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ほぼ日事件簿・こんなことでした

オレが解説するライブドア騒動

みなさん、こんにちは。
ほぼ日刊イトイ新聞の永田です。

とりあえず、こちらをお読みください。
去る2月25日、「今日のダーリン」で
糸井重里はつぎのように書きました。

いま、日本中の男たちが、
ヨメや、母や、祖母や、恋人や、ムスメや、後輩や、
生徒や、近所のお店の人やらに向けて、
「オレが解説するライブドア騒動」を語っていると思う。
なぜか、こういう話題というのは、
男たちを「男なら説明できないとイカンだろう」
というような
「知的マッチョ気分」にさせてしまうらしい。
女たちは、このことについて「よくわかんない」と、
平気で言っていられるのだけれど、
男たちは「わしにはわからん」とは言えないみたいだ。
でも、たぶん、これ、
『声に出して読めない日本語』じゃないけど、
得意げな解説のなかに、あやふやとかでたらめとかも、
何食わぬ顔して混ぜてると思うんだよねぇ。
きっと今日も、全国北から南から、津々浦々で、
「オレが解説するライブドア騒動」が語られてますよ。
(ま、これも「オレが解説するニッポン放送騒動」が
 正しい言い方だと思うんですけどねー)。
もし、気持ちに余裕があって、
この問題について400文字以内で語れるぞ、
という方がいらっしゃったら、
メールで教えてくださいな。
日本中の見えっ張りの男が、助かると思います。

経過をゆるゆるご説明いたしますと、
この前日、糸井を交えた「ほぼ日」の男子部は、
それこそ全国の津々浦々で見られた光景と同じく、
「ライブドア問題」について
ようするに、ありゃあ、こういうことだよね、
ってなことを話していたのです。

ふだんは野球やお笑いやテレビについて
話しているような自分たちが、めずらしく
「時価総額」や「TOB」や「企業価値」といった
経済の用語を交えて語っていることが、
なんだかひじょうにおもしろかったのです。
ふだんはそんなことばがあったことすら
意識してなかったくせに、
目の前に実例ができると
唐突に知的好奇心がわいてきてしまう。

で、そのうちに、こんな話が出ました。
「ライブドア問題の実例を通して
 経済の基礎を学ぶようなコンテンツがあったら
 意外に役立つんじゃない?」

じゃあちょっと募集してみようか、
ということで男子部部長、糸井が書いたのが
上のコラムだったのです。

それを受けて、たくさんのメールが届きました。
届いた、のですが、そこに込められた熱量が、
ぼくらの予想を超えたものでした。
「ようするにこういうことですよ」という解説ではなく、
「オレはこう思うんス!」
「あたしはこうだと考えますわ!」といった、
たいへんパワフルなメールが大半でした。
もちろん、それはそれで、とても興味深く読みました。
どうもありがとうございます。

まあ、あつかった題材が、ちょっと生々しすぎるというか、
客観的にとらえて解説するには、
温度がありすぎたというところなのでしょう。
そんなわけで、このテーマでのコンテンツ展開は
見送りとなったわけですが、
またなにかあったら、
同じかたちでやってみたいなと思っています。
ややこしいニュースをみんなでわかりやすく噛み砕く、
「ほぼ日400文字ニュース!」
みたいなのができるといいかな、と思うんですが。

さて、おしまいに、みなさんから寄せられた
「ライブドア解説」のなかで、
ひじょうにわかりやすかったものを5つ掲載します。
メールをくださったみなさま、
どうもありがとうございました!

=
この騒動はフジテレビが公開買い付け(TOB)制度を使って
ニッポン放送の株式を取得しようとした事から始まります。
そこへライブドアが別の手段で株を買い始めたのです。
困ったニッポン放送とフジテレビは
新株予約権発行という手段に出ました。
これにより株券全体の量を増やし
ライブドアの株式保有率を下げ
経営権の取得を阻止する事が出来て、
フジテレビは発行後の株式保有率で
筆頭株主となる事が出来ます。
ライブドアの時間外取引は商法で決められていて
法律違反ではないのですが買収の方法に
ニッポン放送側や政財界は
「道徳的倫理的にいかがなものか?」
と意見が上がったのです。
またニッポン放送の新株予約権発行というのは
正当な理由がない限り認められない方法で
商法違反の可能性のある手段です。
法律違反じゃないしお金あるからイイじゃんという孫と
法律云々の前に通すべき道理とか仁義があるだろと言って
法律的にかなり疑問な行動に出たおじいちゃんの騒動だと
私は思うのです。
(Harada)


