Yasashii Towel やさしいタオルYasashii Towel やさしいタオル

樅の木と薔薇の花。

やさしいタオル 2017-18 冬

12月18日(月)午前11時、「ほぼ日ストア」で販売開始。

樅の木と薔薇の花。

このなんでもないような無地の、
緑と赤のふたつの色のタオル。

2003年に誕生した「やさしいタオル」シリーズに
2012年から加わった
「ボタニカル・ダイ」で染めた新色です。

この色を写真やことばで表現するのが
とても難しいのですが、
どちらのタオルも、無地でありながら、
なんともいえない独特の「色の深み」を持っています。

自然光に当てたとき、それも直射日光と
日陰ではすこしちがいますし、
また、電球や蛍光灯でも、光源の種類によって
ずいぶん雰囲気がかわります。

二重織りになっているパイルとガーゼは
使っている糸が違いますので、
光沢の具合もことなり、
それがいっそうの深みを感じさせます。

この色のひみつが「ボタニカル・ダイ」にあります。

200もの色素が、ひとつの色を構成する。

化学的な染料の場合は、
「赤」を表現しようとすると人工的に合成された
「赤」1色で染めます。

「こういう色にしたい」と考えたとおりの、
きっぱりとしたきれいな赤が表現できますが、
ボタニカル・ダイの場合は、やわらかめ。

そしてつくり手の想像を超えた
「複雑さ」が加わります。

「ボタニカル・ダイ」の染料は、ひとつに見える色でも、
200くらいの色素が入っていて、
それが合わさって、私たちの目に
「その色」に見えるからなんです。

しかも、自然物から取り込んだ色ですから、
人の目に見える色だけでなく、
人には見えないけれども、たとえば
「虫には見える」色も混ざります。

その要素があるとないのとでは、
結果としてうまれる色にちがいが出て、
私たちの感覚はそれを「深み」として受け取ります。

そういうふしぎな複雑さが、
「ボタニカル・ダイ」の染めのうつくしさです。

この染め方、伝統的な「草木染め」とはことなり、
まったくの自然素材というわけではありません。

植物の色をきちんと定着させるため、
化学的な「色素補強」をしています。

「草木染め」の場合、洗うたび、使っていくうちに、
だんだんと色が抜けていき、
それが味でもあるのですけれど、
比べると「ボタニカル・ダイ」は
はじめから鮮やかな発色が、
比較的色落ちしにくくなっています。

すこし専門的なことを言いますと、
通常の草木染めでは使う、
色を定着させるための「媒染剤」を使わず、
とくべつに開発をした「助剤」で前処理をすることで
植物由来の色素を、糸に定着させやすくしています。

さて、いい色のタオルをつくりたい、
という考えからうまれた
「ボタニカル・ダイ」のタオルですが、
そこに、うれしいおまけがありました。

それは、この方法で染めた綿糸が、
とてもやわらかく、しなやかになるということでした。

「ボタニカル・ダイ」をつくっている会社、
シオンテックのみなさんにおたずねしても、
具体的な理由はあきらかではないのですが、
手で触れたとき、肌にのせたときの「やさしさ」が
(もともと、そこが自慢の「やさしいタオル」ですけれど)
いっそうアップしている。

手に取ると、そう感じていただけるはずです。

薔薇の花から赤を、樅の木から緑を。

今回登場したふたつの色は、色素を、
赤は「薔薇の花」から、
緑を「樅の木」からとっています。

ここでは「赤」「緑」と呼んでいますが、
「薔薇の色」「樅の木の色」としか
言いようのないうつくしさがあります。

赤い薔薇は世界中で愛される花で、
ちょっとおまじないめいた話ですけれど、
美、愛、情熱、知性、野心、
さまざまなつよい感情が秘められているといいます。

花は食用花(エディブルフラワー)として食卓を彩り、
その香りは香水にも多用されています。

(タオルからは、香りません。あしからず!)

また、樅の木は北半球で自生する樹木で、
ヨーロッパでは人生や季節の節目に欠かせないもの。

神話にも登場する、希望のシンボルでもあります。

活力があり、威厳をもち、香りが高く、
樹脂や精油は医療にも利用されてきました。

どちらも、ハンド・フェイス・バスの3サイズ。

「やさしいタオル」の新作は、
12月18日(月)午前11時から、
「ほぼ日ストア」で発売です。

2017-12-11-MON

  • スタイリング:伊藤まさこ
  • 撮影:有賀傑
  • 商品撮影:大江弘之