バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


2 5 5

「フランスの産婦人科は
 日本と真逆!?」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2 5 5
「フランスの産婦人科は
 日本と真逆!?」

バブー

今日は、ボクの新しい家族が
まだまりこちゃんのお腹にいる時の話だよ!

とのまりこ
我が家のベイビー大仏くん
(と、お腹の中にいるときみんなに呼ばれていた)
の妊娠中、なんども通った病院。

フランスは、日本に比べたら
男の育児参加度がとてつもなく高いというのは
すでに気づいていたけれど。
病院の待合室の妊婦さん。
毎回少なくとも半分。
多いときは9割がたパートナー
(結婚しないカップルも多いから
旦那さんではなく「パートナー」)
が同伴しているのが当たり前でした。

バブー
ボクは残念ながら「動物禁止」区域につき
毎回お留守番だったんだけどね。

1人で来てる妊婦さんは
すごく少なかったんだって。

とのまりこ
日本と行ったり来たりの生活なので、
妊娠中、フランスの病院はもちろん、
日本の病院にも何度も通ったけれど、
まずもっての最大の違いがこれでした。

日本でももちろん
旦那様と一緒のカップルも何組かは
目撃したけれど、
(ちなみにその場合、かなり若くて
ラブラブそうな新鮮なカップルばかり)
フランスの待合室には
男子禁制(?!)的な
産婦人科独特の空気、一切なしっ、
ってくらい普通に「オトコ」がたくさんいます。

一緒に行くのが割と当たり前なので、
むしろ1人きりで診察にいくと
「今日は旦那さんは一緒じゃないの?」
「あなた1人なの?」
みたいなことを毎回聞かれました。

というわけで、
パートナーも一緒に
診察室に入るわけなのですが、
この診察室が日本の病院に慣れていると
けっこうまた衝撃的で‥‥。

着替えスペースとか仕切りとかが
一切ないんです。
机も椅子も診察台も、
同じ部屋にあるという広々仕切りなし空間。

日本だと、あの足をガ〜ッと開く
産婦人科独特の診察台に乗る前に、
小さな小部屋みたいなところがあって、
洋服をそこで脱いで、
(むしろ他の人が開けないように
鍵を閉めてくださいね、なんて注意されて)
そのまま無人の小部屋で診察台に乗ると
お腹のところのカーテンで
上半身・下半身が分断され、
先生と目が合うこともない‥‥。
カーテン越しに会話や指示をされて、
終わったらまた小部屋で着替えてから
別室で何もなかったかのように先生と面談。

産婦人科の診察って、
だいたいそんなパターンですよね。

バブー
ボクたち男性諸君は
日本だと入る機会がないところ。
どんな感じかわかるかな‥‥??

ところがおフランスじゃ、
仕切りもないすっきりお部屋空間に
男性諸君も一緒に入って
診察中ず〜っと一緒なんだってさ。

前にも書いたけど、
普通のアパートの一室が
クリニックになっていることが
とても多いフランス。
「仕切り」どころか、
普通に窓も全開だったりして、
美しいパリの並木道が外に見えたり
「ひょえ〜。
 誰かのぞいてたらどうするのだ!」
って状態らしいよ。

とのまりこ
「はい、じゃあパンツとズボン脱いで。」
と先生に指示されて。

えっ、どこで??
えっ、ここで??
旦那の前で??

っていう状態。
最初は『パンツ』というフランス語を
間違えて覚えてるのか、という方を
疑ってみたくらいな驚きでしたが。

(ちなみに、フランス語で下着のパンツは
「culotte キュロット」で、
いわゆるズボンは
「pantalon パンタロン」。
だから最初はこの「キュロット」という
ことばでも惑わされました。
パンツまで脱いでしまっていいんだろうか?
キュロットってスカートやん? と)

もう何回もこのおフランス式を経験して
「おっぴろげ〜なおっぱっぴ〜。」
とやたら心のテンションをあげ、
いまでは、ほぼほぼ慣れました。

いやむしろ、
変にカーテンで隠して
目と目が合わない先生と会話する方が
おかしいんじゃないかと思い始めました。
そっちの方が恥ずかしいって。

『脱いだパンツとズボンを置くカゴ』
なんていうご親切な物ももちろんなく、
「えっと‥‥場所ないから
旦那に手渡しするしかないよね‥‥」
的な、もう何もかもが
日本じゃありえん状態でしたが。
全部ほぼほぼ慣れました(笑)。


▲診察台には、患者ごとにびろ〜んとキッチンペーパーみたいのを伸ばして、敷く。

お腹にジェルを塗って診察する
エコーなんかもこの同じ場所で
するわけなのですが、
お腹のジェルは空っぽに近いのを
ブルンブルン振り回して
なくなってきたケチャップのように
噴射して、
洋服まで飛び散るなんて
『よくあるある!』
でしたし、診察が終われば
ジェル拭き取り用の
キッチンペーパー的なもの
(床とかに置いてあるし‥‥)を
ビリっと破いて
お腹の上にポンと投げてくれて
勝手におふき〜なんて
『毎回あるある!』
でしたし。


▲お腹用ジェルは床に転がってる。気にしないよね‥‥。


▲お腹を拭く用のペーパーは遠くに床置き(!)してあるやつを
 これまた乱暴にカットしてお腹にポンと投げてくれる。

一緒に診察室にいるうちの旦那さまも、
「あ、あ、荒い‥‥。」
と毎回驚いてましたが、
むしろ2人で大爆笑。
これくらいの方がよっぽど
リラックスして、気にせんでいいわ。
と最終的に思うようになったのでした。

先生たちは大抵いい人達で
なんでも気にせず話せて
外国人で不安だらけの私たちにも
とてもフレンドリーに接してくれるし、
笑いの多い楽しい妊娠期間なのでした。

バブー
パリは先週から猛暑(パリにしては)。
30度前後の日が続いていて、
クーラーがないパリで
扇風機がフル回転しているよ!
ボクはべべちゃんと涼しいところで
お昼寝してるんだ。

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

 

2017-05-30-TUE


まえへ
トップへ
つぎへ
illustration:Jérôme Cointre