とのまりこさんによる、タンピコレポート

アルカションのビーチで
うまれたもの。

タンピコの生みの親、
ニコルさんが4歳から青春時代を
過ごした場所「アルカション」。
ニコルさんにとっては、ここは、
青春時代の全てが詰まっている場所。
タンピコのデザインやブランドイメージなどは、
ここからインスピレーションを
受けているものも多いそうです。

▲ニコルさんお気に入りのアルカションにある、ホテルのレストラン。テラス席が気持ちいい!▲ニコルさんお気に入りのアルカションにある、ホテルのレストラン。
テラス席が気持ちいい!

今でもニコルさんと仲良しの2人の姉妹は
アルカションに住んでいますし、
ニコルさんとパートナーのディディエさんが過ごす
「週末の家」も、アルカションにあります。

▲ニコルさんとディディエさんが週末をすごす家▲ニコルさんとディディエさんが週末をすごす家

ちょっと話はそれますが、フランス人が
憧れるステータスのひとつがこの「週末の家」!
仕事のない週末やバカンス中は
いつもとは違う環境でのんびりリラックス
というのがフランスの一般的なスタイルです。

「週末の家」といっても、
豪華な別荘ばかりではありません。
場所や規模もピンからキリまで。
建て直しをしなくては住めないような廃墟や
昔の馬小屋だったようなところを安く買って、
自分たちでブリコラージュ(=日曜大工)をして
リノベーションをして住めるようにする人も多く、
必ずしもお金持ちだから「週末の家」を
持っているというわけじゃありません。

‥‥という予備知識のもと、出かけていった
ニコルさんとディディエさんの暮らす
「週末の家」には驚きました。

▲ソファカバーなどもタンピコバッグと同じ生地で全て手作りされたもの。すべて、ディディエさんの手によるものだそう▲ソファカバーなどもタンピコバッグと同じ生地で全て手作りされたもの。
すべて、ディディエさんの手によるものだそう

それぞれが工夫を凝らして、
インテリアひとつとっても人のマネをせず
独自の美意識をつらぬく一般的なフランス人とくらべても、
かなり素敵で、ゴージャスな立地と大きさ。
内装は全てディディエさんがやり直し、
買った時の家の面影は全く残っていないそうです。

▲屋根付きのテラスももちろんすべて日曜大工作品▲屋根付きのテラスももちろんすべて日曜大工作品

▲この日のランチ前のアペリティフももちろんシャンパンから▲この日のランチ前のアペリティフももちろんシャンパンから

さて、そんな「アルカション」は
ヨーロッパ最大の「ピラ砂丘」で有名な
高級ビーチリゾートです。

ホテルが立ち並び、遊覧船にディスコ、
カジノ、シーフードカフェ‥‥。
夏には海岸へと続く道の渋滞が絶えないほどの
人が押し寄せる、
フランス人憧れの避暑地のひとつです。

▲アルカションの高級リゾートホテルのブティックにもタンピコバッグが!▲アルカションの高級リゾートホテルのブティックにもタンピコバッグが!

▲お2人のお気に入りのホテル・レストランで海を見ながらランチタイム▲お2人のお気に入りのホテル・レストランで海を見ながらランチタイム

でも、ニコルさんにとっては
青春時代の思い出が全て詰まった
大好きな「地元」。
たまたま子供時代を過ごした
場所が高級ビーチリゾートだっただけ。

「観光客でごった返す季節には、
できるだけ街中には近寄らないようにしているのよ」

というように、
あまり人がいない季節の白い砂浜の海岸線や、
静かに夕日が沈んでいく神秘的なアルカションが
大好きだそうです。

そんなニコルさんが、
ティーンエイジャー時代、
毎日友達と遊びにいっていたという
「地元の人しか行かない秘密のビーチ」に、
さんぽに誘ってくれました。

「ピラ砂丘」からスペインとの国境近くまで続くという
松林と白い砂の海岸。
その松林を車で走ること約15分、
そして車を降りてから
ひたすら白い砂の道を歩くこと10分。
(柔らかすぎて足がズボズボ埋まって、歩くのも大変!)

▲ビーチに降りる長い木の通路▲ビーチに降りる長い木の通路

▲秘密の海岸へと続く白い砂の道▲秘密の海岸へと続く白い砂の道

▲ディディエさんとお散歩してバブーの足取りも軽く▲ディディエさんとお散歩してバブーの足取りも軽く

▲「ほ~らここが秘密の海岸よ!」▲「ほ~らここが秘密の海岸よ!」

きっとニコルさんもこんなだったんだろうな、
と思ってしまう
水着姿がまぶしいティーンエイジャーたちと、
課外授業で遊びに来ている小学生たち、
マリンスポーツを楽しむ若者たち。
こんなふうに地元の人だけが知る、美しくて静かな、
まるでプライベートビーチのような場所が、
大小数え切れないほどあるんだそうです。

▲どこまでも続くふかふかの白い砂と青い空と海、きもちい~!!▲どこまでも続くふかふかの白い砂と青い空と海、きもちい~!!

