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LIFEのBOOK ほぼ日手帳

LIFEのBOOK ほぼ日手帳

2018年の「ほぼ日手帳」には、
ビートルズをモチーフにしたカバーが登場しました。
世界でいちばん有名なバンドを、
世界に少しずつ広がりはじめている
「ほぼ日手帳」のカバーにするのは、
なんだかとてもいいことのように思えたのです。
さて、その発売を記念して、
十代のころからビートルズに影響され続けてきた、
糸井重里にたっぷりと話を聞こう、としたのですが‥‥。
「ビートルズを語るなんて‥‥!」
そう、誰もが知る偉大なバンドだからこそ、
あらためて語るのは難しい。
でも、それを承知で、あえて語ってもらいました。
ビートルズって、なにがすごいんでしょう?
「ビートルズこそ、我が青春だ」という人も、
「ビートルズって、どこがいいの?」という人も、
どうぞご一緒におたのしみください。
そうそう、10月5日には、六本木のライブハウスで
「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」も開催します。
そちらのお知らせにもどうぞご注目ください。


※「ほぼ日のビートルズ・ナイト!」は終了しました。
当日の簡単なレポートはこちら

01

「‥‥好きっ!」
乗組員A
こんにちは、みなさん。
乗組員B
今日は、糸井重里さんに、
ビートルズについてたっぷり語ってもらおう!
という企画です。
乗組員C
たのしみですね!
糸井
‥‥むずかしいなぁ。

乗組員A
わかりますわかります。
乗組員B
いきなりは語りづらいかと思ったので、
導入として、去年、糸井さんが
ビートルズについて書いた原稿を用意しました。
糸井
あ、そうなの?
乗組員C
こちらをお読みください。

2016年9月13日の「今日のダーリン」より

・知り合いでも友人でも、むろん家族でもないのに、
一度も会ったこともない数歳年上のこの4人組のことを、
ぼくはどれだけたくさん考えてきただろうか。
そして、見たり聴いたりしてきたのだろうか。
いまさら、「ビートルズはお好きですか?」なんて、
正面から質問されたとしたら、たぶん、ぼくは、
「まぁ、世代が世代だからね」などとお茶を濁して、
あんまりファンってことでもないんだというような、
ちょっと醒めた態度をとってしまうかもしれない。

しかし、じぶんのやってきたことを思い出すと、
ビートルズの成分が血の中に流れているのがよくわかる。
若いとき、そのあと、いま、つまりずっと、
ビートルズっていいよなぁと感じていた。
ぼくもすっかりオトナになってしまったので、
神と崇めるだとか、ビートルズがすべてだとかいうような
「ビートルズ原理主義」になったりはしない。
いいところはいいと思うし、あれはちょっとなと思えば、
率直にあれはちょっとと言えたりもする。

それでも、ビートルズよりもたくさん聴いた音楽は、
他にちょっとないということは確かだ。
いまでも、なにを聴こうか迷ったときには、
自然にビートルズを聴いている。
「そういう古くさいおやじ、よくいるよね」と、
ひとまとめにされてバカにされているかもしれない。
でも、しょうがない、否定もできない。
実際に、そういうおやじのひとりなのだから。

『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』という
ドキュメンタリー映画の試写があって、
ついついいそいそと出かけてしまった。
ワーでもキャーでもないのだけれど、いまさらだけど、
魅力的なバンドだったんだよなぁとか、
かなりの長い間、仲のいいチームだったんだとか思った。
まったくビートルズを知らない人は、
この映像をたのしんでくれるだろうかなんて、
余計な心配もしつつ、いろんなことを考えていた。
そうなんだよなぁ、ビートルズは、ぼくを、
いつでもクリエイティブにしてくれるんだよなぁ。

糸井
‥‥うん。そういうことだよ。
それじゃあ、そういうことで。
乗組員A
いや、終わりじゃなくて。
乗組員B
はじまったばっかりです!
糸井
ええとね、まあ、ぼくは
あんまりビートルズで知ったふうな口を
ききたくないんですよ。
乗組員A
じゃあ、まず、そのあたりから、
語っていただきましょう。
糸井
まあ、あれだ、ビートルズに影響を受けたり
憧れたりした人はものすごくたくさんいてね、
たとえ何年経ったとしても、
その人たちのなかには「ビートルズ」が
脈々と血として流れていると思うんです。
乗組員C
はい。
糸井
それはもう、妄信的に、
「ビートルズが大好きだ!」って
言ってるような人ばかりじゃなくて、
「ちょっとは聴いたかな」
っていう人の中にだって流れてるんだよ。
だって、当時は、それくらいずっと
ビートルズが流れていたからね、
そんなに縁がないという人だって、
ビートルズの曲を聴いてたんです。
だから、ミュージシャンとか、
いわゆるクリエイティブな仕事をしている人は
みんなビートルズの影響を受けてるし、
嫌いだった人以外は全員‥‥
いや、嫌いだったっていう人も含めて、
ビートルズの影響を受けてると思うね。

