お笑い界の鬼才、板尾創路さんは
『太陽の塔』がそびえる大阪で育ちました。
「観とかんとあかんな。急いで行こ」
と、汐留の『明日の神話』を訪れることに。
『明日の神話』を眺めたあと、
終始かわらぬ真顔で語った板尾さんのお話、
みなさまにお届けいたします。
まずは『明日の神話』を間近で観るために
壁画前のステージにのぼった
板尾さんのようすから、どうぞ。

板尾 こっれは‥‥
でかいなあ。

── 横は、30メートル
ありますので。
板尾 うーん。



── 板尾さん?


※あまりにも板尾さんが動かないので、
「板尾さんからみたビュー」を撮ってみました。

板尾 はっはあ。


中央の骸骨を通りすぎて


またもや、絵の端に立つ板尾さん。
板尾 しかしこれはあれですね、
世界地図みたいやね。

── ‥‥地図?
板尾 すごい遠くから、観たいなあ。

── ああ、なるほど。
だから、こうやって
ステージの端から観ようとなさるわけですね。

板尾 端やと、ひと目で観れるからね。
夜とかも、観てみたいなあ。
── ライトアップされて
とてもきれいですよ。
板尾 これはホテルのロビーに
描いた絵なんやね。
屋内にね。
── ええ、ホテルの経営がたちいかなくなって
絵も行方不明になってしまったんですけれども。

板尾 これはホテル用に描いたもんやから、
岡本太郎さんのことやし、
きっと、人がどういう動きで観て、
光がどこから入って、というのを
当然考えてたでしょうね。
いまがベストの状態ではないやろうけど、
こうやって観られるようになったというのが
まずすごいわな。



誤解を怖れずに言うと、
岡本太郎さんて
どの作品でもそうやけど
タッチが子どもっぽいよね。
だから、子どものころに観た
岡本太郎さんの作品には、
すっごい親近感があった。
「おもろいおっさん」言うたらあれやけど、
遊んでもらってるような、
遊んでくれそうな、
そんな印象があったなあ。

『太陽の塔』も芸術というよりは
おもちゃっぽいところがあったから、
俺らにはスッと入ってきました。
── 板尾さんは1963年生まれ、ということは、
大阪万博は意識がはっきりしていらっしゃる時期に
開催されたわけですね。
板尾 『太陽の塔』は、なんやこれ!と思いました。
気持ちのええ、怪獣みたいな建物やなあ、
誰が建てたんやろう、ゆうて、知ってましたよ、
岡本太郎さんのことは。
万博には5〜6回は行ったなあ。
大人になってから
番組の収録で『太陽の塔』の中に
入ったんやけど、
中は「生命の樹」というのになってて
びっくりした。
── あれは、驚きますね。
板尾 そう言うたら『太陽の塔』も、
一時取り壊そうという話も
あったみたいやね?
でも、大阪の人たちの声で残ったって、
言われてるらしい。
── 『明日の神話』もメキシコに
30年以上あって、
メキシコの人もわけがわからないなりに
捨てられなかった、というのも
同じ運命のような気がしますね。
板尾 あと、岡本太郎さんって、
宇宙人のデザインしてるやん?
あれがおっかしくてな、昔!
── 『宇宙人東京に現わる』ですね。
板尾 「なんじゃこの宇宙人は!」って
びっくりしたから、よう憶えてんねん、俺。
いまやったらありそうなデザインやけど、
当時はすごかったわ。
── 岡本太郎さんの本は
お読みになったことはありますか?
板尾 本はね、俺、一冊だけ読んだ。
『自分の中に毒を持て』
あんまりくわしく生い立ちとか知らんかったから。
── びっくりしますよね、
柱に縛りつけられてたとか。
板尾 そのへんのおばちゃんみたいなこと
言うけど、
ほんま「そら、あんな子になるわー」。
── ははははは。
板尾 ふつうには育てられてへんな。
マザコンやろな、
あんなお母さんやったらな、やっぱり。
で、今日はTARO MONEYやんな?
── 10 TAROと1TAROがございまして。
板尾 せっかくやから両方ひとつずつ
買わせていただきます。
── では、4千円。
寄付をありがとうございます。

板尾 やらしい写真撮るなあ(笑)。
しっかし、
『明日の神話』、欲しいくらいです。
── なんとかしてください(笑)。
行き先がまだ決まっていないんですよ。


板尾さん、さっそくTARO MONEYを開封して
お名前を登録してくださいました。
「板尾創路」さんのお名前を一覧表で
さがしてみてくださいね。
板尾 おととしパルコでやってた
岡本太郎さんの写真展、観に行ったよ。
モノクロの、沖縄の写真展。
しぶーい写真ばっかりな。
おもしろかったわ。

俺、岡本太郎記念館に行ったら
もう行くとこなくなるから
行ってへんねん。
── どういうことですか?
板尾

川崎(美術館)も行ってもうたし、
行くとこなくなるやん?
青山は近いしいつでも行けるけど
気軽に行かんとこ、と
こう思てるわけ。

── (爆笑)
板尾 もったいないやん。
置いてんねん。
‥‥ところで『太陽の塔』って、
岡本太郎さんがつけた名前なんかな?
『明日の神話』も?
── そうだと思います。
板尾 なんで「明日」って
いうんやろなあ。
「神話」に「未来」って
ありえへんやんなあ。
── そうですね。
板尾

語り継げ、ってことかなあ。
ええタイトルやわ。
‥‥ ええタイトルや。


「あの絵、どこに行くんやろな」と
帰り際に『明日の神話』を振り返りながら
板尾さんはおっしゃっていました。
きっとまたもうひとつ、あの絵はこれから
物語を生むんだろうな、という気がします。

板尾さん、TARO MONEYお買上げ、
ありがとうございました。


板尾さんの日記が一冊の本になりました!

『板尾日記』(リトルモア)
板尾創路 著
1500円+税
 

するどい洞察、おだやかな日々、
ときどきしみじみと優しく、
何行かにいちどはプッと吹き出す。
板尾さんの正直さが気持ちいい、
毎日の記録が本になりました。
ページをめくるたびにこの天才の頭の中を
少しだけ覗くことができる一冊です。
たま〜に、岡本太郎さんに関することが
出てきますよ。
本屋さんで、手に取ってみてくださいね。
付録の「板尾ソングブック」は爆笑でした。

2006-08-17-THU

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