ビーチバッグとしての
タンピコ。

さて、そんなビーチで大活躍するものが
タンピコのような、
じょうぶで底がうんと大きくて、
たっぷり入るシンプルなバッグです。
大きなビーチタオルをぽん、
着替え用のTシャツやショートパンツをぽん、
水にワインにチップスをどん。
だらだらのんびりビーチで過ごすために、
なんでもかんでもボンボン放り込めて、
ちょっとやそっとの風では
吹き飛ばされない安定感のあるバッグです。

さらに、どこにいる時も
自分らしいスタイルと
オシャレを忘れないフランス人。
シンプルで機能的だからいいっていうわけじゃありません。
シックでかっこよくないといけないのです。

タンピコは、そんな文化風土から生まれた、
といってもいいかもしれません。
フランスのビーチで育ったニコルさんが、
タンピコの生みの親になったのも
偶然じゃなかったのだと思います。
こういう環境にいたからこそ、
タンピコというブランドが生まれたんだなあ、
と、アルカションのビーチに立って、
気持ちのいい海風を受けながら、
なんだかちょっと嬉しくなりました。

恥ずかしながら、パリに住んでいるというのに、
わたしはタンピコを知りませんでした。
「ほぼ日」から取材を依頼されてから
初めて知ったブランドだったのです。
なのに、もうなんだか昔から知っている、
大好きだったブランドのような感じになりました。

若い頃の思い出話をぽつりぽつりと語りながら
砂浜でくつろぐニコルさん。
「ここからタンピコが生まれたのよ。
アルカションからたくさんの
インスピレーションを受けているの」
そう言っていた意味がよくわかりました。

取材・文・写真 とのまりこ

(つづきます)

2016-08-02-TUE

タンピコにかかわるひとびと。その2 ディディエさん

▲嫌いな野菜を残してニコルさんに怒られるおちゃめなディディエさん▲嫌いな野菜を残してニコルさんに怒られるおちゃめなディディエさん

ディディエ(Didier)さんは、
タンピコを陰で支えるムッシュー。
タンピコの創始者であり、デザイナーであり、
タンピコの顔でもあるニコルさんの
全てを受け止めて支える、
音楽と写真と庭仕事が大好きな
優しい優しいムッシューです。

パートナーのニコルさんは、
エネルギッシュで
言いたいことは全て言う
ちょっぴり強いタイプの
「ザ・フランス人女性」典型的なマダムだと
書きましたが、
ムッシューのディディエさんは
そんな女性をニコニコ笑顔で優しく見守る
フランスのおじいちゃんの典型的なタイプ。
(私にはいつもそんなムッシューたちが
全員ピノキオの「ゼペットじいさん」にみえてくる♪)

みんなにシャンパンやデザートをふるまいつつ、
最近アルコールや糖類を抑え気味にしている
ニコルさんの食べるものを気にしてあげたり。

暑すぎたらかわいそうだろうと
歩いている間ず~っと
バブーを抱えて運んでくれたり。

▲「ボクがバブーのタクシー代わりだぞ」なんてバブーを抱っこしてくれました▲「ボクがバブーのタクシー代わりだぞ」なんてバブーを抱っこしてくれました

いつも優しい笑顔でみんなに気を配り
気づくと黙って動いてくれるようなムッシューです。

庭仕事とブリコラージュ(日曜大工)が
得意なディディエさん。
この辺りもフランスの典型的なパターン。
フランス人って庭仕事や日曜大工が
本当にプロ並みにお上手!
全部自分たちでやってしまうんです。

タンピコのアトリエに近い
ミュシダンの家の広大な庭は
全てディディエさんが2人の庭師と一緒に
週45時間もかけて一緒に作っているものだそう。
ラベンダー、バラ、ぶどう、アジサイ
チェリー、リンゴ、アプリコット‥‥。
季節ごとに姿をかえる草花や木々の様子を見ながら
ディディエさんの作る庭のデッキチェアに座り
のんびり昼寝をしたりおしゃべりをしたりするのは
最高だとニコルさんも自慢げに語っていたけれど
ほんとに羨ましい!

そして週末を過ごすという
「アルカション」にある週末の家も
壁も天井もテラスもキッチンもリビングも。
何もかもをディディエさんがひとりで
リフォームしたそうで‥‥。
古い家を買って
(時には屋根も残っていない廃墟を買う人も)
何年も何年もかけて自分たちでリフォームしてしまう。
「フランスあるある」なのですが
それにしてもすごいセンスと技術。
ただただため息しか出てこなかった素敵なお家。

▲ソファカバーやクッションも全てタンピコの生地で作ったのですって!

穏やかで優しい
フランスの「ゼペット爺さん」は
実はこっそりなんでもできちゃう
スーパー縁の下の力持ちムッシュー
なのです。

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