タモリ先生の午後 2008。 「スロー人」のすすめ。


第13回 アニ性。
タモリ やっぱり、だんだん減ってきてるんでしょうか、
スロー人の数というものは。
糸井 会社員とかには、向かなそうですしね。
タモリ せち辛くなってますからね、世のなかが。
希少種。

糸井 うちの会社にだって
さすがにスロー人は‥‥いないなぁ。
タモリ だからもう、幼稚園とか小学校とか
はやい段階から矯正されちゃうんでしょう。
糸井 でも、コピーライターはやってたりする(笑)。
タモリ 朝から夜の10時まで。なにをやってるのか。
糸井 そのコピーライターの奥さんは
スロー人として接してるんですかね、夫に?
タモリ おもしろいことに、われわれのグループは
家族ぐるみの付き合いがまったくないんですよ。
糸井 家庭生活については、いっさいナゾなんだ。
タモリ そう、で、このまえ帰ったときに、
たまには奥さんも一緒にってことになって、
集まったんですよ、みんなで。
糸井 ええ。
タモリ そしたら、
「あらー、久しぶり、結婚式以来ですねぇ」
とかなんとか言ってる。



‥‥もう60歳の人たちがですよ。
糸井 いったい何十年、会ってないんだと。
タモリ 久しぶりってレベルじゃないのよ。
糸井 (笑)
タモリ で、そのうちのひとりが、
「ずっとしかられてる」スロー人の
奥さんと娘さんに、
別のところで、たまたま会ったらしいんです。

そしたら、
ずーっと「うちのお父さん」についての
質問責めなんだって(笑)。
糸井 あれはなんなんですか、と。
タモリ そう、理解できない行動の意味を問われたり。
旧友を通じて、何とか「わかりたい」んです。
糸井 ああ、愛されるんですね‥‥スロー人は。
タモリ うん、それだけの興味を
奥さんと娘から持たれてるってことですから。
糸井 探せば、どっかにまだいそうだなぁ。
タモリ あ、芸人の「中川家」がそうですね。
スロー人だわ、あれ。
糸井 どっちのほうですか?
タモリ 兄(中川家剛さん)のほう。超スロー。
糸井 M-1グランプリで
優勝したりしてましたよね、たしか。
タモリ たぶん、あの兄じゃなきゃダメなんですよ。
あのコンビは。
糸井 ‥‥あ、このあいだ、うちの「睡眠論」
出てもらったんですけど、
スチャダラパーのアニくんも、かなりだわ。

いかにして
少しでも「よけいに寝れるか」ということを
ずーと考えてる人のようで(笑)。

タモリ そんなに眠いのか。
糸井 その座談会の最中も、知らないうちに‥‥。
タモリ 寝てるんだ(笑)。
糸井 いや、何かちょっと見えてきたような‥‥。
みんなを助ける、愛すべきスロー人。
タモリ うん、いま、スロー人が必要です。
糸井 スチャダラのアニくんか。
タモリ 中川家の兄か。

糸井 ・・
‥‥つまり、スロー人の素質とは
「アニ性」である、と(笑)。

<つづきます>


2008-01-09-WED