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LIFEのBOOK ほぼ日手帳

LIFEのBOOK ほぼ日手帳

高校ラグビー部を強くするために、
「ほぼ日手帳」を活用している学校があります。
早稲田大学高等学院ラグビー部は、
高校ラグビーの全国大会「花園」に
過去3度の出場成績を誇る古豪のチーム。
高校OBの吉谷吾郎ヘッドコーチは、
会社勤めをしながら週末に指導をしています。
選手とコーチの間の距離と時間を埋めるために、
「ほぼ日手帳」を部員全員で使っているそうです。
「ほぼ日手帳」の導入から半年が経った頃、
部活中の高校生のもとを訪れて、
吉谷ヘッドコーチと選手、それぞれの声を聞きました。

※この取材は2017年5月末におこないました。

1ほぼ日手帳で見守るコーチ

ーー
吉谷ヘッドコーチ、よろしくお願いします。
ラグビー部の全員で「ほぼ日手帳」を
使っていただいて、ありがとうございます。
チームで使ってみて、いかがでしたか。
吉谷
僕は3年前からこの学校でコーチをしていて、
ほぼ日手帳の導入は、今年からになります。
2017年の一発目の練習の時に、
「明日、この手帳を買ってきて」と伝えたんです。
高校生の彼らからしたら
「ほぼ日」も「ほぼ日手帳」も、
知らないものだろうから、驚いたと思います。
ーー
たしかに、男子高校生はピンとこないかもしれません。
「ほぼ日手帳」を使うまでは、
どうやって練習を管理していたのでしょうか。
吉谷さんは会社員だから、
毎日の練習を見るわけにもいかないだろうし。
吉谷
2016年まではスマホのアプリを使って、
その日の練習のよかったこと、悪かったこと、
気づきをリーダーたちから共有してもらってました。
ミーティングの資料や練習メニューを共有したり、
ケガの状況を把握したりするためのものですね。
僕は休日しか練習を見てあげられませんが、
平日の練習もちゃんとやっていないと、
絶対に強くはなれないので。
ーー
平日のほうが、日数は多いですもんね。
吉谷
アプリでの報告は受けていたんですが、
去年は、目標にしていたところまで届かなくて、
何かを変えなきゃなと思ったんです。
負けた試合を振り返ってみると、
僕らコーチ陣が、与えすぎていたと気づきました。
選手も言われたことはできるけれど、
それ以外のことが目の前に起きると、
試合中に選手の動きが固まってしまった。
ラグビーの試合って、
同じ状況や景色は一度もないんですよ。
だから、グラウンドに立つ選手には、
自分で考えてもらわないといけないんです。
自分で考える機会を与えたくて、
手帳に記録をつけさせようと思いました。
ーー
高校生のみんなは手帳を持ったことも、
あまりないと思うのですが、
吉谷さんが求めるような書き方は
最初からできていたのでしょうか。
吉谷
書くことをガチガチには決めていないんです。
体重管理のことがメインで、
食べたものと体重、筋トレの記録。
ベンチプレスの何キロを何回挙げた、
ということだけは書くように指示しました。
あとはもう、自由に使ってもらって、
学校のテストのことを書く人もいるし、
テスト期間になると白紙になっちゃう人もいます。
最近では、その日の自分の悩みとか、
個人的なことも全部書くように伝えています。
ーー
当初の目的は、体重管理だったんですね。
言われてみれば、高校に入ってすぐなんて、
みんなヒョロヒョロだもんなあ‥‥。
吉谷
やっぱり、体格の差は大きいです。
「ほぼ日手帳」を使う前は、
僕が部員の体重を管理していました。
データをまとめて目標数値をグラフにして、
ある程度の成果もでました。
ただ、僕の負担が増えているわりに、
「やれ」と言われたからやっている
感じになってしまったんですよね。
毎日体重を測っていなかったりもして、
まずは、その意識から変えたかった。
何を食べたのか、今日の体重は何キロか、
しっかりと記録を残すために、
手帳を使うように指示したんです。
ーー
「ほぼ日手帳」を選んでいただいたのは、
もともと、ご自身が使っていたから?
吉谷
僕も使っていますが、仕事がメインで、
ラグビーとは関係なく使っていました。
大学の5つ下の後輩に、
布巻峻介というプロラグビー選手がいて、
今は「パナソニック ワイルドナイツ」という
チームに所属しているんですけど、
布巻が、手帳を使った感想を教えてくれたんです。
ーー
おお、プロの選手が。
吉谷
僕の使っていた「ほぼ日手帳」を布巻が見て、
欲しいと言っていたからプレゼントしたんです。
久しぶりに会って手帳を見せてもらったら、
「日本代表になる!」って決意を書いていたり、
いろんなことを書き込んでいたりしたんですよ。
それで、手帳を使いはじめた半年後に
本当に日本代表にもなっているんです。
ーー
スケールの大きな話ですね。ありがたいです。
(布巻選手へのインタビューは、
「ほぼ日手帳公式ガイドブック2018」
掲載しています)
吉谷
布巻にはオリジナルを渡したんですが、
次の年には自分でカズンを買っていました。
どうしてカズンにしたのか聞いてみたら、
「ウェイトルームとかグラウンドに持っていって、
雑に書くことがいっぱいあるから、大きいほうがいい」