乗組員B
嫌いだった人も!
糸井
だいたい嫌いだっていう人はね、
「俺はローリングストーンズがいい」とかね、
「やっぱりキンクスだ」とかね、
あえて、違うバンドを持ち出してきたりするんだ。
でもそれは、ビートルズがあってこその、
「ビートルズじゃないもの」として
逆側に体重をかけるものとして、
他のバンドを選ぶわけだよ。
そりゃもう、影響を受けてるのと同じだよ。
乗組員A
ああ、そうですね。
糸井
ビートルズが現役のバンドだったころは、
そんなふうにして、ビートルズを軸にして、
みんなが音楽を聴くようなところがあった。
で、ビートルズが解散してからは、
新しい曲は出ないんだけど、
いろんなものを残していったからね、彼らは。
それを掘り出したり、伝えたり、
何回も何回も聴いたりして、
人から人へと広がっていったんだよね。
それこそ、世界中に、世代を超えて。
乗組員C
そうですよね。
私は、ここにいる中では、
ビートルズを知らない方なんですけど、
それでも、教科書とかコマーシャルとかで
当たり前にビートルズの曲は知っていて。
糸井
広めたいんだよね、ビートルズを。
たとえば、ぼくの知っているある男なんかは、
その典型的なタイプで、
息子を幼稚園に送るときの車の中で
ずっとビートルズをかけてたわけだよ。
まあ、ある種の洗脳のようなものだよ。
おかげでその子は、幼くして
すっかりビートルズの曲を暗記してしまって。

乗組員A
‥‥それ、うちの子じゃないですか。
糸井
うん、永田くんちなんだけどね。
乗組員B
名前言っちゃった。
乗組員C
え、それはほんとの話なんですか?
糸井
ほんと、ほんと。
乗組員A
うちの子、幼稚園で保育士の人に
「『ホワイル・マイ・ギター・
ジェントリー・ウィープス』うたって!」
って言って、困らせたりしてた。
乗組員B
わははははは!
糸井
そういうおかしなことになっているのも、
ビートルズというものの力なんですよ。
それはいったい、なんなんだろう? と。

乗組員A
なんなんですかねぇ。
乗組員B
なんなんですかねぇ。
乗組員C
なんなんでしょうねぇ。
糸井
なんなんだろう、ということで、
昔からみんながビートルズを語るわけだけど、
明らかにいえるのは、
ビートルズを語るということは、
自分を語るということなんですよ。
だから、何度も言うけど、難しいし、
安易にやるとちょっと危ないんだよ。
乗組員B
なるほど。
糸井
世の中に影響を与えるバンドとか芸術家は
ビートルズのほかにもいっぱいいるんだけど、
ビートルズは世界にまき散らされた
情報量が群を抜いて多くて、
自分の中にそれが流れてるから、
ちょっとビートルズを語るだけでも
「オレ語り」になっちゃう。
だから、ビートルズについて
夢中になって語っている人どうしって、
「ここはオレとおまえは重なるな」って
妙にわかりあったり、逆に、
「オレのほうがすごいぞ」って
必要もないのに争ってしまったり、
思わぬ方向に転がったりするんですよね。
そういう意味では、
ひとりがビートルズを語るときには
「オレがいてよかったな、オレよ」みたいな、
「オレ肯定」がされるわけですよ。
乗組員C
「オレ肯定」(笑)。
糸井
そんなものは、なかなかないですよ。
なんだろう、これは。
誤解を恐れずに言えば‥‥っていうと、
乱暴なことを言いますよ、
っていうサインなわけだけど、
さらにもうひとつ余計に
「誤解を恐れず言えば」と重ねたうえで
極端なことを言ってしまうと、
ビートルズって、マルクスに近いかもね。

乗組員B
え、マルクス!?
糸井
だって、マルクスのことを、
みんな知ったかぶりするじゃない?
「世界を変えた」ぐらいのことを言うし、
影響下にないかのようにしているけど
影響下にあるものだらけじゃない?
まあ、ビートルズとマルクスを並べたら、
ジョン・レノンが、
ビートルズがアメリカを
席巻しているときの記者会見で
「ぼくたちはキリストよりも有名だ」って言って、
ものすごく怒られたときみたいに
なっちゃうかもしれないけど、
「ある意味、そうかもね」というくらいに、
世界に大きな影響を与えたと思うんだよね。
‥‥と、このくらいのことを言っておいて、
当然、ぼくもビートルズに影響を受けました、
と、ようやく言えるわけだけど。
乗組員B
ははははは。
乗組員C
ようやく(笑)。
糸井
うん(笑)。
で、やっとつぎのステップに進んで、
「じゃあ、あなたはビートルズのどんなところに
どんなふうに影響を受けましたか?」
っていうことになるんだろうけど。
乗組員A
はい。お願いします。
どういう影響を受けましたか?
糸井
‥‥困るなぁ、それ。
一同
(笑)
乗組員B
めずらしく本当に困ってますね。
糸井
だって、ほんとのほんとを言えば、
ただただ「‥‥好きっ!」って、
それだけになっちゃうからさ。

一同
(笑)
糸井
いや、笑うけどさ、ほんとにそうなんだよ。
だって、オレ、いまでも古い映像とかで、
ジョン・レノンが歌ってたり
しゃべってたりするのを見ると、
「‥‥好きっ!」って思う。
乗組員C
糸井さんが、こんなに愛を語るなんて(笑)。
乗組員A
声がちょっとひっくり返ってますからね。
糸井
ひっくり返ってるというか、
完全にオカマ声だよ。
乗組員B
わはははは。
糸井
‥‥好きっ! たまんないッ!

