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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第201回

ほぼ日編集部様

7月29日(土)のニュースから

「死刑判決即控訴 オウム早川被告」

スポニチの社会面に
28日の裁判の記事がトップで出ている。
この本記は、死刑判決が出てすぐに控訴したことを捉えて、
「涙の謝罪はポーズだったのか」
という趣旨の記事になっている。
記事中の見出しも
「瞬間うっすら笑み
 遺族憤慨『罪の重み感じてほしい』」

となっている。

この記事の中で私が注目したのは
記事の最後に付けてある識者のコメント。
江川紹子さんと佐木隆三さんの二人の
判決に対する感想が載っている。
江川さんはこう言っている。

「坂本弁護士の事件では、なぜ坂本弁護士が
 ターゲットになったのか、なぜ解決まで
 時間がかかったのか、二つの疑問が解けない。
 前者は村井秀夫元幹部が殺されて分らずじまい。
 検察側が動機について一応指摘しているが、
 私自身疑っている部分がある。後者は事件当時、
 神奈川県警刑事部長だった古賀光彦さんが
 きちんと反省して事情を話してくれない限り
 真相が明かされない」

私は江川さんが指摘する後者の疑問に関心を持ちました。
坂本弁護士一家の行方不明事件が起きたとき、
この古賀光彦刑事部長が神奈川県警で
捜査の指揮をとっていたんですが、
彼は坂本家の部屋にオウムのバッジが落ちていたことや、
それまでのオウムと坂本弁護士とのやりとりから、
犯人はオウムに違いないと
強く主張していた江川さんらに対し、
「オウムではない」とオウム犯人説を否定したんです。

そして、過激派説、また、弁護士のトラブル説に
捜査の方向を逸らした張本人なわけです。
あのとき、神奈川県警がオウムをもっと
徹底的に捜査していれば、その後の松本サリン事件、
地下鉄サリン事件、仮谷さん事件などは防げたはずで、
多くの人命は失われずにすんだはずなんですね。
そういう意味で、この時の神奈川県警の
捜査指揮官の責任は重大なんです。
江川さんが指摘しているのはそういうことなんでしょう。

あの時、この古賀光彦というキャリアーの警察官僚が
何を言い、何をしたか、もう一度検証して見るのは
大事なことなんでしょう。
この古賀さん、そういう、いわば大失敗の過去を
持っているにも関わらず、ちゃんと出世して
今は確か福岡県警本部長だったかな?
まだまだ偉くなり、ひょっとすると
警視長官か警察庁長官にもなるかもしれません。

古賀さん、時間が経って
もう逃げおおせたと思っているかもしれませんが、
江川さんのように当時事件に関わっていた人は
決して忘れていないんですよ。
そのことをお忘れなく!


また森さんの話で申し訳ないんだけど、
テレビのニュースで見ていて
やっぱりおかしかったんでその話。
スポニチが取り上げている。

「所信表明演説では “珍言” ミレアニム」

28日に開かれた臨時国会の衆院本会議で
森首相が所信表明演説をしたが、
その中で「ミレニアム」というところを
「ミレアニム」と何回も間違え、
さらに「静脈型(じょうみゃくがた)産業」と言うべきを
「せいみゃくがた」と発音する始末。   
本会議の壇上であがっていたかもしれないが、
これはお粗末。
知性を疑われても仕方がない。

何故そうなるかははっきりしている。
この演説の文章自体が森さんのものではないからだ。
もちろん政治家にはスピーチライターが
ついているものではあるけれど、
実際スピーチをするときには、
自分のものにして話すのが普通だ。

沖縄の「平和の礎」の場でクリントン大統領は
流れる汗を拭きもせず、スピーチをした。
なかなかの名スピーチだった。
後に朝日の船橋洋一記者がコラムで書いていたが、
クリントン大統領は沖縄へ来る飛行機の中で
なんべんもスピーチを練習していたそうだ。
また一部分は自分で文章に手も入れたそうだ。
これが政治家のスピーチに対するほんとの姿勢だろう。

ミレニアムも静脈もちゃんと読めないということは
役人が書いた原稿を本会議の前に
ちゃんと下読みもしていないということでしょうね。
国民をなめてますねえ。
よくこれで首相が務まりますね、日本って、いい国だねえ、
とクリントンさんが言ってましたよ、
というのは冗談だけど、この話、
クリントンさんやブレアーさんが知ったら、
そういう感想を漏らすかもしれないなあ。

さあ、これから放送本番なので準備、
モリ(森)らないように私も気をつけなくっちゃ。
ではまた明日……。

2000-07-30-SUN

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