大橋歩さん & 伊藤まさこさんと ほんとうにほしいタオルのはなし。 おまたせしました、「やさしいタオル」再始動です。
半年間、おやすみをいただいて 開発をつづけてきた「やさしいタオル」。 工場えらびや、糸の研究などと並行して、 「ほんとうにほしいタオルってなんだろう?」 ということを、もういちど考える機会にもなりました。 そして、あたらしいデザインにとりかかる前に、 このおふたりに、ちからを貸していただきました。 ものの作り手でありながら、 生活者、消費者としてのきもちを、 つよくもちつづけているふたり、 大橋歩さんと、伊藤まさこさんです。 しょうじきに、ご意見ください。 ほんとうにほしいタオルって、 どんなタオルなんでしょう? HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN やさしいタオル
伊藤まさこさんのプロフィール
大橋歩さんのプロフィール
         
もくじ その1   2010-10-04
  その2   2010-10-05
  その3   2010-10-06
  その4   2010-10-07
  その5   2010-10-08
  その6   2010-10-11
  その7   2010-10-12
  その8   2010-10-13


その1 ごわごわが、いい?
糸井 大橋さん、伊藤さん、
お越しくださって嬉しいです。
どうぞよろしくおねがいします。
大橋 お声掛けいただいてありがとうございます。
よろしくおねがいします。
伊藤 糸井さんはじめまして、
よろしくおねがいします。
お役に立てれば。
ほぼ日 きょうはおふたりに
あたらしい「やさしいタオル」のための
アドバイスをいただきたくて、
おいでいただいたのですが、
そもそもどうして
「やさしいタオル」ができたのかを、
かんたんにお話しさせてください。
大橋&伊藤 はい。
ほぼ日 最初は「お気に入りのタオルって、ないね」
「つくりたいね」
というところからはじまりました。
当時の乗組員たちで、
自分が使っているお気に入りのタオルを
持ち寄ろう、というなかに、
片面がガーゼで、片面がパイルという
とても風合いのよいタオルがあって。
けれどもそれはもう、15年以上使っていて、
ぼろぼろだったので、銘柄も生産国も、
なにもわからなかったんですね。
そして当時売られている製品でも
そういうものは見つからなかった。
でも「これはいい」ということになったんです。
それで専門家のかたに相談し、
ガーゼを織りながらパイルを織って、
一枚に仕立てていく織機をもっている
タオル工場を、みつけたんです。
大橋 パイルとガーゼは
ほんらい織機が違いますものね。
ほぼ日 はい。それが四国の
今治っていうタオルの産地の、
古い工場に、あったんです。
大橋 へぇー!
ほぼ日 そんなふうにして始まったのが、
このプロジェクトでした。
思い付いてから、
じっさいの製品開発スタートまでに
3年かかっています。
ちなみに「やさしいタオル」は
・肌触りがよいこと。
・吸湿性がよいこと。
・使ってるうちに古びないこと。
・洗いやすいこと。
・乾きやすいこと。
という条件を満たすタオルをということで、
どんな綿を使おうだとか、
最後の洗いをどうしようということまで
工場と相談しながらつくってきたんです。
伊藤 そうだったんですね。
ほぼ日 ハイ。長年、そうやって作ってきて、
その品質に疑問はなかったのですけれど、
もっと多くの人に届けたいであるとか、
デザインの自由度などをふくめて、
「もっと、よくしたい」と考え、
生産・販売を半年間お休みをして
生産規模の大きなあたらしい工場を探しながら
もういちど綿糸や織りの研究をしてきました。
そして同じ四国の今治で、
ガーゼとパイルの二重織りができる
工場を見つけたんです。
糸も、スーピマコットンで、かつ、
もっとやわらかいものを見つけました。
伊藤 なるほどー。
ほぼ日 と、そこまでは、自分たちで進めてきました。
そして並行して、
「さあデザインだ」っていうところで、
「ほんとうに欲しいタオルってなんだろう?」
っていうことを考えたくて、
大橋さんと伊藤さんに
お声掛けさせていただいたんです。
最初、大橋さんにお願いし、
大橋さんから伊藤さんをご推薦いただいて、
こうしてお目にかかることができました。
伊藤 どうもありがとうございます。
ほぼ日 おふたりは、仕事をしながらも、
おうちのことをすごくしっかり
やってらっしゃるという印象があって──。
大橋 (笑)わたしは、どうかしら。
でも伊藤さんはちゃんとしてらっしゃる。
伊藤 いや、とんでもないですよ。
だいじょうぶかな(笑)。
ほぼ日 いえいえ、ぜひご意見ください。
じっさいにタオルをどういうふうに
使ってらっしゃるかとか、
そんなお話を聞かせていただけたらと思います。

