バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「バイリンガルの子供たちの
 日本語の使い方あるある!?」

 
     

バブー

ちびっこ好きなボクとまりこちゃん。
フランスで暮らす小さなお友達たちが
たくさんいるんだけど、
まりこちゃんが日本人なので
当然その子供たちは、日仏ハーフの子供や、
完全にフランスの教育で育っているけど
日本人両親の子供、というのが多いんだよね。

とのまりこ

そんな子供たちは、
たどたどしく話し始める時から
フランス語と日本語の2ヶ国語を操る
バイリンガル。

大人になってから
あんなに苦労する外国語を
最初っから身につけているなんて!
とうらやましいことこのうえない環境だけど。
フランスの学校で教育を受ける彼らにとって
やっぱり日本語は、外国語。

そんなわけで、今日は
フランス語の脳の中で日本語考えているのかな〜
って思ってしまう、ハーフちゃん達の

「ちょっぴり何かが違う日本語あるある」。

バブー
例えばね、
いつもボクと遊んでくれるちびっこ達。
100発100中、
「バブーくんのおうち」が
「おうちのバブーくん」
になっちゃうんだ。

「これね、おうちのバブーくんだよ。」
「まりこ〜!
 おうちのバブーくんはどこなの??」

って具合にね。

これはね、フランス語だと
「la maison de Baboo」って
「家 of バブー」みたいな順序になるから
このまま直訳されて
反対になっちゃうみたいなんだよね。

とのまりこ
あとは人に呼ばれた時にフランス語でよく言う
「Je viens!」(ジュヴィアン!)
「J’arrive!」(ジャリーブ!)
という言葉。

これ、直訳すると
「私が来る」「私が着く」。

日本語で人に呼ばれたとしたら
「いま行くよ!」ではなく
「いま来るよ!」「いま着く!」
なんて言ってしまうことになるんです。

そしてもうひとつ、
「人を迎えにいく」という時に使うのは
「aller chercher 誰々(=行く+さがす+誰々)」。
だからこれも、日本語で言おうとすると
このまま訳されて
「バブー君をさがしに行くよ。」
ってなってしまったり。

彼らの中では「さがす」という意味ではなくて
「迎えに行く」という意味なのだけど。
お迎えの話になると必ず登場する
「さがしに行く」というちょっぴり変な日本語。

バブー
他にもね、
「あげる」「くれる」「もらう」の言葉の違いとかは
彼らにとってとってもややこしいみたい。

誰かに何かをあげたりもらったりするとき、
フランス語ではよく「donner」(与える)という
言葉を使うんだ。

もしまりこちゃんがちびっ子たちに
日本のおみやげをあげたとしたら

「Mariko m’a donné ◯◯?.」
=「まりこが私に◯◯を与えた」

という表現の仕方をよく使うってことなんだ。

とのまりこ
だからやっぱりこのフランス語の感じのまま
日本語に変換されて、
「そのお菓子どうしたの??」
なんて誰かに聞かれると
「まりこちゃんのあげたよ。」
のように「???」とハテナのついてしまう
不思議な答えになりがちなのです。

「まりこちゃんのくれたお菓子」
「まりこちゃんにもらったお菓子」
「まりこちゃんが私にあげたお菓子」

みたいのがフランス語と合わさって
ごっちゃになった感じです。

それにしても、この微笑ましい間違いたち。
以前からの観察によると、
日本語がたどたどしいハーフちゃん達が
ほぼ100%お揃いで間違える「あるある」なのです。

ちびっ子の脳の中ではちゃんと
フランス語がそのまま、日本語に翻訳されて
発言しようとしているんだなあ‥‥。
と、いつも脳の不思議な世界に驚いています。

バブー
ちなみにね、
このちょっぴり変な日本語あるあるは
子供たちだけじゃなくて、
日本語を話せるフランス人の大人たちにも起こる現象。

「すぐ来るよ〜。」とか
「これから子供を学校にさがしに行く。」
というような会話、しょっちゅう耳にするんだ。
もし日本語の話せるフランス人と
接する機会があったら、ちょっと観察してみてね。
外国語ってなんて難しいんだろう!

 


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2015-11-10-TUE


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