スタイリング 伊藤まさこ  撮影 有賀傑  協力 pand
  • 「やさしいタオル」2015-16冬のコレクションには
    寒い季節も部屋のなかをあたたかく、
    たのしく過ごせるような、
    あかるいデザインがならびます。
    タオルって、思った以上に、
    部屋の中においたときに「面積」をとりますから、
    インテリア・ファブリックとしてのうつくしさを、
    「やさしいタオル」ではとても大事にしているんです。

この、ビビッドな色づかいで、大胆なデザインのタオルは、
ゲストデザイナーの赤羽美和(あかばね・みわ)さん
手によるものです。
12/17からの販売を前に、くわしくお知らせしますね。

赤羽美和さんは、武蔵野美大卒の
グラフィック・デザイナーです。
大学卒業後、サントリー宣伝制作部を経て、
広告制作会社サン・アドに勤めますが、
「テキスタイルデザインの持つ
 永続的なストーリー性に魅かれて」
テキスタイルデザインの本場で学び直そうと、
10年ほど携わった広告制作の現場を離れ、
北欧・スウェーデンへ渡りました。
そしてKONSTFACK/スウェーデン国立芸術大学の
大学院を修了し、帰国してからは、
東京を拠点に、デザイナー、そしてイラストレーターとして
活動をはじめるとともに、
アートの活動もおこなっています。
日本に帰国された今も、
スウェーデンでのホスピタルアート制作が
進行中です。

ううむ、ちょっと堅苦しい紹介文になっちゃいました。
じっさいにお会いすると、赤羽さんって、
すごくおおらかで、のびのびと、
「たのしいこと」を考えるのが得意な、
そんな印象のかたなんです。


▲こちらが赤羽美和さんです。

赤羽さんのタオルその1
mori tori

「ほぼ日」がはじめて見た赤羽さんの作品は、
今回タオルにもなった「mori tori」。
赤羽さんの代表作とも言えるデザインです。

「じつは、このデザインは、
 留学前に、京都の織物の会社(川島テキスタイル)に
 ラグマットをつくる2週間の合宿に参加したとき、
 考えたものが、もとになっているんです。
 最初はウロコ柄だったんですが、
 あとからくちばしと目を入れてみたら、鳥になり、
 そうするとまわりのウロコが卵に見えてきました。
 そのときは展示用のものを
 1点しかつくらなかったんですが、
 ラグとして商品化されたのは2013年です」

今回この「mori tori」を
「やさしいタオル」のデザインにするにあたっては、
もともとあった2系統の色みをいかしながら、
「身体をふいたり、手をふいたりするだけじゃなく、
 ちょっとソファの上に掛けたりしてもかわいいように」と
サイズごとに異なる色展開をしています。
つまり5つのサイズ、それぞれが、べつべつの色。


▲「mori tori」はこんなにカラフル!

赤羽さんの選んだ色は、
これまで「やさしいタオル」では
使ったことがなかったような、思い切った色。
「ほぼ日」の担当チーム一同、最初はおどろきましたが、
サンプルを見て納得。撮影の現場でも、
このタオルのまわりがぱあっとあかるくなるような、
そんな効果があるのです。
こんなビビッドな色なら、こども部屋だとか、
ベビーカーに使ったりしてもいいだろうなあと思います。

赤羽さんのタオルその2
town

▲まるで摩天楼? 「town」というデザインです。

そして2つめ(3つあるのです)は、「town(タウン)」。
このデザインは、じつは「マスキングテープ」で
描かれた作品がもとになっています。
赤羽さんは時間のあるとき、「手の遊び」として
はがき大のスケッチブックにこんなふうに
自由な作品をつくっています。


