と言ってきました。
つまり間違ったらそのことを正直に伝え、
訂正すべきところは訂正し読者が判断したり、
認識したりするうえで必要な情報は出すべきだ
ということです。
朝日を初めマスコミが加藤さんに振り回されたのは、
加藤さんのテレビでの発言があるようだ。
筑紫さんの「ニュース23」に出演した加藤さんは
「内閣不信任案には同調しない」と発言。
これを機に加藤さんは戦わないのかという声が上がった。
自民党内部にも加藤はやっぱりダメだな、
という空気が広がったようだ。
それが朝日の記事になっていくわけだが、
そういう空気に加藤さんが反発したのか、
若い連中に突き上げられたのか、いずれにしろ
加藤さんは前言を翻したわけですたい。
今日の毎日新聞の2面に「加藤氏の発言」として
最近の加藤語録が採録されている。
その中でこういう下りが面白い。

記者団 先日テレビ番組で
    「内閣不信任案には同調しない」と言ったが。   
加藤氏 いくつかの選択肢はあるが、
    何百万人の前で手の内を明かすことはできない。

なるほどと思う。
加藤さんはいよいよ最後の勝負の塲面に来て、
必ずしもテレビなどではホントのことは
言ってないんだなあ、ということ。
ウソつくこともありますよ宣言ですね。
同じ与党の公明党の神崎代表のコメントが
毎日の2面にベタ記事扱いで
出ている。見出しはズバリ・・・

「びっくりした

「びっくりした。政局が終わったんだと自民党内で言われ、
 (加藤派の)若手から突き上げられて、
 加藤さんもそういう思いになってきたのかと思う」
まあ、この話しは来週から本番を迎えることでしょう。
そうすると日曜日朝のNHK、テレ朝、フジの三局の
政治家出演討論番組は注目されますね。
スタッフは今ごろ大変でしょうが。

アメリカの大統領選挙がまだ決着ついていない。
で、ここへ来て見えてきたのはアメリカの選挙って、
こんなもんかいということ。
スポニチの社会面にこんな記事があった。
「また、米国務省のバウチャー報道官は記者団から
『フロリダ州に国際選挙監視団を受け入れるつもりは
 ないのか』と指摘され
 『どのような国からもそのような申し出はない。
 その必要もない』
 と不快感を表明する場面もあった」

あはははは・・・・・
世界中の発展途上国の国民達がもしこの話しを知れば
大笑いすることでしょうね。
アメリカはこれまで、我こそは民主主義の権化、
世界ナンバーワンの立場で世界中に何か問題があると
乗りだしてきてあれこれ世話を焼きたがる
国民達だったからね。
民主主義と人権の伝道師。
これがアメリカの自ら演じて来た役だった。
それが見事に今回崩れ去ってゴア陣営とブッシュ陣営の
支持者達がプラカードを掲げて一触即発状態に
なっているのを見せられると、
なんじゃい、これってアジアかアフリカ、中東、
南米などの発展途上国の映像で見たことあるなあ、
と言う気分になりますばい。
それはアメリカ人達が一番強く意識していることらしく、
朝日の7面に

「有権者に怒り広がる フロリダ再集計
 学生『票もてあそぶな』」

 
の見出しでフロリダ州の政府ビル前で
抗議の座り込みを始めた学生の動きを伝えている。
そのなかにこんなくだりがある。
「呼びかけ人の一人、大学4年生の
 ジンテル・ジョーンズさん(25)は
 『投票箱が盗まれたとか投票用紙が不正だったとか、
 どこかの途上国並み。僕らが不正義に怒っていると
 分って欲しい』と説明する」

そうなんだ。
アメリカ人は今恥ずかしい思いをしているんだ。
これまでさんざん他国の国民をバカにして
見下してきたことへの報いでしょう。
毎日新聞の3面に米国の研究者、
猿谷要・東京女子大名誉教授の談話が
その当たりのことを痛烈に書いている。
さわりだけを紹介しておこう。
「大統領選挙がここまでずさんだったことは、
 世界中を驚かせたし、私自身もあきれている。
 米国の信頼度が落ちてしまった。
 両陣営とも国務長官経験者
 の大物を監視団として送り込んだが、
 発展途上国の選挙に外国から監視団が
 派遣されるのと同じことだ。
 ・・・・・・ 日本などが民主主義の模範にして
 来た国が失態を演じているのは校長先生が
 生徒の前でみっともないことをしでかしたという
 感じがする」
まあ、そういうことでしょうね。
でも、アメリカもおいらたちとそんなに
違わないんだと分ってほっとしません?

というところで
また明日・・・・・・
ひょっとすると・・・・でもがんばる・・・

2000-11-12-SUN

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