このタオルの開発をはじめた2000年頃、
「タオルってもらい物が多いよね」
って話していたんですが、
それから10年ちかく経って、
「タオルは、もらうもの」っていうところから
いま、ずいぶん離れている気がするんです。
大橋 うんうんうん。
伊藤 ああ、そういえば。
ほぼ日 で、だけど、もしかして
まだもらったタオルを使っている、
でもそろそろ、買い換えたいと思ってる、
みたいな時期じゃないかなって
想像してたんですけど、
伊藤さんや大橋さんは
どうしていらっしゃいますか。
伊藤 うちは、私がスタイリストをしてるので、
くださるかたが、緊張するみたいで。
糸井 そうだ(笑)。
大橋 ああ!
伊藤 あまりいただき物のタオルとかは
ないんですけれども、
実家では頂き物の
ナントカ商店とか入ってるのが
いっぱいあって、
72歳になる母が、
いまだにそれを使っているんですね。
それで、母の口癖が、
「ああ、もういつか、
 真っ白で揃えたいわ!」。
ホテルのように真っ白にしたいと。
私も母の意見がいいなと思っていて、
独立した時、エーイって一番最初に買ったのが
真っ白いタオルだったんですよ。
ホテルみたいなごわごわの。
ほぼ日 ホテルのタオルって、分厚いですよね。
伊藤 そう!
糸井 それがよく見えたんですよね、でも。
伊藤 そうなんです。
それで、買ったんですけど、
洗濯するたびにすごく毛羽が出て。
糸井 出る出る、出る出る。
伊藤 で、出なくなったなと思った頃には‥‥
糸井 硬くなっちゃう(笑)。
伊藤 そうなんですよ‥‥。
ほぼ日 痩せちゃいますよね、
やっぱり毛羽が出ると。
伊藤 そう。で、ウーンと思いながらも、
またうっかり同じの買っちゃって、
干す時に、バンバンッてすると、
毛羽が落ちるから、
「洗濯のたびに
 掃除機かけなきゃいけないんだなぁ」
っていうのをずっと繰り返しています。
糸井 厚めのタオルは毛羽が出ますよね。
それがいいんだと思い込んでるから、
自分がそれに合わせちゃう。
伊藤 そうなんですよね。そう。
ほぼ日 じつは「やさしいタオル」を作った時、
軽さっていうことを
とても大事に考えたんですけど、
それはタオル業界の流れに逆行していたんです。
糸井 そう。糸を何グラム使ってるかっていうことで
値段が決まるという、
つまり重いタオルが高級タオルなんです。
伊藤 え、そうなんですか。
糸井 大橋さんとこも、
さすがにもらわないですよね。
大橋 いえ、うち、いただくんですけれども、
いただき物は使わずにとっておいて、
暮れの福祉バザー用にしているんです。
自分の個人的に使ってるのは、
白いタオルです。
もう昔から白なので、その白‥‥実はね、
わたし、ごわごわが好きなんですよ。
糸井 なるほど。
大橋 柔軟剤はいっさい使わず、
ガリガリっていう肌触りが好きで。
糸井 垢すりができるぐらいのですか(笑)。
大橋 ええ。拭いてもごわごわごわっていうのを
「ああ、気持ちがいい」というタイプで、
長いこと来たので‥‥うーん、
私のとこはちょっと
よそと違うかもしれないな(笑)。
伊藤 あの、私も実は、ごわごわタオル派です。
大橋 あ、そうなんですか。
伊藤 はい。
もう、ごわごわしてればしてるほどうれしい。
大橋 そうなんですよ。
ごわごわが柔らかくなると
すぐ洗濯機にポンだから。
糸井 ということは、買ったばっかりよりも
使い込んでからのほうがいいわけですね。
大橋 そう、そうなんです。
伊藤 そうですね。
糸井 そうか、いきなり、よわったね、
「ごわごわがいい」っていう話だ!

「やさしいタオル」と「ごわごわタオル」は
もうまったく別のもの!
大橋さんと伊藤さんのご意見に、
タオルチーム一同、頭がぐるぐるしているところで、
次回につづきます。


2010-10-04-MON


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