1101
ほぼ日事件簿・こんなことでした

どうなる事務所のレイアウト!
闇の中に浮かび上がった
痛快大掃除プロジェクトとは?!


さて、今回みなさまにお伝えしたいのは、
東京糸井重里事務所の大掃除に関することである。
つまり、これは大いに身内の話であって、
そんなものをわざわざ世間に知らしめるのは
どうかという向きもあるかとは思うが、
本来「ほぼ日」はなんでもかんでもコンテンツにする
おかしなおかしなウェブサイトであるし、
そういや最近、大きなイベント続きで、
こういうバカバカしいことやってなかったね
という気持ちもないではないので、
ひとつ、つけっぱなしの深夜番組でも観るように
だらだらゆるゆるとご覧いただきたい。
眠たくなったら寝ていただきたい。

申し遅れました。このたびゆえあって
この記事を担当させていただくこととなりました
ほぼ日刊イトイ新聞の永田と申します。
どちらさまもよろしくお願いいたします。
いえいえこちらこそよろしくお願いいたします。

話を戻すと、ほぼ日刊イトイ新聞を運営する
東京糸井重里事務所では、
このたび一念発起して事務所のレイアウト変更を
することになった。

そんでもって担当者が
うんうん頭を悩ませていたのだけれど、
あちらを立てればこちらが立たずという
レイアウト変更によくある状況に陥ってしまい、
こりゃ一度、みんなで集まって話し合うべな、
ということと決まった。

というわけで10月29日の午前11時30分、
乗組員ほぼ全員がうち合わせスペースに集合した。
つまり、それが昨日の午前中のことである。
現場で慌てて撮った写真がこれである。



ところが、ご覧のとおり、会議は煮詰まっていた。
みなでひとつの場所に集まろうと、
こちらを立てればあちらが立たない状況は変わらない。
否、むしろ拍車をかける。

あの棚には何が入っているのかとか、
そのコンピュータは修理するつもりがあるのかとか、
そもそも机の位置まで変える必要があるのかとか、
おまえとあの子が離れてちゃダメだろうとか、
いっそクジ引きだとか、
いやいやクジ引き以前の話をしているのだとか、
話はあちらへ向かったりそちらへ下ったりした。
せっかくつくったレイアウト用の模型も
まったく利用されないままである。



そこで口を開いたのがdarlingこと糸井社長である。
「もうさ、とにかくさ、捨てようや。
 総量を減らすことからすべてを始めようや」

お、なんだか知らないが、
とにかくわかりやすい話になってきたぞということで
一同は社長のつぎの言葉を待った。
しかしながら、社長は掃除の段取りなどといった
細かな決めごとに向くタイプではない。
思いがけず注目を集めた糸井社長は
しゃべりながら集中し、
当座の方針をつぎのように示した。
それは幾分乱暴ではあるが、
非常に明快なものだった。

「あのさ、学校とかの掃除でさ、
 机をガーーッと下げて、掃除して、
 もとに戻したりするじゃないか。
 ああいう乱暴なことをしないと
 始まらないと思うんだよ」

ふむふむとうなずく一同。

「だからもう、いったん、どこかにスペースを
 つくって、そこを海にするんだ」
 
「海?!」と驚く一同。
どうやら糸井社長、話すうちに、
テンションが妙な方向へ向かい出したようである。

「ああ、海だ!
 とにかくそこへ必要ないものを集めよう!
 どんどん捨てていこう!
 いや、海というより、そこは、つまり、
 ‥‥地獄だ!!」
 
一同 「地獄!!」

以上のやり取りは、まったくもってほんとうの話である。
ところでここの職場にはおかしい人が多いため、
「地獄」という言葉を聞いてみなは突然生き生きし始めた。

「つまり、あの棚にあるものは全部地獄行きですね」
「あのへんの箱もほとんど地獄だ!」
「地獄に捨てればいいのか。わかりやすい!」

活気を取り戻した乗組員たち。
しかし社長はそんな彼らをたしなめるように黙らせ、
いくつかの質問を投げたのだった。

「‥‥あそこに、長時間座っても疲れないという
 変な緑色のイスがあるだろう」
 


たしかにある、と答える一同。
社長は問いかける。

「あれは?」

一同「地獄!」

「じゃあ、あそこにワケのわからん
 頭部の模型がある。あれは?」



一同「地獄!」

会議というのはおもしろいもので、
ひとつの考え方にキャッチーな呼び名がついただけで
雰囲気はがらりと変わるのである。

じゃあ地獄スペースを確保しようとか、
地獄委員を決めるのはどうかとか、
地獄モニュメントをつくろうとか、
平素より地獄のプライオリティを高めるべきだとか、
わけのわからん話が真顔でやり取りされた。
東京糸井重里事務所、まがりなりにも
いい歳したオトナたちの集まりであります。

そんななか、ひとりの乗組員が、
社長に向かって疑問を投げかけた。
どうしてもこれだけは訊いておきたい、
といった雰囲気だった。

「ええと、地獄はわかったんですが、
 その反対となるもの、つまり、
 捨てないものに関しては、
 我々はどのように呼べばいいのでしょうか?」

なるほどこれはたしかに。
はしゃいでいた乗組員たちはしばし沈黙し、
社長のネーミングを待った。
天国? いや極楽?
めいめいにその答えをなんとなく予想しながら。
‥‥しかし、帰ってきた答えは予想外のものだった。

「‥‥‥‥アライブだ!」

がーーーん!
地獄・オア・アライブ!

このようにして、「ほぼ日」大掃除プロジェクト、
「地獄・オア・アライブ」が生まれた。
決行日は10月31日金曜日、
つまり明日である。

明日は終日、我々は口々に
「地獄・オア・アライブ」と叫びながら
オフィスに積まれた無駄なものを捨てていく。
なので、いただいたメールに対する反応が、
若干遅れてしまうかもしれません。
捨てる模様は金魚カメラがとらえると思って
間違いないでしょう。
また、早くもあちこちの備品に
「地獄シール」が貼られていることを
つけ加えておきます。



ひとあし早い大掃除! 乞うご期待! 
と、無意味にあおったところで、
つけっぱなしの深夜番組のような
このコンテンツを
終わらせていただきたいと思います。
捨てる様子がおもしろければ、
そのレポートを後編として
お届けすることがあるかもしれません。

それではまた。地獄!

後編へ→

このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ほぼ日事件簿を読んで」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2003-10-30-THU

TORIGOOE
戻る