手帳キャッチフレーズ審査発表!

「ほぼ日手帳2005」のキャッチフレーズを募集しました。
こういう場合、審査員は、当然ワタクシであります。
あ、申し遅れました、糸井重里です。

今回、かつてぼくがやっていた『萬流コピー塾』のような
「クリエイティブ遊び」とはちがって、
実際に「広告」に使いたいという意図があったので、
「笑えるから入選だろう」なんていうことは、ない。
ない、のであります。
言葉のテクニックを見せたいだの、笑かしたいだの、
とんちの利くオレに注目しろ、だの、
そういうのは、ぜーんぜん必要としてなかったんです。

ヘタだのウマイだのを超えた、
ほんとに使えるコピーを求めていたのでした。
うまいこと言えてるなぁ、というだけじゃダメ、
だということは‥‥
逆に、まったく素人という人にもチャンスがある、
ということになるわけですわ。
早い話が、「おもしろいこと言うともだち」ではなく、
「使える部下」に対するような目で、
送られてきたキャッチフレーズを評価させていただきます。

応募総数、それなりにいっぱい。
第1次選考通過者数、100名くらい。
第2次選考通過者数、40名くらい。

さぁ、最終選考であります。
掲載されるのは10本の予定。
その10本の作者10名様には、もれなく
すてきな「たいしたことないもの」が送られます。

では、まず、最初の1本。


◆書こう

(玉田さん)


【審査評】
手帳といえば、「記す」というイメージですが、
「ほぼ日手帳」は、もっとたくさん「書く」ことができる。
一日1ページなので、日記としても使えるわけです。
母子手帳とセットにして育児記録をつけていた人とか、
ぬあんと「交換日記」にしていたという人もいました。
「書く」たのしさ、書いたものを「読む」よろこびが、
「ほぼ日手帳」にはあるんだ、ということが、
表現できていると思いました。


あまりにあっけない1本目でしたねー。
「そんなんでええのんか?!」というツッコミが
聞こえてきそうです。
じゃ、次を紹介しましょう。


◆飽きない手帳。

(レムレムさん)


【審査評】
「そんなんで、エエのんかい?!」と、
またまたツッコミが入りそうですが、エエのんです。
手帳は、飽きるんです。
買って、うれしがって使いはじめても、やがて飽きる。
だいたい「飽きるかどうか?」なんて発想は、
手帳をつくっている人たちの会議にはないと思います。
道具なんだから、便利ならいい、と思うのが普通です。
毎日電車通勤をしている人に、
電鉄会社が、「飽きない電車」なんて言わないでしょう?
しかし、「ほぼ日」は、
手帳も飽きないで使って欲しいと考えるのです。
だから、工夫もします。
使い方についても、いろいろ情報をだします。
そんなことを、見事に表現してくれています。


だんだん、コピーに自信のある人は、
読むのがいやになっているかもしれません。
しかし、本職のコピーライターや、
ディレクターの人たちは、ぐっとヒザを乗り出してるはず。


◆うちのおかあさんは主婦だけど、
 プレゼントしようかな、ほぼ日手帳。

(ほまれさん)


【審査評】

「まんまやんけ?!」と、また思っているかもしれません。
いいんです、「まんま」で。
かつては「主婦には必要ない」のが手帳だったのです。
しかし、実際には、主婦にも、主婦にこそ必要なのです。
別に、テレビ番組の予定を書いてもいい、
うれしかったことを書いてもいい、献立をメモしてもいい、
頂き物をもらったら相手の名前を書いてもいい、
美容院に行った日を記しておいてもいい、
読んだ本の感想を書いておいてもいい。
「ほぼ日」は、手帳があることで変わる生活を提案したい。
そういうことを、読み取ってくれているキャッチフレーズ!


コピーを書くということは、そのモノについて、
読んでくれる人のことについて、
それを言うための媒体について、言う時代について、
想像するということなんです。
優しい人はいいコピーを書けると、ぼくは思いたい。
次のキャッチフレーズは、どうかな?


◆まいにち、だいすき。

(Hirokoさん)


【審査評】

ほんとうは、このキャッチフレーズはウソです。
「毎日、大好き」なんてこと、なんて人はありません。
そうはいかないんです、毎日を生きていれば。
だけど、そう言いたいんだと思います。
だから、現実からちょっと浮かした感じに、
ぜんぶを「ひらがな」で書いているのだと思います。
つらい日もあるけれど、
「まいにち、だいすき」な気持ちでいたい、という
夢がキャッチフレーズになっています。
で、その「まいにち」をていねいに送れるために、
「ほぼ日手帳」があるといいぞ、というわけですよね。


ちょっと女性的な感覚のものが続いたかな。
中性的、男性的というキャッチフレーズも探してみますね。


◆書く、読む、笑う、おまけ付き便利手帳

(ヒデさん)