と言っていたんですよね。
それに、布巻は手がでかいんで、
小っちゃいサイズだと苦労したみたいで(笑)。
高校のラグビー部で手帳を導入する時にも、
1年使ってくれた布巻が言っているなら‥‥、
と思って、カズンにしました。
ーー
理想的なモデルがいたから、
カズンになったんですね。
吉谷
そうです、そうです。
布巻にもアドバイスを貰いましたもん。
ミーティングのメモ、食べたもの、
体重を書いたほうがいいと言ってくれて、
それは参考になりましたね。
布巻は、高校にもよく教えに来てくれるんです。
部員のみんなにとっても馴染みのある選手だし、
「日本代表が言うなら、僕らも使うか」
みたいに思ってくれたんじゃないですかね。
やっぱり、彼らにとっては「あの布巻選手」なんで。
ーー
高校生たちが手帳を使い始めて、
変化は感じていますか?
吉谷
僕と選手たちとのコミュニケーション量が
圧倒的に増えていますね。
今までは誰とも話せない週もあったし、
みんなが考えていることもわかりませんでした。
今は、週末に積まれた手帳を見て、
交換日記みたいに使っているので。
ーー
全員の手帳を見ることは大変そうですが、
部員のみんなに何かを書いたりもしますか。
吉谷
僕は、観察するのが趣味なんです。
練習中に気になる選手がいたり、
たとえば、いつもは練習の30分前に来るのに、
今日は5分前に来たような人がいたりしたら、
こちらからのメッセージとして、
「お前のこと見てるよ」という内容を書きます。
「あの時、ああいう態度してたでしょ」
みたいなことを書いたりとか。
ーー
「俺のこと、ちゃんと見てくれてるんだ」
というのは、嬉しいですね。
吉谷
本気で叱った時にも、そこで終わらせずに、
手帳に説明を書くこともできるから、
コミュニケーションが取れて助かっています。
みんなの手帳を見ていると、
試合のあとに「ここがダメだった」と
きちんと自分の反省を書いていると、
やっぱり嬉しいですね。
自分で考える力をつけてほしくて始めたので。
ーー
吉谷さんが就任されて、今が3年目。
自分が指導してきた1年生が3年生になって、
今年は芽が出るんじゃないかという年ですね。
吉谷
本当にそうです。
今年がたぶん一番成果が出ると思います。
現に今、チームの調子がいいんですよ。
前の年に戦った相手との差が
縮まっているのが分かるんです。
相手も伸びているとは思いますが、
それよりも、僕らは伸びている。
ーー
チームの目標と、部員のみんなへの
今後の期待は何かありますか。
吉谷
僕は本気で全国大会出場を目指していますが、
今後への期待のほうが大きいですよ、本当に。
もしも全国へ行けなかったとしても、
何も残らないのはすごく嫌なんです。
ラグビーから、人間にとって
大事なことを学んでほしいですね。
ラグビーはきっと、どんなスポーツよりも、
いいヤツじゃないとできないと思うので。
僕もコーチとして、卒業した子たちが、
きちんと自分に挨拶に来てくれるような
いいコーチにならなきゃいけないなと。
ーー
人間性が出るスポーツなんですね。
ラグビーでのいい人は、
どう「いい人」なんでしょうか。
吉谷
ラグビーでの「いい人」は、
相手のために動ける人ですね。
人のことを考えて、人のために動ける人です。
自分本位のプレーは、絶対にダメ。
日本代表も、みんないい人ですよ。
選ばれるためには、人間ができていないと。
仮に高校で通用したとしても、
将来は伸びないという例もたくさんありますから。
ーー
たしかに、日本代表の選手も印象がいいです。
ちなみに、吉谷さんご自身は、
「ほぼ日手帳」をどう使っているのでしょうか。
吉谷
僕はあまり使い方を決めつけていなくて、
ラグビーのことも、仕事のことも、
思ったことは何でも書いています。
自分が何かを見て思ったことを記しておいて、
振り返る時に「あの時、ああいうこと考えていたな」
というメモを2行に収まるように書いています。
ーー
2行は、かなり短いですね。
吉谷
ほわっと、そこだけ浮き上がってくるような感じです。
仕事では、僕のチームの後輩たちも
ほぼ日手帳を使っているんです。
会社の僕のチームでは大活躍してます。
みんな毎日、どこへ行くにも持ち歩いて、
僕が言ったことのメモを取ったりして、
真面目だなあと思いますよ。みんな書いてますから。
新入社員の新卒の子には、僕が手帳をプレゼントして、
人から教わったこと、怒られたこと、
できるようになったこと、
全部を書かせるようにしています。
紙の手帳って、仕事のマネジメントに、
すごく向いていると思うんですよね。
ーー
デジタルで予定を共有するのと、手帳に書くこと、
何か違いを感じることはありますか。
吉谷
全然違うと思いますね。
デジタルならみんなでシェアできて便利ですけど、
紙は、1対1で共有できることがいいですね。
パーソナルな悩み相談や、アドバイスができます。
手帳を見せてもらう時には、
その人に向けて、メッセージを書いています。
ーー
ラグビーでも、仕事でも、
マネジメントする心構えが変わってきそうですね。
それでは、部員のみなさんの手帳も
見させていただきます。
吉谷
ええ。ぜひ見てやってください。
ーー
ありがとうございました!

(つづきます)

2017-11-24-FRI