▲何冊にもなる、マスキングテープ作品。
ほかにも切り絵やドローイングなどがいっぱい。

創作中は用途を考えないそうですが、
留学先で教授陣に見せたところ、
「もっと柄を細かくすれば
 ベッドリネンに最適のデザインになるよ」
というような、テキスタイルに応用するための
アドバイスをもらったそう。
それがあたまの隅にあった赤羽さんは、
今回、タオルのデザインとして
この作品を展開するにあたり、
原画をコンピュータで取り込み、
柄をリピートさせて、全体にひろげ、
タオルのそれぞれの大きさにあわせて、
異なる柄ゆきをつくりました。


▲きれいな多色刷りのプリントです。

ちなみに「やさしいタオル」は、
赤羽さんや「ほぼ日」がつくったデザインを
今治の工場に託すわけですが、
じつはその工場には大きく分けて3つの種類があります。
まず糸を仕入れて織り、染め、洗い、乾かして、という、
最終工程までを担当する大きな工場。
「織り」で表現するタオルの場合は、
この工場が生産工程のほとんどをにないます。
そしてプリントタオルの場合は、
「版をつくる」工場が色分解をしてプリント版を制作、
その版をもとに大きな工場で織ったタオルを
「プリントする」工場で、シルクスクリーンのように
印刷をおこないます。


▲デザインをコンピューターで分解、タオルに最適化させます。


▲版をつくる工程はとても複雑。テクニックの要る職人仕事です。

▲こちらはプリント工場。機械と人のコラボレーションです。

「town」は、透け感のあるマスキングテープが
重なったことで生まれる微妙な色合いや、
独特のカスレ感をプリントにいかすため、
「版」と「プリント」の工程において、
それぞれ卓越したベテランの職人が担当、
高い再現性で赤羽さんの世界がタオルになりました。


▲最終工程はこの工場で。たくさんの人が丁寧に仕事をすすめています。

赤羽さんのタオルその3
ダージリンティー

そして3つめのデザインである「ダージリンティー」は、
まさしく工場のみなさんの協力がなかったら、
実現ができなかっただろうタオルです。
なにしろこのタオル、
これまでの「やさしいタオル」にはなかった、
むずかしいつくりかたをしているんです。
というのも、このデザインは、
先に糸を染めて、チェック柄を織り、
そこに切り絵の抜き型のようなプリントをほどこすという、
「織り」+「プリント」の二重の工程を経て完成します。
しかも(ちょっとややこしいのですが)
原画のチェックは、マーカーで描いた自由な線。
それを直線の織りに「解釈」して、織っています。


▲織りとプリントが重なっているのがおわかりでしょうか。

ちなみに「ダージリンティー」という名前は、
お風呂からあがって眠りにつくまでの時間、
このタオルにくるまってぼんやりしている姿を想像し、
そんなときにあってほしい飲み物は──、
と考えてのことだそうです。

さて! このタオルは「ほぼ日」で
12月17日(木)に発売となりますが、
それにさきがけて今週末の
12月11日(金)12日(土)13日(日)の3日間、
赤羽美和さんの個展とタオルの販売会を行ないます。
タイトルは


「しみしみ」というのは赤羽さんの造語で、
手を使って遊べる、かわいいデザインのかけらたちのこと。
今回のタオルのもとになった作品も、
そんな「しみしみ」のひとつです。
「しみしみする」と動詞になったり
「しみしみした感じ」と形容詞にもなったりして、
そういうときは「デザインで遊んじゃおう」
というニュアンスがうまれます。

会場となるTOBICHI2の2階では、
今回のタオルはもちろん、
赤羽さんがデザインしたラグ(mori toriも出ますよ!)、
紙もの、缶バッジ、つみき、カレンダーなど、
いろいろなデザイングッズを展示&販売します。
「しみしみ」と遊んでいただけるコーナーも
つくる予定です。
どうぞいらしてくださいねー!


▲赤羽さんのデザインしたラグ「new trail」は
70×80センチの六角形。このラグは「ほぼ日」でも
販売をする予定です。
TOBICHI2では、
140×200センチの大きな四角いラグも登場します!

次回の予告では、冬のコレクションを一気に紹介します。
どうぞおたのしみにー!

 

2015-12-07-MON