【審査評】

ぜんぶの取り柄を入れ込んでいると思うんです。
その取り柄のひとつに、「笑う」があるところが、
「ほぼ日手帳」の個性なのですよね。
「笑う」を入れようとしてつくられている手帳は、
「ほぼ日手帳」以外に、あんまりないような気がします。
オフィシャルな顔つき、おしゃれな表情のままで、
しかも「笑い」を入れているということが、
ぼくらの自慢なんです。
わかってもらえて、うれしいかぎりです。

さて、ここまでで、もう5つになってしまった。
あと5本、どういうのを選ぶんでしょうかね、自分。


◆ココロの余裕が足りない日でも
名言、迷言に、救われる。

(キートンさん)


【審査評】

そうなんですよね、読むという機能が、
「ほぼ日手帳」のとても大きな特長なんですよね。
実際、この一年間「ほぼ日」に掲載された言葉を、
ここに書き写しているだけとも言えるわけでして。
逆に言えば、こういう言葉が、
いつも「ほぼ日」には掲載されているんですよ、という
インターネットの「ほぼ日刊イトイ新聞」の
宣伝にもなっているんです。
ちょっとヒマな時間、手持ちぶさたな時、
「ほぼ日手帳」を読んでいました、というような利用法が、
かなりたくさんのユーザーから聞こえてきます。
ココロの余裕が足りない日のために、
ほんとに「しょうーもない迷言」も掲載されてますよ。


次は、ちょっと技巧的なやつ、かな?


◆未来の玉手箱、ほぼ日手帳2005!

(takuyaさん)

【審査評】

こう、なんかちょっとキャッチフレーズとして、
さまになっているような、収まりのいい作品ですよね。
しかし、こういうのは、逆に素通りされやすいんです。
だから、そういう意味ではボツなんですが。
言いたい内容は、なかなかおもしろいと思うんです。
「何年か後に見直した時にいい思い出が
ぎっしり詰まっているでしょう」と、
takuyaさんがメールに記してくれていますが、
たしかに、しっかり書き込んである手帳って、
その年に役立つだけでなくて、自分の貴重な記録として、
未来に役に立ったりもするわけですよね。
文字でつくるアルバム、みたいになるわけだ。
そういう機能は、「ほぼ日手帳」みたいに
書き込むスペースがたっぷりないと無理ですよね。
ただ、「玉手箱」ってさ、開けたら煙がでてきて、
おじいさんになっちゃう、というオチがあるでしょ。
それが、ちょっとイタダケナイかな。

さぁ、まだまだある?
あんまりなさそうかな?
あったあった。


◆大人ぶりたいそんなアナタのほぼ日手帳

(suzume-hahaさん)


【審査評】

言葉のリズムがよくないんで、損をしているかもね。
「大人ぶりたい人に」でも、同じことは言える。
でも、この語呂の悪さも含めて、
愛すべき、という感じが伝わってくるんだよなぁ。
「ほぼ日手帳」でオトナぶることができるかどうか、
については、ぼくらも保証できません。
でも、1日1日をコントロールしている感じは、
「ほぼ日手帳」を使いこなしているうちに
身についてくると思うんです。
「なになに‥‥ケーキ材料買い忘れるな、とな」
なんて、ね。自分からの命令に納得したりして。

さぁ、あと2本しか選べません。
どういう傾向のものになるでしょうか。


◆予定を立てがちになる。

(とらさん)


【審査評】

これ、同じようなコンセプトで、
「生活が変わる」というのがけっこうたくさんあった。
その通りだと思うのです。
それこそが、「ほぼ日手帳」の神髄だと思うのです。
で、それを言うのに「予定を立てがちになる」という
妙にユーモラスな感じが、おもしろいですね。
「なんか書き込みたいなぁ。
DVDでも観るか、よし借りに行こう」みたいな感じで、
行動を手帳が促すっていうのはあると思うんです。
「あいつにでも会ってみようかな」とかね。
そのぶんだけ、濃いめの人生に変わっているということで。
いいことですよねー。

さぁ、最後に1本。


◆生活をはさめ! ほぼ日手帳。

(いつかさん)


【審査評】
そうなんですよねー、カバーの素晴らしさについて、
しっかり伝える必要があるんですよね。
手帳本体、チケットや名刺、保険証、カード、現金、
手紙、ハガキ、地図、好きなだけなんでも、
余裕をもってはさみこめる。
このカバーがあるからこそ、
「ほぼ日手帳」本体のよさも引き立つのだということを、
思い出させてくれています。
この重大なメリットを、言い忘れそうになっていました。

さ、これで計10本。
とても上手なキャッチフレーズだとは思わないほうがいい。
応募した他の方々も、がっかりしないほうがいい。
でも、何かいいところがあって、選ばれたものです。
しっかり、新しいファンを惹きつけてくれると思います。
ありがとうございました。おめでとうございました。
さぁ、どんな素敵な「たいしたことないもの」を送るか、
これからじっくり考えます。
待っててくださいね。

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