徳光 糸井さんは、すごいね。
本当に、糸井さんこそ
人生を楽しんで生きてますね。
糸井 「こそ」って言われても(笑)。
徳光 すごいところに発想が行くということ、
それはやっぱり、人生の楽しみ方が
そうさせてるんでしょう。
他の人ではなかなか着眼点が
行かないところに行くトレーニングを
これまで積み重ねてきたわけじゃないですか。
糸井 うーん・・・・。
徳光 自分があることを思いついたとして、
もしかしてこれを「糸井重里」に話せば、
「あ、おもしろい」
と言うかもしれない。
けれども糸井さんは、
「おもしろい」と言いながらも
そんなことは知ってて、
もうひとつ違うことを
思いついてるという
悔しさというのがあると思うんですよ。
一同 (笑)
徳光 おそらく「ほぼ日」のみなさんも
そういったところが
あるんじゃないかな?
「なんでこのじいさんに負けるだろう」
と思ってるでしょう。
一同 (うなずく)
徳光 ね?
だけどさ、
それでもかなわないだろう?
その発想、着眼点については、
糸井さんは糸井さんなりに、
さっきの五木ひろしの話ではないけれども、
立ち止まってないんだと思います。
糸井 たしかに、立ち止まってはないですね。
徳光 何かしら自分の中で、
常にトレーニングを積んでるんです。
だから、容易には追いつけないですよ。
しかもそれは、単に「商売」だと思って
積んでるトレーニングじゃないんだよなぁ。
糸井 ‥‥それはやっぱり
「打席」ですね。
徳光 あ、「打席」ですか。
糸井 徳光さんの
「電車に乗ってもアナウンスはできる」
というのと同じです。
人んちでご飯食べてても、
「このメニュー、なんか工夫できないかな」
と考える。それが「打席」です。
徳光 なるほど、そうか。
自分で打席をどんどん作ってるわけだ。
糸井 だから、どこでどうなっても
特にかまわないんです。
徳光さんも、
「どこに転んでもいい」
って思ってますよね。
徳光 そうですね、それは、
本当にそう思ってます。
糸井 たぶん日常でも同じなんでしょう。
「何と何をどう遊ぶか」なんていう話よりも、
徳光さんは、そのときの、
バランスボールの上にいるような‥‥。
徳光 (笑)そう言ってくれれば、
うちのかみさん、喜びますよ。
糸井 奥さま、バランスボールがお好きなんですか?
徳光 いえ、そうじゃなくて(笑)。
うちのかみさんはいちばん、
「そういう男だ」というふうに言います、きっと。
糸井 そうでしょうね、
見てる人は見てるでしょう。
やっぱりそのあたりのことは、
奥さんはわかりますね。
徳光 いちばん近くにいる人間が
いちばん見てますからね。
顔そのものなんか、
円満そうに見える
じゃないですか、私はね。
糸井 はいはい(笑)。
徳光 実際に円満でなくはないんですけれども、
それほど円満でもないわけですよ。
やっぱり人並みに、
嫁姑問題で苦労したりとかするわけです。
糸井 ええ。
徳光 しかし、考えることはそのくらいで、
あとはもう本当にフワフワ、
いつも遊泳人生ですよ。
‥‥このお茶、うまいね。
どなたが淹れたお茶ですか?
糸井 淹れ方がうまいという社員は
いないと思います。
お茶の葉っぱのせいじゃないの?
ん? あ、「簡さんのお茶」ですか。
鉄観音ですね。
徳光 ジャスミンティーじゃなくて?
「ほぼ日」は
そういう商売もしてらっしゃるの?
糸井 この場合は、
うちでお手伝いをしてる、というほうが
合ってるかなぁ。
徳光 帰って、かみさんに、
このお茶の話をしようと思います。
よかった。話題が見つかりました。
お宅は、会話あるんですか、家庭では?
糸井 どうだろう、あのぅ‥‥。
徳光 あるんだろうな、
糸井さんのところはな。
糸井 あるのかないのか、
どう思われてるのかもわかりませんけども、
徳光さんみたいに、
こんなにしゃべらせてはくれませんよ。
徳光 そうですか(笑)。
糸井 やっぱり会話って、相槌ですから。
やめたいと思ったほうが
黙ればいいだけのことです。
ふつうの顔して「そうね」と言って
おしまいにすればいいんです。
一同 (笑)
糸井 やっぱり、女帝のご機嫌がすべてですね。
徳光 それはそのとおりです。
糸井 よくわかるなぁ。
徳光 結婚した当時とは違いますよね。
「まだ寝てる 帰ってみれば 
 もう寝てる」

ですよ。
一同 (拍手)
徳光 女房のほうだって、
やっぱり川柳で返しましてですね、
「初デート あの日に戻って 
 断りたい」

という感じでね。
糸井 すばらしいですね(笑)。
徳光 そんなことがありながら、
やっぱりお互いにどこかしら頼り合ったり、
「あぁ、いい友達になれたな」
というようなことがあります。
健康でいられて幸せだ、と
思うようなことが、
やっぱり人生、最高じゃないかな、と
思うときがあります。

まぁ、年齢を重ねたから
そう思うのかもしれません。
ですから、変な話ですけれども、
会話がなくてもね、いいんです。
お互いにふと「健康だな」と
思うときが、至福のときです。

糸井さんはまだ若々しいし、
「健康で」というところまでいくには
もう少し間があるんだろうなぁ。
糸井 ぼくもつねに「下に下に」
出て行く人間です。
徳光 それは、家でのことでしょう?
糸井 家でもどこでもですよ。
徳光 ナンパするときも
下手で出るんですか?
糸井 ナンパは、
実はあまりしてないんですよ。
徳光 ‥‥ね、
これが誤解だよね。
糸井 はい。
徳光 糸井さんって、なんか
「名人」みたいに見えるから。
一同 (笑)
糸井 それは、間違いですよ。
徳光 そうなんだと思うな、俺。
今日話しててわかった。
糸井 やっぱり全部、違いますよ、それは。
ナンパしたふりをするような
遊び方をしたことはあります。
だけど、本当にはしませんよね。
徳光 うん、わかる。
本当にナンパしない理由は、
照れちゃうからですか?
糸井 必然性がないんですよ。
徳光 はぁ。そうだよなぁ。
糸井 男女のおもしろい部分や
人と話しててどういうことが起こる、というのは
だいたい想像ができる範囲のことです。
だから、そういうことは、
「間違い」以外はないです。
徳光 はぁ、「間違い」以外は(笑)!
糸井 ‥‥あ、また逆だ、
インタビューされちゃってる。
徳光 (苦しそうに笑いながら)
そんなこと言ったら、
どういう間違いか聞きたくなるじゃないですか。
一同 (笑)
徳光 「間違い」なんですか?
「過ち」なんですか?
糸井 すごい。
技って、こうかけるんだ!
‥‥それは「間違い」です。
「過ち」ではありません。
(つづきます)

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2010-12-28-TUE