一同
(笑)
糸井
もう、純粋だともいえるし、
子どもじみてるともいえるんですよね。
もう、その意味では、ばかなんです。
「じゃあ、ジョンのどこが好きなの?」って
ばかなオレが聞くんですよ、ばかなオレに。
そうすると、ばかなオレはこう答えるわけだ。
「うーん‥‥‥‥顔?」って
乗組員A
「顔」(笑)。
乗組員C
顔なんですか(笑)。
糸井
たとえば、顔だよ。
乗組員B
ビートルズは、「顔」。
糸井
で、もうひとつは「声」。
もう、どっちがどっちだかわかんないぐらい、
顔で、声なの。
ああ、なんてばかな答えだろう(笑)。

一同
(笑)
糸井
つまり、そういうぜんぶなんだよね。
だから、たとえば、
初期のジョンの演奏スタイル、
ちょっとこう、ガニマタで、
アゴを突き出すようなさ。
乗組員A
ショートスケールのリッケンバッカーを
ちょっと高い位置で弾くような。
糸井
そうそうそうそう、
もう、ぜんぶ「‥‥好きっ!」。
乗組員C
歌は?
糸井
歌はついてくるに決まってるじゃん!
歌のすばらしさも、ことばのよさも、
「顔」と「声」についてくるんだよ。

(つづきます)

2017-09-12-TUE

ほぼ日のビートルズ・ナイト

ほぼ日手帳2018の
The Beatlesカバー発売を記念して
10月5日(木)19時より、一夜限りの
トーク&ライブイベントを開催します。
ゲストに迎えるのは、
現存する日本最古のロックバンド
「ムーンライダーズ」の鈴木慶一さん。
ゲーム「MOTHER」の音楽を手がけ
ほぼ日でも何度も登場していただいていますが、
今回、久しぶりに「ビートルズ」をテーマに
糸井とおしゃべりにやってきます。

そして今回は、ビートルズ気分を盛り上げるべく
六本木のライブハウス
「ABBEY ROAD」を貸し切りに!
実はここは、毎晩のように
ビートルズのトリビュートバンドによる
生演奏が聴ける、
ビートルズ専門のライブハウスなんです。
トークの合間には、ビートルズナンバーの生演奏を
たっぷりとおたのしみいただきます。
着席スタイルなので、食事やドリンクを楽しみながら
ゆったりとお過ごしください。

演奏するのは、「ザ・パロッツ」のみなさんです。
彼らは、イギリスのリバプールで開催されている
世界最大のビートルズフェスティバルに出場したり、
来日中のポール・マッカートニーから
プライベートパーティーに招待され、
本人と共演したこともある実力派バンド。
何の曲を演奏してくれるのかは
当日のおたのしみに!

ビートルズファンの方はもちろん、
「ひさしぶりにライブでも行ってみようか」という方や
「ビートルズのことは、あまり知らなくて」という方も、
みんなでいっしょに、
「ビートルズ・ナイト!」をたのしみましょう。

※申込み受付は終了しました。

出演

鈴木慶一(ムーンライダーズ)
ザ・パロッツ
糸井重里

日時

2017年10月5日(木)
18時開場
19時開演(21時終演予定、22時閉店)

会場

ABBEY ROAD(アビーロード)六本木
東京都港区六本木4-11-5 六本木ビル アネックスB1F

・東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」
(6番出口・7番出口)より徒歩3分

・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」
(3番出口)より徒歩8分

席数

80席(全席指定)

※6歳未満の方はご入場いただけません。

※全席指定
(お席はお選びいただけません。
2名様以上でお申込みの方もできるだけ
お近くでご覧いただけるようにいたします)

※会場内は禁煙です

価格

6,000円(税込み)

※このほか、当日は会場にておひとり様2品
(1ドリンクと1フード、または2ドリンク)の
ご注文をお願いいたします。
ご飲食代の総計に15%のサービス料がかかります。

販売方法

抽選販売

※おひとり様最大4枚まで申し込みが可能です。

抽選販売受付期間

2017年9月12日(火)午前11時〜9月14日(木)午前11時

支払い方法

当日、会場受付にて
現金またはクレジットカード(Visa、Mastercardのみ)で
お支払いください。

※領収書が必要な方はお申し出ください。

その他

当日はカメラマンが対談、ライブの様子を撮影いたします。
「ほぼ日」はじめ他メディアに掲載の可能性がありますので
あらかじめご了承ください。

お申込み~抽選~当日までの流れは
以下となります。

※申込み受付は終了しました。