菊地美世志さん(プロデューサー)
今回はみなさんに「MVP」をお聞きしました。
プロデューサーとして黙って現場を見守り、
スタッフを気遣って声をかけてくれた、
現場の「オトン」が選んだMVPとは!?
藤田充彦さん(製作渉外)
松岡錠司監督と作曲家・上田禎さんとの間を
橋渡しされていた藤田さん。
本動画でも使われている名曲誕生の裏には
こんなMVPがいたんですね!
古屋幸一さん(撮影助手)
現場で1、2を争う肉体美を誇る古屋さん。
毎日毎日重い撮影機材を担ぎ、
陽に焼け、盛り上がった上腕二頭筋。
そんな古屋さんは2名のMVPを選出。
野尻克己さん(演技事務)
キャストと現場を繋ぐパイプ役。
中でも「オカン」役の樹木希林さんには、
ほとんど付きっきりだったようです。
そんな野尻さんのMVPは、もちろんこの人。
オダギリジョーさん(主演)
待ってました! 主人公「ボク」をつとめた
オダギリジョーさんの登場です!
取材ラッシュの最後に撮影に臨んでくれました。
映画の主役が選んだMVPは、いったい誰!?




リリーさんのマネージャーとして『東京タワー』を見続け、
物語のなかにも登場する、BJさん。
映画版ではプロデューサーとしても関わった「いちばんの目撃者」に、
他では聞けない、映画製作のこぼれ話をうかがってきました。
なお、聞き手の「ほぼ日」西本が妙になれなれしいのは、
ふたりが草野球チーム「ヤングジャイアンツ」の
チームメイト同士だからです。あらかじめ、ご了承下さい!





西本 映画でいうところの、
中目黒の一軒家で
『東京タワー』を執筆してたんですよね?
BJ そうです。
最終回を書く前には、あの一軒家から引っ越して、
自宅と仕事場を分けてましたから、
最終回だけは、自分の家で一人で書きました。
いつもはだいたい、編集の方やボクたちが
別の部屋で待ってたりする状況で
執筆してたんですけど、
最終回のときだけは、一人で書きたい、と。
それで、最後の最後、
原稿用紙でいうと最後の20枚弱ぐらいで
書けなくなってしまったみたいで。
締切はとうに過ぎていたんですが、
そこからまた何日か過ぎてしまい‥‥。
西本 終わりのほうの、
独白していくシーンですね。
BJ もういよいよ締切ギリギリのとき、
僕は、リリーがよく通っている
イタリア料理屋さんで深夜、待機してたんです。
西本 ああ、なじみのお店ですよね。
BJ 明け方になって、
シェフが特製おにぎりをつくってくれて。
「リリー、おなか空いてるだろ?」って
リリーに電話したら、
普段まず電話が繋がらないんですけど、
そのときは繋がって、
「ああ、助かるなあ」って。
その足でおにぎりを持って
原稿を書いている部屋に行ったんです。
西本 ああ、あの海の見える。
BJ 窓ガラスの向こう側の海から、
だんだん朝陽が昇ってきて、
太陽が昇っていくのを見ながら、
ふたりでおにぎりを黙って食べて、
じゃあもう書くから、って、
なんか、そういう感じになったので、
ボクは帰りました。

もうマズいですよとか、
締め切りがどうのこうのって
そんなこと、言いたくない空気でした。
西本 野暮なことは。
BJ そう、だから
よろしくお願いしますとだけ言って帰りました。
そのあとですね、
残りを一気に書き上げたのは。

その日のお昼ぐらいには、
原稿が全部、届いていましたから。

‥‥でも、いつもはすごく達筆で、
字のきれいな人なんだけど、
最後の10枚ぐらいはね。
字も崩れてたし、
インクで原稿用紙が汚れていて‥‥。
西本 ああ、泣きながら‥‥。
BJ もう泣きながら一気に書いてるその姿が
原稿用紙から伝わってきました。
西本 その原稿、まだあるんですか?
BJ あります。
オカンの仏壇のところに。
西本 リリーさんは、これを書き上げて、
読み返してみてどうなんですかね。
BJ 本が完成してから、
一度もこの本を開いてないと思います。
全国30カ所以上まわったサイン会では、
3000冊強の本を開いていますが、
サインするためだけの目的なので
表紙しか開いてませんし。
西本 はぁ、読んでないんですか。
じゃ、連載されていたときと
単行本になったときとで、
内容が変わったとこもなく‥‥。
BJ はじめは
手を加えるつもりでいたようですが、
最終的には手を加えてないです。
西本 それは、読めなかったから?
BJ もちろんそれもあるでしょう。
でも、季刊誌での連載でしたから、
その季節季節で、きちんと向き合えて
書けていたと思うんです。
だから、読み返してしまうと、
きりがないというか、
素直に綴っていったことを
大切にしたんだと思います。
西本 ああ‥‥なるほど。
BJ 文章を書いて、絵を描いて、
写真を撮って、装丁もして。
西本 扉の題字を書いたのはお父さん。
つまり「オトン」ですよね。
BJ 本が完成したときに、
いままで自分がしてきたことをやり、
題字は父親に書いてもらって‥‥、
はじめて、親子3人でなにかを作った、
という意識があると言ってました。
だから、今までやってきたことをすべて、
この本のなかに
詰め込みたかったと言ってました。
西本 ああ‥‥。
BJ 単行本のカバーに使用した紙も、
洋菓子の包装紙みたいな、少し高級な感じがして、
おばあちゃんとかが
捨てられずに大事にとっておくような、
そんなイメージの紙を選んだりして。

とにかく、自分にとって大切な本だから、
大切にしてもらえるような本にしたいって。
西本 ‥‥。

<つづきます>


2007-04-09-MON


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