HOBONICHI TECHO 2011
思いをのせたファブリック。 皆川 明さんに聞きました。 <sleeping rose 編>

昨日につづき、大人気のファブリックカバー、
<memories of rain> <sleeping rose>について、
皆川 明さんにお訊きしたインタビュー後編です。
きょうは、<sleeping rose> を中心に、
お届けします。


ーー <sleeping rose> は、
細かなバラの花が生地いっぱいに
緻密に描き込まれています。
その点で、 <memories of rain> とは対照的ですね。
皆川 こちらは、ひとつの興味から
はじまったことなんですが。
ーー はい。
皆川 リバティ社が、どのくらいの細密なプリントの
再現が可能なんだろうか、と。

リバティのプリントのクオリティが
とても高いことは、生地を見るとわかります。
で、実際それは、どのくらいまでの
細密な表現が可能なのか、
そのプリントの技術力とこだわりを、
自分の目で見てみたいという気持ちがあったんです。
ーー それで、あえて緻密に描き込んだデザインを。
皆川 はい。これは輪郭線など、
とても細かいタッチで描いています。
ややもすれば、つぶれてしまいそうな細い線です。
それが、かなり細密に再現されているので、
やはりとてもこだわりのある
ブランドなんだなということがよくわかりました。
ーー あの、たとえば、どういうところに
注目すればいいんでしょう。
皆川 あぁ、そうですね。たとえば、
とくにこの黒い線は、とても細く描いていて、
点描のようなタッチで描いているところもあるので
プリントの版を起こすのもむずかしい柄なんです。

それが、にじんだり線がかすれてしまうこともなく、
とても細密に再現されています。
プリントの段階でも、かなり細かいメッシュを使って
デリケートにプリントされているんだと思いますね。
ーー なるほど。
ちなみに原画というのは、どのくらいの大きさで
描かれているものなんですか?
皆川 実寸で描いています。
オリジナルはイギリスに送ってあって
いま手元にはないんですが、
これが原画のコピーです。

これをリピートして、
大きな生地にプリントしているんです。
ーー うゎー、すごい繊細ですね。
皆川 版画のエッチングのようなタッチで、
エッジをきかせて描いたものですね。
ーー なるほど、ほんとに緻密に。
ペンで描いて、色は‥‥
皆川 絵の具で、少し色をおくだけ。
塗るというよりはおいていく感じです。
ーー 思ったよりも面積が大きくて、驚きました。
皆川 あぁ、リピートの。そうですね、
だから、この範囲にある花は、
全部ちがうんです。
ーー ひとつひとつ表情がちがっていて、
だから、規則的に並んでいるのに
やわらかい印象なんですね。
皆川 あと、葉っぱもランダムにすることで、
自然なバラつきが出るようにして、
チェックのイメージももたせています。
ーー バラがチェックを形づくっているんですね。
それにしても、手帳の全面を
ほぼカバーしそうな面積を
すべて手描きされているとは‥‥
ためいきがでます。
途中で、あ、しまった、なんてことを
想像しただけでくらくらしますが。
皆川 (笑)たしかに失敗ができないので、
すごく慎重に描きました。
でも、やり直しがきかない絵に
向かっているときの緊張感とか
描いているときの高揚感とか、
それを含めて、絵に残せたらと思っています。
ーー <memories of rain> は子ども服で展開されていて、
こちらの<sleeping rose>は、
いま皆川さんが身につけていらっしゃるシャツが、
同じシリーズですね。
皆川 はい、これは生地にオーバープリントしたものです。
この生地は世界中で販売するということもあるので
うち(ミナ ペルホネン)らしくという意味で、
消してしまって、ところどころ見えるというのが、
うちらしい表現かなと思ったんです。
ーー 「ローズ・ガーデン」といったイメージだったのが
森の茂みの野バラといった印象にすっかり変わって、
とてもおもしろいです。

では最後に。
<memories of rain> と <sleeping rose>、
手帳カバーになったものを
ご覧になって、いかがですか。
皆川 ぼくは手帳というものを使っていないんですけど、
使ってみたくなりますね。
<sleeping rose>は、トラッドな印象があって、
リバティらしい感じもありますし、
この色なら、男女ともに使いやすいと思うので
うれしいなと思いますね。
<memories of rain>は、
ちょっとシミをつけても平気かも(笑)。

前編はこちら

とじる