TARO MONEYについて、
アイデアの段階から、
糸井重里に話を聞いていた
笑福亭鶴瓶師匠。
「そんなん、できたら言うてや。
 協力させてもらうし」
と、言ってくださっていました。
なんたって、糸井重里が
岡本敏子さんのことを
くわしく知るようになったのは
鶴瓶さんが司会をされていたテレビ番組、
「平成の日本のよふけ」がきっかけだったんです。
鶴瓶さんが、
糸井のTARO MONEYというアイデアに
感心されるところから、
ふたりの話ははじまりました。

鶴瓶 糸井さんはいろいろと
ものを書いたり、つくったり
売ったりしてるよねぇ。
いやぁ、よう考えるわ。
糸井 でも、思ったようにいかないことも
たくさんありますよ。
鶴瓶 思ったより売れないこともあるわけ?
糸井 だいたいは、
思ったほどは売れないですよ。
ほんとは、もっともっと、
売れるんじゃないかって
いつもじつは思ってたりする。
鶴瓶 図に乗ってんのとちゃう?!
糸井 ははははは。
鶴瓶 図に乗ってるよ、なぁ?
そんな、売れるもんじゃないよ、
この世間というものは。
糸井 というより、
万馬券を当てた人を見たりなんかすると、
「いいなぁ」と思う、
あの気持ちと同じなんですよ。
小穴ぐらい当たったとしても、
「万馬券当てた人もいるしなぁ」
と思うと、
ちょっと寂しくなることって、ありません?
鶴瓶 人を見たら‥‥もう、
きりないわ!
糸井 師匠(笑)、
まったくそのとおりですね。
いやぁ、いつもながら、
勉強になります。
鶴瓶 「あんなぎょうさん出てはる人いるなぁ」とか
「レギュラー多いなぁ」とかね、
そんなん思いはじめたら、きりないよ。
糸井 ぐふふふ。
鶴瓶 別にレギュラー取ろうと思て
この世界入ったんとちゃうけどね、
そういう、だいたい、
レギュラーなんて関係ないわけよ、落語家は!
糸井 そやそや。
鶴瓶 ふつうにしゃべれたらそれでいいわけやし、
言うたらね、
ものすごうまいこといってんのよ?
せやけど、ほか見たら、万馬券出とる。
それを人に言われて
「俺も万馬券くらい出とかなあかんのかなぁ」
って、ふと思ってしまうんですよ。
こないだも、道歩いてる素人さんに
「もっと出なあかんよっ」
って、声をかけられたんです。
「ちょっと待って」と(笑)。
糸井 鶴瓶さんなんて、もう、
万馬券でしょう!
歩く万馬券ですよ。
鶴瓶 歩く万馬券‥‥ぐふふ、
万馬券ほどやないけど。
糸井 いやぁ、鶴瓶さんに会うと
勉強になるわ。
リアリティがあったわ、いまの!
鶴瓶 また、俺には言いやすいんやろね。
「みんなもっとやったはんのに。
 がんばらないかんよ!」
がんばってるって!
糸井 はははは。
鶴瓶 けっこう、がんばってきた、35年!
ずーっとがんばってきて、
いまもがんばってるつもりや。
せやけど、
「まだまだや」
「みのさんなんか、よう出てるやん。
 元気やし、年いったはるし、
 よう知ったはる」
と言われるんです。
もう‥‥出てない人と
競争したいわ!

(次回につづきます)

2006-06-28-WED

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