「ほぼ日手帳2009
 方眼座談会」の模様を
お届けいたします。
2009.08.17
ほぼにちわ。です。

「ほぼ日手帳2010」の販売開始日も発表され、
ちゃくちゃくとその日が近づいております。
本日は、以前この手帳クラブで
参加者を募集いたしました
「ほぼ日手帳2009方眼座談会」の様子を
お届けいたします。

グラフィックデザイナー佐藤卓さんのご協力を得て
デザインの見直しを行った「ほぼ日手帳2009」。
1ページにより多くの文字を書けるようにと
方眼のサイズを4ミリから3.45ミリに変更しました。

しかし、そこに違和感を覚えた人も少なくありません。
ユーザーの方々の使い心地具合を確かめるべく行った
「ほぼ日手帳アンケート」でも
「ちょうどいい」という意見と
「ちょっと小さい」という意見が
均衡し合うという判断が難しい結果でした。
じゃあ「ほぼ日手帳2010」ではどうするか?
4ミリに戻すのか? それとも3.45のままか?

そこで、実際に使っているユーザーの方々の
生の声をお訊きしようということで
「ほぼ日手帳2009方眼座談会」を開催いたしました。

参加者は「ほぼ日」を見て応募してきてくれた
4人のユーザー、小林聖子さん渡辺裕子さん
永田ゆにこさん山口幸子さん
webサイト「All About(オールアバウト)」
ステーショナリーガイドの土橋正さん
そして、佐藤卓さん糸井重里
この7名が語り合いました。

私たちにとって、とても意味のある
濃い座談会になったと思います。

では、「ほぼ日手帳2009方眼座談会」を
お楽しみください。


●「ゆるさ」や「抜け」が必要?

ほぼ日 まずは本日の主役、
ほぼ日手帳ユーザーの4名の方々に
簡単な自己紹介をお願いします。
小林 国際協力関係の仕事をしております、
小林聖子と申します。
よろしくお願いします。
渡辺 イラストレーター兼主婦をしております
渡辺裕子と申します。
「ほぼ日手帳」歴は2009年で6冊目です。
永田 製作関係の仕事をやってます、
永田ゆにこと申します。
本日は尊敬している糸井さんや佐藤卓さんに
お会いできるのを楽しみにしておりました。
山口 糸井さんの出身地群馬県から来ました、
山口幸子と申します。
生活雑貨のお店のバイヤーをしております。
手帳のほうは4年まえから
使わせていただいてます。
ほぼ日 そして、今日は、文房具の専門家として、
webサイト「All About(オールアバウト)」の
ステーショナリーガイドを担当されている
土橋正さんにもお越しいただきました。
土橋 どうぞ、よろしくお願いします。
糸井 そして、糸井です。
よろしくお願いします。
佐藤 佐藤卓です。
よろしくお願いします。



ほぼ日 みなさん、よろしくお願いいたします。
お聞きおよびかと思いますが、
本日のテーマは、ほぼ日手帳の「方眼」です。
2009年版から、3.45ミリの大きさに
変更された「方眼」について
いろいろとうかがっていきたいと思います。
それでは、最初の質問ですが、
みなさんは、手帳のひとつひとつの方眼、マス目に、
1文字ずつ文字を書いてらっしゃるんですか?
永田 私はそうですね。
小林 マス目にキッチリ
文字を入れているわけではないんですが、
横の行といいますか、文字1行を、
1マスの高さに収めるように書いてます。
山口 わりとマス目は気にしないで書くほうだと思います。
ただ、私はカズンも併用して使っていて、
カズンと比べると、通常版に書くときは
チョコチョコ細かく書いてしまいますから、
やはりマス目に左右されているのかもしれません。



渡辺 私もわりとマス目に入れて書いてますね。
ほぼ日 2009年版が発売されてからだいぶ経過しましたが、
ずばり、3.45ミリの方眼はいかがでしょう?
渡辺 正直、まだ慣れません(笑)。
やはり、小さく感じてしまいます。
書くときにも違和感がありますが、
意外に、読むときもつらいんです。
なかなか目に入ってこないんですよ。



佐藤卓 なるほど。
去年までは大丈夫だったんですね。
渡辺 はい、そうなんです。
1行空けてみるという工夫もしてみたんですが、
そうすると、去年は1ページに収まった量が
入らなくなっちゃうんですよ。
ほぼ日 なるほど。
永田 私は、苦労して書き込んでいるというよりも、
殴り書きの率がすごく上がったという感じです。
いままではちょっとしたメモでも
マス目に沿って書いていたんですけど、
今年は殴り書きですね。
あと、漢字を略して書くようになりました。