=
今フジテレビはニッポン放送の傘下だけどそれだと
規模の小さい会社の下に大きい会社があることになって
経営的に不安なんですよ。
だからニッポン放送を子会社にしたいので
TOB(簡単に言えば株を定額で買う)
ということを始めたのです。するとライブドアが
リーマン(米の証券会社)から資金を借りて
ニッポン放送株の大量購入を始めて
子会社化すると言い出したのです。
ライブドアの子会社になると価値が下がると言い
フジテレビとニッポン放送は
23日にポイズンピルを発表したのです。
(ポイズンピルは欧米で有名なM&A回避方法ですが
 実際は買収される時の金額交渉で使われるだけです)
するとライブドアは
東京地裁に仮処分申請を申し立てたのです。
フジテレビには得策ですが一般株主にとっては
「新株予約権発行により株式数が増えることで
 1株当たりの価値が減り、一般の株主が犠牲になる」
と主張したのです。
この事例は今後も影響する大きなものになるでしょう。
(橋本)


=
ニッポン放送を、フジテレビとライブドアの
どっちが買い取るかのけんか。
けんかの主役はフジの日枝会長とライブドア堀江社長。
【フジの強み】
・ニッポン放送が親である。
 フジテレビはその子供。昔から仲良し。
【フジの弱み】
・親であるニッポン放送の、さらに親になろうとして
 皆の前で出した額が安かった。
・ライブドアに高くされたニッポン放送の株を、
 安くするために取った方法が、
 法律違反になるかも知れない。
【ライブドアの強み】
・お金の出し方が全く違法ではない。
 安くなりそうな株を高く買っただけ。
【ライブドアの弱み】
・ニッポン放送を買うために借金をしている。
(premier)


=
ライブドアはニッポン放送株取得のために
外資系のリーマンブラズから資金の提供を受けています。
このことが、ライブドアが買収に成功したときに
間接的に海外の企業が日本の放送局を
支配するのではないかという
危険性があるということです。
もし、敵対する国の企業が放送局を支配した場合
プロパガンタに利用され
国内が混乱する恐れがあるそうです。
ニッポン放送側もライブドアが本当に悪意をもった
攻撃的な乗っ取り屋かどうか確かめもせず、
フジサンケイグループの面子を保つために
対抗手段としてフジテレビに新株予約権を発行しました。
この防衛手段が、企業として危機管理が
うまく機能していないことを示すことになり
株主から見放される可能性があるとのことでした。
この2社の争いは法廷決着をつけることになりそうですが、
日本ではこのようなケースは初めてのもので、
おそらく最高裁まで持ち越されるのではという
見方がされています。
(栃木の田舎もの)


=
今回の問題、事の発端は
「ルールにはない手段による株式取得」なのです。
本人に知られることなく株を
他の株主から買い取っていき、突然
「私が筆頭株主になりました。
 なので私の子分になってください」
ということをやったわけです。
これについて賛否両論が噴出しており、
「悪いことじゃないけどやり方に問題がある」
という意見や
「こういうことも踏まえた上で
 防御力を高めない側が悪い」
という意見が内外から交錯しているのです。
当事者達は今回のことについて
「友好的に提携したいけど言うこと聞いて欲しいから」
「乗っ取りのようなことしておいて友好ってなによ」
と大反発、お互い臨戦態勢。
攻撃された側が、今度は
「そんなに強引に集めるなら、もっとたくさん株出して
 お前のとこの株の力薄めてやるー」
と言い出したため、
「そんなの許されるもんか!
 裁判所に言いつけるからな!」
と対抗手段に出たため、
ゴタゴタになっちゃったのが現時点です。
(noboru)

このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほぼ日事件簿を読んで」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2005-03-04-FRI

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