2012.06.01
フィボナッチ数列? 黄金比?
「ほぼ日手帳」にひそんだ
美しさとは?

先日、読者の方から
このようなメールが届きました。

先日、手帳を開き何を書こうか考えているときに
ふと思い出したことがあり、
デイリーページのマス目を数えていくと
美しいデザインに欠かせない比率を見つけました!

黄金比、フィボナッチ整列など
世の中のあらゆるデザインに使われている
あの「1:1.618(近似値)」、
「5:8(約)」の比率です。

Appleのロゴマーク(フィボナッチ数列)、
モナリザ(黄金比)など
私たちが日ごろ見慣れている
あらゆるデザインに使われているこの比率が
いつも見ているデイリーページの中に
あったのを今更気づきました。
さすが、みんなに愛されるほぼ日手帳です。
もう数年使っているのに気づくの遅くてごめんなさい。

(jade)

おおーーー。
このかたは「ほぼ日手帳」のなかに、
美しいものや自然界に
よく見られると言われている「比率」、
すなわち「黄金比」「フィボナッチ数列」といったものを
発見されたようです。
わかりやすい写真も添付されていました。

なるほど、なるほど、
いや、これはなかなか鋭いですね。
「ほぼ日手帳」は、使いやすさや楽しさ以外にも、
こんな審美性を秘めているのではないですかと、
そういうことですね。
これは、ほぼ日の乗組員といえど目からうろこです。

ぼくもデザイナーだからわかりますが、
浅薄な知識だけでは、このような比率を
デザインに取り入れることはできません。
きっと、深い知識と卓越した技術によって
苦労してデザインされたに違いありません。

そのあたりのお話を、
さっそくデザインを担当者した
佐藤卓デザイン事務所の日下部さんに
確認したいとおもいます。

と、その前に、
「黄金比」や「フィボナッチ数列」を
ご存じない方のために、
このデザイナー・オカムラがすこしだけ解説しましょう。

「黄金比」とは、1:約1.618の比で、
最も美しい比率とされています。
ピラミッドやパルテノン神殿などの建築物や、
レオナルド・ダ・ヴィンチ、葛飾北斎などの作品にも
この比が見られるといいます。


ウィトルウィウス的人体図(レオナルド・ダ・ヴィンチ)


富嶽三十六景・神奈川沖浪裏(葛飾北斎)

え? 知ってる? そうですか‥‥
では、フィボナッチ数列はどうでしょう。

「フィボナッチ数列」とは、
「0、1」ではじまる数列で、以降の項は
前2つの項の和になっているという数列です。

0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55‥‥

これがなんなんだというそこのあなた!
あせらないでください。
これは、隣り合う数の比が、
だんだん「黄金比」に収束していくんです。
たとえば、隣り合う数「5」と「8」。
つまり「5:8」です。
各項を5で割ると、「1:1.6」になります。
「8」と「13」では「1:1.625」、
「34」と「55」では、「1:1.617647‥‥」となります。
「黄金比」に近づいているのがわかりますね。
わかりますね? わかりますよね?

「黄金比」や「フィボナッチ数列」は、
自然界にも多く見られるといわれています。
ひまわりの種をらせん状に数えると、
フィボナッチ数列を成すといいますし、
巻貝の中や植物に黄金比が見られるとか、
あげればキリがありません。

しかし、自然界はもとより、美しいものには
他の比率、数列で表せるようなものもたくさんあります。
黄金比でなければいけないとか、
フィボナッチ数列だからすばらしいとか、
そのように短絡することはできないでしょう。
いや、それでも、だからといって、
黄金比が‥‥‥‥はっ!
すみません、つい夢中になってしまいました。

ええと、なんでしたっけ?
ああ、そうそう、
「ほぼ日手帳」の黄金比について確認するのでした。
それでは、佐藤卓デザイン事務所の日下部さんに
確認してみたいと思います。

日下部さん、発見しましたよ、
「ほぼ日手帳」に隠された黄金比!
いやー、さすがですね。

「黄金比? どこにですか?
 あ、へ〜。
 全然、意識してなかったんですけど‥‥

 おちつくデザインをつきつめていったら、
 そうなったってことですね。」

‥‥‥‥。
‥‥さまざまな考え、深い思慮、人類の叡智、
そういったものが、あの、幾重にも絡み合って、
「ほぼ日手帳」はデザインされている、
という解釈でいいのではないかと、思います。うん。

みなさんも「ほぼ日手帳」について、
こんなこと気づいたよ、ということがあれば、
ぜひ、techo@1101.com までお知らせください。

(オカムラ)