渡辺 あ、それありますね。
永田 横棒がたくさん入る「昼」みたいな字は
横棒を端折ったりしちゃってます。
渡辺 記号率も高くなったりするんですよ。
あとでわかればいいやっていう気持ちから
アルファベットや数字だけで済ませたりとか。
佐藤 なるほどー。
糸井 いや、生々しい意見ですね(笑)。
小林 私は、昨年までの方眼が、
自分にとってちょうどいい大きさだったので
ビッチリ書きすぎてたんです。
今年は小さくなったことで、
その「マス目の呪縛」みたいなものから開放されて、
かえって伸び伸び書ける気がしたんです。
でも、よくよく考えると
書く量が減ったような気もします



渡辺 私も減りました。
あの、2009年版から、
すごくキレイなデザインになりましたよね。
変な話なんですが、
こんなにキレイになってしまうと、
キレイすぎて書けなくなっちゃうんです。
佐藤 ああ、それはデザインの大きな課題ですね。
逆にゆるいくらいのほうが
書きやすいんでしょうか?
渡辺 そうですね。
もう少し「抜け」のようなものが
あったほうがうれしいかもしれません。
いままでの「ほぼ日手帳」って
「抜け」があったと思うんですよ。
佐藤 うんうん、ありましたありました。
糸井 「抜け」ねぇ(笑)。
佐藤 これまでのデザインを見直して、
ピントをきっちり合わせたことで、
ちょっとだけ取っつきにくくなったのかなぁ。
その「抜け」というか「ゆるさ」みたいなものは
これからの課題ですよね。



糸井 曖昧な話ですいません。
佐藤 いえいえ(笑)。


●相性のいいペンとは?

ほぼ日 文具に詳しい土橋さんは
いまの話を聞いていていかがですか?
土橋 私はまだ「ほぼ日手帳」1年生で、
初めて使っているのですが、
小さいという印象はあまりないですね。
4ミリだった時代のを拝見したときに、
「大きかったな」とは思いました。
ただ、私が知る限りで、
小数点第2位までキッチリ計っている
手帳の方眼というのは初めて見ましたね




一同 (笑)
糸井 あー、そうか、そうですねぇ。
ほかの手帳のスペック表では
あまり見たことがない。
佐藤 (笑)
土橋 私はマスを2行に渡って書いてるんですが
そうすると3.45+3.45で7ミリなんですね。
それって日本を代表するノート、
コクヨの一般的な「キャンパスノート」の
罫線とほぼ同じ幅なんです。
それがわかると、いつもの字で書ける
安心感みたいなものが生まれました。
糸井 はーー、なるほど。



土橋 あと、文房具としての観点からいうと、
ペンとの相性の問題もあると思います。
いまの方眼の大きさだと、
太めのボールペンはつらいかなと思いますので。
ほぼ日 みなさんは、どんなペンをおつかいですか?
小林 私は0.3ミリのシャープペンをずっと使ってます。
山口 私の場合はもともとパイロットのコレトが好きで
ずっと使ってたんですが、
それの0.3か0.25ミリのもので書いてますね。
渡辺 私もコレトの0.3と
そのひとつ上くらいのを使ってます。
永田 私もコレトの0.3です。



ほぼ日 「ほぼ日ストア」特典のボールペンは
つかわれていないんですね(笑)。
永田 夫にあげちゃった(笑)。
夫はあのボールペン、
よろこんで使ってるんです。
渡辺 書き味はすごくいいんですけど、
「ほぼ日手帳」には使わないですね。
山口 あの太さのボールペンで
この方眼に入れて書くのは
けっこうきびしいと思います。
方眼を意識せずに書くには問題ありませんが。
ほぼ日 土橋さんはいかがですか?
土橋 私も、持っているペンで
いろいろと試してみたんですが、
やっぱり0.3ミリがベストですね
「東京都」とか「横浜市」と書いたときに
つぶれずに書けたの0.3ミリのゲルインク。
私の場合は、ぺんてるのスリッチでしたね。
太めのボールペンだと
ちょっとつらいかなという気がします。
あと、細字の万年筆でも書いています。


●永久にこのままでいいっていう
 デザインはないんです。


糸井 いま聞いた話の中で、
「読み返すときにつらい」っていうのは
説得力のある意見だと思いますね。
「ほぼ日手帳」って書く行為を
楽しんでいるのと同時に、
自分の書いたことを読む行為も
楽しんでるわけですから。



