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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第257回

ほぼ日編集部様

最初に御報告。
「あのくさ こればい!」の本は
発売前に再版が決まったと、
出版社から連絡がありました。
糸井さんの言われるように、
これは一つの実験かもしれません。
インターネット上のものが本になって
どの位求められるのか。
もう読んだからいいや、なのか、
それとももう一度本という違う形で手にしたいのか。
私が読者としても分りません。
ただいまのところは
「快調」と言えるかどうか分りませんが、
「出足好調」ではあるようです。
転送されてきた読者メールの中に
「プレゼントの本今届きました!」というのと、もう一つ
「これから本買いに行きます」というのがありました。
著者としてはこれに勝る嬉しさはないわけで、よっしぃ、
今日も行くぞ!という気になりました。


9月28日(木)
のニュースから

オリンピックの間はどうしても
目がそっちに行ってしまいますばい。
やはり勝負に賭ける人間のドラマがありますけんね。
で、今日はまず韓国戦に負けた野球3位決定戦から。
朝日新聞はあの西村欣也記者の書いた記事が
そうそうここだ!というポイントをついている。

「8回のピンチ 捕手任せ 裏目 西村欣也五輪EYE」

日本チームは8回の守りで、
ワンアウトランナー2塁のとき、
やや難しいセカンドゴロを2塁手がよく捕球したのだが、
1塁へ悪送球、ランナー1塁、3塁のピンチを迎えた。
次の打者を打ち取ったものの
セカンドへ走られ2死2、3塁。
ここで韓国の3番打者、李選手。
昨年のシーズン、54本のホームランを打っている強打者。
松坂投手はフルカウントから
153キロの速球を投げ込んだが、左中間を破られ、
2走者が帰り、さらに次の打者にも打たれて
3点が韓国に入った。

西村記者はこう書く。
「このシーンに、日本チームが抱える弱点が
 凝縮されてあった。
 『実は、迷ったんです』松坂は正直に告白した。
 『結局は捕手任せでサインに従いました』
 松坂は23日の予選、対韓国戦に2点本塁打を浴びた。
 しかし、この3位決定戦ではここまで李選手を
 3三振に打ち取っていた」


つまり、西村記者によれば
「その反省が生きているようにみえた」そうだ。
しかし、試合の流れを左右する決定的な場面で
バッテリーの狙いが一致しなかった。
松坂の気持ちの中では
真ん中高めの速球を要求してきた鈴木捕手(中日)とは
違った感触を持っていたのだろう。
鈴木捕手は、松坂はやはり速球だ、
だからここは高めで空振りを、と思ったようだ。

この部分はスポニチに鈴木捕手の談話が出ているので
紹介しておこう。
「(8回の李選手の左中間2塁打は)
 要求は高めの真っすぐ。変化球でもよかったが、
 ちょこんと合わせられるのが嫌だった。
 大輔だから真っすぐでいった」


鈴木のこの判断と松坂の感触が
この時点でホンの少し違ったことだ。
それは松坂の「実は、迷ったんです」の言葉に
よく表されている。
松坂投手は速球と変化球とこの場面でどちらがいいか、
迷ったんでしょう。
しかし、最後は鈴木投手の判断に任せて投げて、
打たれた。
松坂投手の試合後の涙はそうした一瞬の自分の迷いを
悔いているかのように見えました。
 
さあ、そこでもう一度、西村記者の記事に戻りましょう。
「しかし、戦力バランスがとれていないのも事実だった。
 古田を欠いた捕手と、アマチュアが打つ下位打線という
 ふたつの穴からメダルが逃げていった」

ここでようやくはっきり言いましょう。
中日の2番手捕手、鈴木選手が務めるには
オリンピックの舞台はまだちょっと
きつかったということなんでしょう。
ヤクルトの古田捕手がいればどうなっていたか、
などとは言ってもせん無いことかもしれませんが、
多くの野球ファンは韓国戦を見終わって
そう思ったはずです。
西村記者の記事もそう読めます。
ひょっとすると、松坂投手の気持ちの中にも
そうした思いがあったかもしれませんね。
これは勿論私個人の推測ですけど。
しかし、鈴木捕手は彼なりに懸命にやったわけで、
それを責めるのは間違いというものでしょう。

間違いというならば、アジア大会では古田捕手を
日本代表として出しておきながら、
本番のオリンピックには出さなかった、
セ・リーグの一部オーナー達、
それにヤクルトの幹部さん達でしょう。
せめてもの慰めは松坂投手はこの五輪大会で
25奪三振でトップになったことでしょう。

それから、今日のスポニチによれば
昨日の日本戦で勝利投手になった
韓国の左腕投手、具台晟(31)の
来季、阪神タイガース入りが濃厚だと伝えている。
具投手は今季海外移籍のFA権を獲得したのだそうだ。
うーん、これは阪神ファンには朗報ですよ!!!

ではここで今日は……、
また明日……。

2000-09-29-FRI

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