東京の子。オードリー若林さんからみた「東京」 東京特集
第三回 東京の「中」と「外」。
若林
東京出身の人は意外と地味、
という話を聞きませんか?
──
ああ、どうなんでしょう。
若林
東京出身の人は、
そこの街で育っていないかぎり、
六本木とか表参道には
あまり行かないと思います。
東京出身なのに意外と、
都内の有名なお店を知らない人は
多いと思いますよ。

逆に、東京のお店をいっぱい知ろうとするのは、
地方出身の方が多いと思うんです。
長野県出身の、
オリエンタルラジオの藤森くんみたいな(笑)。
──
そうなんですか(笑)。
若林
六本木とか表参道って
記号的な街なんです。

ルックスとかステータスとか、
お金持ちかどうかとか。
いろんなところからやってきた人が
勝手に戦いながらつくった街だから、
常に比べ合っているような気がして。

仕事だけの関係とか競争ばっかりで、
人間らしさや生活感が、
排除された街にみえるんです。
記号的なものが溢れているような。
あくまでも個人的な印象ですけど。
──
なるほど。
若林
記号的な街で戦っている人はだいたい、
恵比寿とか目黒とか
家賃が高いところに住みませんか?
どうして無理して住むんだろうって、
ちょっと小馬鹿にしながら
地元の友だちと話すとたのしいんですよ。
僕は嫌味なやつなので(笑)。
──
記号的な街への嫌悪感が
すごくあるんですね(笑)。
若林
そうですね。
そう思うと、僕の東京のイメージは
築地から湊町、入船から深川、
門前仲町からスカイツリー、
浅草へとぬけていく下町エリアですね。
よく遊んでいましたし、
あそこが、僕にとっての「東京」です。
──
それ以外の地域は、若林さんにとって
「東京」ではないんですか?
若林
僕にとってはそうですね。
逆に港区や渋谷区で生まれ育った人にとっては、
そこが「東京」になるんだと思います。
──
それぞれの地元、ということですね。
若林
そうですね。

あの、話していて思いましたけど、
いつの間にか自分の中で
東京を「中」と「外」でわけていますね。
自分の育った下町や荻窪などは「外」で、
港区や渋谷区など山手線沿いは「中」。
──
へえ。
「中」と「外」ですか。
若林
「中」も「外」も東京なんですけど、
文化もいる人も全然違うんです。
僕にとっての東京は「外」の方で、
育った場所ですし、
人情があるというか‥‥。
「外」の東京は好きですね。
(つづきます。)
2017-07-22-SAT