佐藤 たしかにそうですね。
糸井 ただ、だから大きくするかというと
そう単純な話ではないように思うんですよ。
4ミリに戻すのは簡単なことだし、
戻さないっていうのも簡単なこと。
そのどっちでもない方向だってある。
でも、けっきょく、どれを選んでも誰かが
「それは違う」って言い出しちゃうんです
佐藤 ええ、ええ。
方眼の大きさだけを突き詰めれば
いいというわけでもありませんしね。
たとえば、方眼を3.45ミリにしたことで
2009年版から、ページの下に
縦5マス分のスペースが生まれたんですね。
それを、4ミリの本願に戻すと、
空きスペースはなくなっちゃうんですよ。
永田 あのスペース、すごく便利なんです!
佐藤 でも、なくなっちゃうんです(笑)。
永田 マス目は大きくなってほしいけど、
下のスペースは欲しいです。
佐藤 弱りました(笑)。



一同 (笑)
糸井 でも、彼女は困らせようと思って
言ってるわけじゃなくて、
本当にそう願ってるんですよ。
佐藤 うんうん、わかります。
糸井 むずかしいですねー。
ちょっと前に行ったアンケートでも
すごく微妙な結果が出たんですよ。
ほぼ日 はい。今年の2月に恒例の
「ほぼ日手帳2009アンケート」を行いました。
3.45ミリの方眼について、
第一印象と、つかってみての感想を
お訊きしましたので、ご覧ください。





ほぼ日 大きくいうと、
「最初は小さいかなと思ったけど、
 つかってみたらちょうどよかった」
という人が少し多かったんです。
糸井 徐々に慣れて、
よく思えてきたっていうことですよね。
ということは、またサイズを変えると
「せっかく慣れたのに!」ってことに
なってしまうんでしょうねぇ。
一同 (笑)
糸井 たしかに、その責任感は感じるんです。
ただ、いったん決めたんだから
それを見直さないと決めつけるのも
なんだか不自由だと思うんです。
永田 あの、いろいろ言いましたけど、
方眼が3.45ミリになったことって、
自分の中のルールが少し変わっただけで、
すごい使いづらいというわけではないんです。
毎日書くことなので、そのテンポが
少しだけ変わったっていう感じです。
だから、個人的には、
「この方眼の大きさがベスト!」っていう
大きさがあるわけじゃないような気がします。
どういう大きさになっても、
「ほぼ日手帳」自体の魅力があるかぎりは、
使い続けていこうと思ってます。



渡辺 そうなるんならそれでいいですよ、
っていう気持ちがあるんですよね。
だから、極端にいうと、
2010年版が3.45ミリのままでも、
4ミリに戻っても使うと思います。
永田 うん、うん。
小林 1日1ページの安心感がありますからね。
なんかもう小さい手帳には戻れない。
自分の書いたことを読み返す、っていう要素は、
ほかの手帳にはないものだと思います。
糸井 それはすごく言われますね。
うーん、今日はいろいろうかがって
すごくためになりましたが、
悩みも深まりました。
来年はどうなるんでしょうねぇ。
佐藤 最後に言わせていただきますと、
永久にこのままでいいっていう
デザインはないんです。
人の価値観も変わるし、技術も変わる。
インクだって、紙だって
変わるかもしれないわけです。
だから、いろいろなご意見をうかがいながら
調整するべきところを毎年微調整をしつつ
つくっていくんでしょうね。
個人的には、まだ調整しないで
もうちょっと様子を見る
っていうのも
ちょっと忍耐が必要ですけど、
あるのかなぁ、っていう気もします。

糸井 これね、突き詰めていく問題でもあるんだけど、
なんか追い詰めちゃいけない気がするんですよ。
だから、ちょっとサウナにでも行って、
ふたりでボーっと
この件について話し合いましょうか。
一同 (笑)


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ほかにも、さまざまな意見や
エピソードが飛び交い、
参加者は「手帳の話」を大いに楽しみました。
ご参加くださったみなさま、
ほんとうにどうもありがとうございました。

さて、そのようにして、
「ほぼ日手帳2009方眼座談会」は
盛況のうちに終わったのですが‥‥。

けっきょく、「ほぼ日手帳2010」の
方眼の大きさはどうなったんでしょう?

そう、それは、この座談会から
しばらく経ったあと、
佐藤卓さんと糸井が再び会って話したときに
決定しました。

その話は、明日。
「ほぼ日手帳2010」の方眼の大きさも、
明日、発表いたします。