シェフ また銘じる。

いそがなくちゃ。
いそがなくちゃ。
いそがなくちゃ。

なんてったって、アタクシ、
帽子を二つつくらにゃアカンねん。
作業量は、どんと二倍ですねん。

次のステップにすすむためには、
地味な切腹は、表も裏も縫い上げ、
リアルな切腹のほうは、表だけ縫い上げて、
裏地の相談をしなくっちゃ。

教室開催の前の晩に、夜なべですよ。



名にし追う、夜なべですよ。
でも間に合わないから、
翌日の午前中にも朝なべですよ。
あ、朝なべはないか。



いそがなくちゃ。
いそがなくちゃ。
いそがなくちゃ。



ずばばばばば(ミシンの音)。

あれ、先生は、ひとつ縫ったら、
アイロンをかけて、縫い目を割れと言ってたな。
でもでもでも。
まにあわないから、そのまま縫っちゃおう。



ずばばばばば(ミシンの音)。



ふう。できたんじゃない?
まにあったんじゃない?



ほらほら、みてみて。
ここが、肉と内臓の境目だよ。

ほらほら、かぶってみたりして。

せんせい〜!
できたとおもわれます〜!



「両方、ここまでできたんですか?
 すごいですねえ。
 リアルなほうは、
 おなじような質感の布で裏地を
 つくってもらうとして、
 じゃあ、次のステップは、
 地味なほうの表と裏を縫い合わせましょう。」

お。ネクスとステップ、オッケー?

なんでも、表と裏を縫い合わせるときには、
補強のために、一枚布地を噛ませるんだそうです。
この、黒い布地がそれですね。



これを2センチくらいの細さにして、
ぐるりと円周にとめていくのです。



ん。んんんんんん?

先生、大変です。
大変なことがおこりました!

「ど、どうしたんですか?
 順調だったじゃないですか!!」

えー、ぐるっとしていましたら、
表の布と裏の布の長さが違うんです!

「えええええ??
 ちょっと見せてください。」



「‥‥‥。
 なるほど。
 もぎさんの帽子は、いくつかの布地が、
 一つに集まるポイントがありますよね。
 なんか、このあたりに、
 えい! って感じでてきとうに
 まとめた跡がありますよ。
 おそらく、原因はこれですね。」

がい〜ん。



あれ、同じようなことが過去にもなかったか。
その、雑さ故にやり直しをしたようなことが。
でもって、すでに傷だらけの肝に
ばりっと銘じてなかったか?

「丁寧にやれよ。」と。

今回もまたまた、その「雑の病」が発病だ。
本当に、その病は自分の膏肓に入ってるわけである。

「えい! って感じでてきとうにまとめた跡」って‥‥。


先生、先生。
もう、地味切腹もリアル切腹も
布をとるところからやり直します。
出直してきます。



「いやいや、たぶん
 地味なやつのほうの、
 裏地だけ直せばどうにかなりますよ!」

いやいや、それでは
自分を甘やかします。
やり直します。
もう、全部やり直します。

「(笑)。
 もう、何を言ってもムダっぽいですね。
 じゃあ、がんばってくださいね!」

押忍。
がんばりまっす!


スソ先生のアドバイス
一つミシンをかけたら、
かならずアイロンをかけて、
布地を割りましょうね。
ひとつ、ひとつ、丁寧にやれば、
ちゃんとできますからね〜。

とじる