TORIGOE
3分間で、
最近のニュースを知る。

鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第295回

ほぼ日編集部様

11月6日のニュースから

毎日新聞の7面(外信面)に2段見出しの、
あんまり目立たない
記事に今日は注目しましたばい。

「米大統領が拒否権
 政府機密情報漏えい処罰法案」
「情報規制に懸念示す」

明日7日次のアメリカ大統領が決まるので
アメリカ国民はもちろん世界中が
クリントン大統領のことなど、
あ、そう言えばいたわね状態になってるようですが、
そのクリントンさん、やってくれましたばい。
この毎日の地味な記事によれば、
政府の機密情報を報道機関などに漏らした関係者への
処罰を強化しようという法案に対し、
クリントン大統領が拒否権を行使したんだそうだ。
この法案は防衛機密以外の情報漏洩にも
処罰対象をを拡大し、罰則も禁固や罰金も
最高1万ドルに引き上げるなど、
政府内部からの情報流出を厳しく取り締まろうというもの。
中央情報局(CIA)など情報機関からの要請で
上下両院が審議して可決。
後は大統領の署名待ちの状態になっていた。

この機密漏洩禁止の強化案には、
もちろんワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、
CNN、などアメリカのメディアはほとんどが反対していた。

クリントンさんとしては
政府・情報機関と議会の方を取るのか、
それともメディア側に立つのか、
極めて難しい判断を迫られたんでしょう。
が、クリントンさんは
「情報の自由な流れは民主主義社会にとって重要」
と不必要な規制には懸念を示し、
最終的には「ノー」という拒否権を行使したんだそうだ。
この辺がアメリカの政治のシステムの
日本と異なるところでしょうね。
いや、システムだけじゃなく、
政治家が基本的に身に付けている価値観や
哲学の違いのような気がします。
このニュースは朝日新聞にも
4面に4段見出しで出ていて、
実は記事の内容はこちらの方が詳しい。
朝日の記事を引用しながら
もう少しクリントンさんはなぜ、
こういう判断をしたのかを見てみたい。
朝日の見出し。

「米機密漏えい禁止強化法案
 大統領が拒否権
  報道の自由『民主主義の根幹』」

  
朝日の記事を一部引用する。
「大統領は拒否権を行使した理由の中で
 『機密情報の違法な漏えいは国家の安全に害を及ぼす。
  (米国では)情報漏れが非常に多いのも事実だ』と
 認めながらも、
 『民主主義が機能するために必要な
  情報を国民が得る権利を擁護することも、
  大統領の責任だ』と述べた。
 大統領は、
 1.法案は『国家の安全の保障』と
   『国民の知る権利の保障』の
   適正なバランスをとったものとは言えない。
 2.政府職員が訴追される危険を避けようとするあまり、
    適切な討議や記者会見などの活動が
   阻害される恐れがある。
 3.元政府高官が学校で教えたり、
   本を出版したりすることも難しくなるーー
   などと指摘。
   その上で『機密の範囲を広げすぎれば、
   民主主義の基本となる正当な活動は
   不必要にくじかれてしまう』と結論づけた。」

上下両院が三分の二以上の多数で可決しない限り、
この法案は廃案になるんだそうだ。
恐らくこれでこの法案は葬られたんでしょう。
でも、朝日の記事に出ている
クリントンさんの理由づけの目配りの確かさ。
どうですか、これをうち方の首相に求めるのは
もうないものねだり、ってもんでしょうねえ。
実は日本でも個人情報保護をめぐって
メディアに規制がかけられようとして、
政治家や政府とメディアの間には見解の対立があるんです。

事情は大分違いますが、
基本的には社会にとって情報の公開をどう保障するか、
という点で同じことだと思います。
じゃあ、森さんがクリントンさんのような
民主主義のなんたるかについて深い理解と洞察を示せるか、
というと、そりゃあ、無理でしょう。
こういうことを考えるたびに私は情けなくなるんです。
私達日本人には何故ちゃんとした
首相を選ぶことができないんだろう。
やはりシステムの問題も考えるときに
来ているように思います。

毎日新聞がスクープした石器の発掘ねつ造事件は
昨日のテレビのニュースから、
今朝(6日)の新聞各紙と大展開されている。
問題の藤村さんという人がテレビの画面で頭を
下げたまま(それも極端に)
謝罪会見している様子が映っていた。
こういうときの本人の胸中はどんなもんだろうか。
自分を一切消してしまいたい、そんな心情なんだろな、
と推し量りつつ見ていました。
つまり自分があの立場ならどうするんだろうと。
「魔が差した」
これが藤村さんの口から出た言葉だった。
確かにそういうふうに言うしかないのかもしれないな、
と思ったが、朝日新聞の社会面に載っていた
ある人物のコメントが気になった。
鎌田俊昭・東北旧石器文化研究所理事長。
この研究所の副理事長が問題の藤村さんだから、
同じ研究所の上司に当たる人でしょう。
こう言っています。
「私達は任意の支援を受けてやっているということで
 特別かもしれない。
 絶えず脚光を浴びていないと支援をもらえない。
 NPO法人になったのは財団などが
 注目してくれると思ったからだ。
 安定した収入があれば藤村氏もやっていけると思った」
このコメント必ずしも全部理解できるわけではないが、
今回のねつ造事件の背景みたいなものが
臭ってくるようには思えます。
「絶えず脚光を浴びていないと支援をもらえない」
この言葉が重いですね。
絶えず脚光を浴び続けるために
無理をしたというんでしょうか。


今日は相変わらず疲れてます。
ではまた明日・・・・・

2000-11-07-TUE

TORIGOOE
戻る